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パトラッシュが駆ける!

沢庵はいかが 

2018年03月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「やめられない 止まらない」
という、スナック菓子のコマーシャルが、かつてあった。
「ウマさのあまり」であることは、言うまでもない。

私にもかつて、容易に止められないものが、いくつかあった。
その最たるものが、酒であった。
友人との会話に興が乗り、夜を徹し、飲んだことがある。
「斗酒なお辞せず」になった。
自制心というものが、足りなかった。
若気の至りという他はない。

今はもう、斗酒どころか、深酒そのものが、
出来なくなっている。
自制心に関係なく、身体がもう、大量の飲酒を、
受け付けなくなっている。
寂しいが、仕方ない。
これが、自然の摂理というやつであろう。

「過飲」と共に「過食」も消えた。
肥満はいやだ。
腹を突き出し、身体を揺すりつつ歩く、その姿は、
みっともない。
糖尿病、痛風なども怖い。
それで、カロリーの摂取に、気を付けるようになった。
何事も「過」がいけない。
「過」が、たちまち「禍」に結びつく、そういう歳になった。

気が付いたら、量より質へと、転換していた。
どうせ食べるなら、美味なるものをと思っている。
しかし、この美味というのが曲者だ。
追求し出すと、際限(きり)がなくなる。
お金がかかる。
私の財政は、すぐに破綻する。
「安くてうまいもの」
これで行くよりない。

私には、俗にいわれる「B級グルメ」が、身の丈に合っている。
衣食住全般に渡り、私の身体は、奢侈な物品を、
受け付けなくなっている。
例えば、銀座の高級な寿司屋に行き、一人前一万円を超える寿司を食う。
なんてことが、出来ない。

それをやって「私も、出世したもんだ」とは思わない。
それを贅沢とし、敵視しているわけでもない。
やりたい奴は、やればいい。
ただ、私の人生には、似合わないなぁ……と、思っている。
その時かすかに「不遜」の二字が浮かんでいる。
「それをやったら、私が私でなくなってしまう」くらいの、
軽い恐れのようなものである。
私は、よくよく身体が、貧乏性に出来ている。

 * * *

かすかに甘みがある。
大根の持つ、辛味と交錯し、程よいところに、収まっている。
固からず、柔らかからず、その歯ごたえがいい。
ぼりぼりと、音を立てて噛む。
漬けられたことにより、大根の旨味が凝縮され、なおかつ、
新鮮さを保っている。
大根とは、こんなに美味いものだったのか……
思わず、うなりたくなる、そういう沢庵である。

ややもすると付きまとう、沢庵の「老成感」……これがない。
まったくない。
私は、これを噛む時「出藍の誉れ」ということを、つい思ってしまう。
大根に生まれ、いとも易々と、大根の域を越えてしまっている。

かすかに、青みを残した部分がある。
首の部分であろう。
それに比べ、やや、漬かりの深い部分がある。
尻尾に近いところであろう。
微妙に味が違いつつ、そのどちらもが良い。

食べ始めると、止まらなくなるのは、塩が限りなく薄いからであろう。
これなら、いくら食べても「塩害」には至るまい。
という安心感がある。
私は主に、食後にこれを食べる。
ご飯におかず、みそ汁などを、全部片付けた、その後にである。
口中がすっきりする。
さながら、デザートのような感がある。

かくも瑞々しい沢庵を、かつて食べたことがない。
かくも大量に食べられる沢庵に、かつて出会ったことがない。
それでいて、値段が安い。
一本が、二百二十円と聞いている。
そうなのだ、私が買うわけではない。
我が家の食卓は、その買い物段階から、調理まで、
全て、妻の裁量にかかっている。

「あの沢庵を頼む」
「木曜日に発売されます」
「じゃあ、必ず」
「わかりました」
少し離れたところにある、八百屋であるらしい。
週に一回の、入荷であるらしい。
そして、入荷するや、じきに売り切れるらしい。
さもありなむ。
引く手あまたであろう。
美味いものについて、人のうわさに、戸は立てられない。
一度食べたら、他の沢庵は、一体何だと言うことになる。

 * * *

来客があり、それがいける口だと、私は酒をお出しする。
清雅であるべき、囲碁サロンにおいてである。
席主が酒飲みだから、仕方ない。
ビールも清酒も、ふんだんにストックしてある。
それでも足りなければ、隣の酒屋へ駆けて行くだけだ。
「これ頼む」
隣人のよしみで、金なんか払わずに、そこらの酒を、
引っ掴んで戻る。
その間、一分とかからない。
いや、もちろん代金は、後で払うことにはなるのだが。

酒の肴、これを関西では「あて」と称するらしい。
私のサロンの弱点は、この「あて」だ。
火気も電子レンジもないから、ろくなものが出来ない。
これまで「乾きもの」で対処して来た。
煎餅、ピーナッツなどの類である。
しかし、そこに侘しさが、つきまとわないでもない。
皆さん、憮然たる顔で、それをつまんでおられた。

最近、前述の沢庵をお出しするようになった。
するとどうだ。
皆さんのお顔に、笑みが漏れるようになった。
味にうるさい、あいつやこいつが、ふーんと言うような顔で、
噛んでいる。
何も言わずともわかる。
「おぬし、なかなかやるのう」の「ふーん」である。

「あて」が出来た。
どんなもんだ。
私は、徳川家光公に、沢庵を出して褒められた、
沢庵禅師のような気分になっている。



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オフ会

パトラッシュさん

山すみれさん、
若い頃は、漬物なんぞ、見向きもしませんでした。
今は、単純素朴な、古来からある食品に、嗜好が向いています。(蕎麦なども、その一例でして)

オフ会、お近くでしたら、山すみれさんも、お誘いするのですがね……

2018/03/18 19:57:01

素適な♪

山すみれさん


あて ですね〜


喜美さんお宅でのオフ会 

包丁研ぎなど

恒例行事も愉しそうですね!

