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パトラッシュが駆ける!

斬られ役 

2017年06月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

遥かに昔、かの「ミスター」が、初めて、巨人軍を率いた頃の話である。
その年、1975年の巨人軍は、極度の成績不振に陥り、
結局リーグ最下位で、シーズンを終えることになる。

私の叔父さんは、熱烈な巨人ファンであり、その凋落を、
頻りに嘆いていた。
「コーチ陣がいけない。その座に、あぐらを掻いている」
戦果が上がらないのは、彼らの怠慢のせいだ。
ということを、事ある毎に、力説した。

「そうだね、叔父さん」
私は、お説ごもっともに、終始していた。
叔父は、気に入らないことがあると、激高することがある。
「もう、この家には来ねえ」
なんてことを、言い出しかねない。

いや、来なけりゃ来ないで、一向に構わない。
むしろその方が、すっきりする。
母亡き後であり、その母の妹も死んでいる。
義理の叔父さんに、何時までも、威張られる理由はない。
異を唱えたって、構わないのだが、私は、叔父さんの憤懣を、
右から左へと、聞き流していた。

そして、腹の中で笑っていた。
人間は、必ずしも、長幼の順に、賢いわけではない。
処世の術なら、年少の私の方が、むしろ、長けていると思った。

「君側の奸を斬れ」
昔から、よくあったことだ。
君主に対しては、さすがに、手を出しかねる。
悪いのは、殿の傍らに侍り、誣言を弄する奸臣、佞臣だ。
彼らさえ居なければ、殿は善政を敷くであろう。
斬ってしまえ、ということになる。
小説でも映画でも、この手のストーリーは、
読者や観客のカタルシスを、得られやすい。
それで、のべつに、用いられる。

叔父さんの憤慨は、「殿」を「監督」に置き換えただけ。
その監督に、カリスマ性が備わっていれば、なおのこと「殿」だ。
当時の監督は、長嶋茂雄さん。
現役を退いたばかりであり、その活躍は、ファンの記憶の中に、
まだ新しい。
「殿の器ではない」なんてことを、ファンの誰もが言い出しにくい。

そこで、侍臣らに目を向ければ、そこには、現役時代に、
さしたる実績を残さなかった、つまりは、カリスマ性のないコーチ連が、
雁首を並べて居る。
その筆頭が、福田昌久であった。
彼は地味ながら、川上哲治監督の「V9」時代には、
コーチとして重用された。
しかし、長嶋麾下となっての、この年の成績不振は目に余る。
「詰め腹を切る」形で、退任を余儀なくされることとなった。

野球界を、去ったわけではない。
その後も、日ハム、ロッテ、南海、中日のコーチを歴任した。
彼が、野球人として、決して無能ではなかったことを、示している。
1988年、五十四歳で亡くなった。
一方で、ミスターのその後は、ここに記すまでもない。
病を得て、身体は不自由になられたが、今も多くのファンから、
愛されている。

叔父は、そこそこに長生きをして死んだ。
生涯、巨人ファンであり続けたが、二度と、
コーチを罵倒することはなかった。
性格が変わったわけではない。
愛する巨人軍が、優勝こそ逃しはしても、最下位に沈むことが、
なかったからであろう。

 * * *

巨人軍の連敗が、記録を更新した。
長嶋時代に作った、11を越え、球団ワーストを13に更新した。
このままだと、年間成績が思いやられる。

そこで浮上するのが、責任問題だ。
しかし、監督の更迭はないだろう。
その理由の一つとして、親会社が新聞社であるということが、
あるらしい。
社会の木鐸として、徒に、ポピュリズムに流されてはいけない。
一度決めたポリシーを、容易に変えてはならない。
という戒めが、彼ら、経営陣の中に、あるのではないか。

