つれづれに

北海道の旅(10) 

2017年12月03日 ナビトモブログ記事
テーマ:旅日記 

 第10日 南へ 
雨は朝になっても止むことはなかった。時刻は7時半だ。自分の食器洗いと床の掃除を終えた時、外で何やら大声で叫ぶ声が聞こえる。お別れのセレモニーだ。朝一番のフェリーで島を離れる客が一人いるらしく、その客にさよならをするために、ヘルパー達が雨に濡れながらギターをかき鳴らし、大声で歌い、(昔日本軍が使った) 旭日旗を振って叫ぶ。「また桃山荘に来いよー!」客がふり返りながら「ありがとうー!」
一人のヘルパーが車にその客を乗せて港へ向かった。
しばらくして、9時過ぎの船に乗るために、私達15人ほどが車でターミナルへ向かう。ヘルパーが運転しながら、順に私達に自己紹介をさせる。私は自身の紹介と宿の感想を述べると、ヘルパーが「山本さん、昨夜は良い歌を有難うございました。また機会があれば桃山荘ユースに来て、歌を聞かせてください。」 彼らは若いだけあって、ほとんどの客の名前・特徴を頭に入れている。
ヘルパー3人が岸壁で、離れる船を最後まで送ってくれた。昨夜のミーティングでやった桃岩荘の歌と踊りで。
ヘルパーの1人は雨の中を濡れながら裸足で踊る。フェリーターミナルの多くの乗客は、何があったのかとこのセレモニーに見入っていた。  このユースはリピーターが多い理由がわかる。彼らの真心が客の心をしっかりとつかむのだ。桃山荘に泊まる目的だけで北海道をまた訪れる客も多いと聞く。昨夜これまでの宿泊客名簿の一部を見たが、リピーターが半分近くもいた。私も機会があればまたここに泊まりたい。今度は天気の良い日に徒歩で島巡りもいい。
稚内に着いても雨の止む気配はなく、旭川をめざして出発する。走り始めてまもなく、「左は宗谷岬へ」の標識が目に入る。実は一昨日、ここを稚内へ向いて走っていた時、同じ案内標識を見ていたのだ。ところが、フェリーに乗るためほとんど時間がなかったので、宗谷岬へ行く余裕などなかった。今日は時間は余るほどある。日本最北端の地へはここを左折するだけのことなのだが、しかしながらこの雨だ。根室の納沙布岬でも霧で100メートル先も見えなかったが、これではどう考えても素晴らしい宗谷岬の景色は望めない。ならばここから往復60キロも走ってわざわざ行くことはなかろう。
雨の中を南へひた走る。途中の休憩を含め4時間ほど走った所で温泉の案内が目に入り、風呂で一息入れることにした。川のそばのキャンプ場にある村営の温泉だ。雨の天候と相当な田舎のため、入浴客は2〜3人だ。
疲れが取れて爽快な気分で再び南へ出発。北の日暮れは早い。闇の中を2時間ほど走り道路わきのパーキングへ。北海道は冬の雪に備えてこういうパーキングが随所にある。旭川はまだ遠いので、ここで寝ることにした。夜8時だ。雨は小雨に変わったが少し寒い。天気予報では明日から晴れて暑くなるそうだ。

※雨の中、スタッフによる客見送りのセレモニーが。



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