盛会を〜^^♪

2018/03/18 15:08:15

承知の助

パトラッシュさん

喜美さん、
お任せあれ!

2018/03/18 08:39:26

嬉しい

喜美さん

此の間娘が来て話しましたら
お手伝いにとか言いながらパトさん
包丁研いてくれないかなーとか
前に私のより良い包丁だとか言われ喜んでいます其方もお願いします

2018/03/18 07:44:06

了解しました

パトラッシュさん

喜美さん、
沢庵は、よく切れる包丁で、切りましょう。
皮が切れずに、つながっていると、食べにくいですから。
あ、包丁も、研いで差し上げます。

2018/03/18 07:29:46

沢庵

喜美さん

是非お願いします

2018/03/17 16:44:11

何をおっしゃいます

パトラッシュさん

喜美さん、
それは冗談が過ぎるというもの。
喜美さんのお肌は、張りがあって、さながら、採りたての大根のようですよ。

それはともかく、次のオフ会の際にでも、件の沢庵を、お持ちしようかと思っています。(うまく、入手出来たら……ですけど)

2018/03/17 16:22:01

沢庵

喜美さん

スーパーに中々美味しいのありません
偶にこれは良いと思っても
次に名前忘れたり
先日三浦大根頂き大きいので半分干して私の顔の様に皺皺になってから糠味噌に付けたらその美味しい事 驚きました 

2018/03/17 16:10:30

回帰

パトラッシュさん

漫歩さん、
釣りは鮒に始まり、鮒に終わると言います。
美食もまた、様々な遍歴の末に、沢庵に行きつくのでは、ないでしょうか。

私は、ろくに遍歴など、していませんが、早くも沢庵に、回帰している感があります。

2018/03/17 13:59:38

私の作品でもないのに自慢しています

パトラッシュさん

月あかりさん、
昔はそうでした。
今みたいに、甘いお菓子の豊富にある時代とは違います。
お茶請けと言えば、漬物でした。
各家々に、自慢の漬物があったのでしょう。
「おらが家の沢庵」に、それぞれ、自信があったのでしょうね。

私がブログに書いたそれも、多くの人をうならせる、自信があります。
お近くでしたら、食べに来て頂くのですがね……

2018/03/17 13:55:47

意外……

パトラッシュさん

風華さん、
北海道にも、あるのですか、大根干しの光景が……
それは、私のイメージにありませんでした。

道産沢庵、どんな味がするのでしょう。
食べてみたいものです。

身の丈に合った生活、これがいいですね。
背伸びをすると、ろくなことがありませんから。

2018/03/17 13:49:44

飲み会でも

パトラッシュさん

COSMOSさん、
練馬は昔から、大根の本場でした。
沢庵も当然、名だたるものが、あるのでしょう。
食べてみたいですね、COSMOSさん、ご推奨の沢庵を……
今度は、それぞれの地の沢庵を持ち寄り、沢庵パーティを開催しましょうか。(笑)

2018/03/17 13:44:35

自慢

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
手ぶらでいらして下さい。
ビール、ワインともに、常備してありますので。
他にお好みの酒があれば、隣の酒屋でお求めください。
「隣の囲碁サロンに、つけといてね」の一言で、お金なんか、払わずに、入手出来ますので。

たかが沢庵ですが、これが美味いのなんの……
皆様に自慢したくて、今回のブログを書きました。
洋風志向の強い、シシーマニアさんが、一切れ食べて、何とおっしゃるか……
蕎麦の味のわかる方には、これもきっと、お気に召すと思うのです。

2018/03/17 13:40:15

美食を極めた後は〜

漫歩さん

沢庵よもって瞑すべし。

但し、時代(日本人の生活様式や食生活の変化)とともに愛食家が減少することは避けられぬ宿命だ。

その時は、このように愛された良き時代を思い返しながら満足の笑みを浮かべて瞑目せよ。

2018/03/17 12:51:23

沢庵、されど沢庵

月あかりさん

祖母を思い出しました。
ご近所さんとのお茶飲みが祖母には何よりの楽しみでした。
その家ごとの味があり、沢庵を噛みながら隠し味だの、秘訣
だのと盛り上がっていました。子供だった私は沢庵以外の
甘い菓子めあてに祖母のお供でいつもお婆さん達の輪に
座っていましたが。久しぶりに沢庵食べたくなりました。

2018/03/17 11:02:38

大根干し

風華さん

20年ほど前の秋口なら、ご近所さんの多くに
たくあん用の大根干しが見られました。
昨今は全く見かけなくなりました。
高齢化で家族数の減少、たくあん漬けの体力が無理になったのでしょうね。

私も身の丈生活と身の丈のお付き合いをしています。
それが一番安心、穏やかな暮らしですから。

2018/03/17 10:18:04

練馬大根も是非

COSMOSさん

練馬大根の沢庵もおいしいですよ。どこにでも売っているわけではありませんが手に入ると最高です。素朴な昔からの味がします。漬物嫌いの息子もこれだけは食べています。

2018/03/17 09:26:28

お訪ねしたいです!

シシーマニアさん

たくあんにはやはり、日本酒なのでしょうね。

日本酒はちょっと苦手な私は、そんな美味しいたくあんがあるなら、ビール缶を持ち込みしようかしら・・。
それも、師匠のサロンにはあるのでしょうけれど。

私も、「不遜」という言葉をすぐ思いだす方です。
気を抜くと、そういった甘さが常に漂う性分なので。

それが庶民、なのかも知れませんね。

2018/03/17 09:24:26

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