そうなると、方法は一つ。
君側の奸だ。
斬られるべきは誰か……ということになる。
これを、スケープゴートと言うこともできる。
既にして、GMが解任された。
彼が、侍臣であるとも思えない。
いずれ、誰かが切られなければ、今季の巨人軍は、
収まらないのではあるまいか。

 * * *

私は、巨人ファンではないし、高橋監督への格別の思いもない。
巨人軍の低迷を、対岸の火事のように、眺めている。
連敗なんて、どこのチームにだってある。
不遇の時こそ、ファンは、その存在価値が問われる。

狼狽しなさんな、これしきのことで……と言ってやりたい。
有為転変は、世の習い。
世間ではよくあること。
勝つことに、慣れ過ぎていた。
だから、少々の連敗に、打ちひしがれてしまう。

人生と同じ。
たまには、逆風も吹く。
吹き止めば、また順風も吹く。
それまでの辛抱ではないか。
と言ってやりたい。

しかし、私の周辺の巨人ファンと来たら、かつての叔父さんのような、
熱血漢ばかりだ。
私如きの慰めに、素直に頷く方々ではない。
野球について、論ずるところ、皆さんが既にして、
評論家の域に達しておられる。
だから私は、黙っている。
「コーチが悪い」
「さようでございます」
茶坊主のように、ただ頷いている。



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名選手必ずしも名監督ならず

パトラッシュさん

漫歩さん、
仰る通りです。
それでも名のある選手を、監督に持って来るのは、
親会社の営業政策なのでしょうね。

W氏の傲慢さは、つとに知られるところです。
私は、Y紙を購読しないようにしています。
(ビール券をくれるとの、勧誘員の誘いにも乗らず)(笑)
この度の、前川元次官のプライバシー暴露を報じたことでも、ますます、Y紙が嫌いになりました。
暴露すべきは、権力の側の不正なのに……と。

2017/06/18 08:41:42

独断と偏見

漫歩さん

抜群の運動神経と勝負強さでプロ野球界の寵児だった名選手も指導者としての素質には欠けていたように思われます。

指導者に先ず求められるのは、様々な考え方を持つ選手個々人に対するきめ細かな観察力と説得力ではないでしょうか。

現役時の優秀なプレイヤーが必ずしもそうであるとは限りませんね。
優秀だった選手時代の実績経験が邪魔をして、部下の信頼を失ったケースが間々ありました。


「巨人軍は常に勝ち続けなければならない」。
その思い上がりが、セリーグをつまらなくし、その源はY社のW氏である。というのが私の持論です。

私はアンチ巨人軍ですが、
「巨人軍は永久に不滅です!」と叫んだ素朴な断言
を素直に願っています。

2017/06/17 16:11:34

自民嫌い

パトラッシュさん

澪つくしさん、
へえー、アンサイクロペディアも、いいこと書いてあるんですね。
まったくもって、今の政権と来たら、「奸臣」の集まりのようです。
しっぽ切りに終わらせず、政権自体を覆したくなるところ、野球の比ではありません。
都議選が、待ち遠しいです。
と言っても、私は昔から、自民党に入れたことはないのですがね。(笑)

2017/06/17 15:28:04

君側の奸(くんそくのかん)

澪つくしさん

パトさん
またお勉強させてもらいましたm(__)m

私は野球にはとんと疎いのですが〜

〜〜〜〜〜〜
アンサイクロペディアによると・・・

「類義語に、トカゲの尻尾とか、スケープゴートなどがある。

天皇の権威を笠に着て悪さばかり、私服を肥やしてばかりいる廷臣のことを指す。 具体的には、日本会議の連中や、安倍晋三や麻生太郎ら自民党の主要議員を指す。」

とありました。

〜〜〜〜〜〜

↑を今の政治模様に当てはめてみると・・・

「君」は安倍総理って事になりますから、
「君側」はさしずめ内閣府って事になりますね〜

「奸」は、さてはて・・・

何方が「トカゲの尻尾」に適任でしょうか。。。

2017/06/17 11:57:19

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