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昭和2年生まれの航海日誌

あの男はどうしているだろう (2) 

2013年04月02日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


 濡れ衣を脱がせて、身体を毛布で包みこもう。
 
 シャツを脱ぐと、背中は彩色豊かなバラの刺青で一杯だった。
でも、その筋のものではない。きつい、危険な職についているのだ。
 歳は俺より若いとみた。

 湯が沸き始めたので、蒸しタオルで塩気を拭き取った。
 無傷であった。これは幸運である。
 何を着せようか、よしシャツを脱いでやろう。こうなったら褌以外は
なんでもよいことだ。
 シャツの上には作業服を着せた。

 やっと、お茶が飲めた。
 男は無口のままであった。
 ショックが残っているのか、いや、朴訥なのである。

 身体が温まったようであるので、傍に寝かせた。
就床するとき、寝顔を見ると穏やかであったので安心した。

 翌日、退庁するとき、玄関脇で男は私を待っていた。
そして、黙ってこれを差し出したのである。
「ありがとう!大事にするよ」といって別れた。

 何時帰るか判らないのに、よく待っていてくれたものである。
どれほど待たせただろうか。
貰った「ウミマツ」の価値はわからなかたが、これには感動した。
 犬も、家族を待つから、人は一緒に住むのだと思う。

 碁敵にこの話をしたら、数日後に、図書館で「ウミマツ」を抜粋
してきてくれた。ただでは聞いていない。
 囲碁以外は、全て一目は置かされている。

 選抜高校野球、東北勢の活躍はめざましかった。
 あの男の孫も出場できる年ころだ。

 いい爺で、元気でいてくれよ!

 

 

 

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