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人生日々挑戦
B級ご当地グルメ・浪江焼きそば
2013年09月24日
テーマ:人生
何事も一流になるのは難しい。それゆえ、一流は、世の中で賞賛されるし、素晴らしい価値を有する。
そして、一流になるのは難しいということは、取りも直さず、世の中では、二流以下が圧倒的に多いということである。一流を賞賛する側の人たちは、ほとんどが一流ではない。
しかし、世の中はおもしろいもので、一流だけが賞賛されるかというと、そうではない。二流でもハイレベルなものは、結構もてはやされる。
そりゃ、そうだ。圧倒的に多い二流以下の人たちだって、世の中に認められたい、できれば賞賛されたいと思っているし、それは、人間である以上、当然のことだ。
そういう心理が、二流でもハイレベルなものをもてはやすことにつながっていく。
これらのことは、グルメについても当てはまる。
グルメにも、A級もあれば、B級もある。
A級グルメとは、宮廷料理を代表例とする、一流としての評価が定着している高級料理を指す。高級食材を使った料理や食品もA級グルメだ。
これに対し、B級グルメとは、日常的に食される安価で贅沢でない庶民的な飲食物のことだ。我々の大部分は、一年中のほとんど毎日、B級グルメに生かされていることになる。
焼きそばは、B級グルメの代表選手だ。最近、全国から注目を浴びているB級ご当地グルメの焼きそばがある。浪江焼きそばがそれだ。
B級ご当地グルメ・浪江焼きそばを用いて「まちおこし活動」を担う団体が「浪江焼麺太国」である。「焼麺太国」は、「やきそばたいこく」と読むそうだ。
浪江焼きそばとは、どんな焼きそばか。
「浪江焼麺太国」のホームページを参照して、要領よくまとめてみる。
福島県は双葉郡浪江町の安くておいしい、昔から親しまれている極太麺の焼きそばが「なみえ焼そば」である。
私たちは、やきそばは、「焼きそば」と表記するが、ホームページ上では、なぜか「焼そば」という具合に、「き」が抜けている。
き抜けは、気抜けに通じ、風味がなくなっていることを連想させるから、「浪江焼麺太国」の面々には、「なみえ焼きそば」ときつき表記を提言するものである。
きつきは、気つきであることに、気づいてほしいものだ。
私は、もちろん「なみえ焼そば」の表記ではなく、「浪江焼きそば 」を使う。
浪江焼きそばは、今から60年以上前、つまりは終戦直後に、労働者のために食べ応えと腹持ちをよくするために考案された。だから、極太麺なのだ。
ホームページのキャッチフレーズがふるっている。「極太麺、モヤシ、豚肉、極まる馬さ、ここにあり」ときたもんだ。
浪江焼きそばには、次に掲げる定義がある。
その1 中華麺の太麺を使うこと。
その2 具材はモヤシと豚肉を基本とすること。
その3 ソース味であること。
その1が特徴であり、その2とその3は、焼きそばには当たり前のことであり、どうってことない。
でも、そこはそれ、「浪江焼麺太国」のみなさんのこだわりがあるようだ。
ホームページは語る。「通常の約3倍もある太い麺と、うまみたっぷりの濃厚ソース、豚肉とモヤシだけのシンプルな具が特徴。一味唐辛子を振りかけて食べるのが通な食べ方とされる」
これは、なかなか味わい深い文章だ。
「通常の約3倍もある太い麺」とは、うどんの太いやつみたいな中華麺だ。こりゃ、豪快だ。
「うまみたっぷりの濃厚ソース」なら、たまらん味だな、きっと。
「豚肉とモヤシだけのシンプルな具が特徴」ときた。物は言いようだ。
「一味唐辛子を振りかけて食べるのが通な食べ方とされる」 これを見て、ワッハッハ、ワッハッハと大笑いしてしまった。焼きそばの食べ方に通の食べ方もなにもないだろうに。
ここまでで、ホームページのキャッチフレーズ「極太麺、モヤシ、豚肉、極まる馬さ、ここにあり」のほとんどが分かった。
しかし、「極まる馬さ」って、なんだろう。ホームページを見て、よく分かった。
浪江焼麺太国の認定を受けた店では、「馬九行九(うまくいく)なみえ焼そば」の皿で焼きそばが提供される。
皿には、地元の大堀相馬焼に300年以上伝わる、開運成就を意味する九頭の馬が描かれている。
九頭の神馬である左馬が幸運を呼び、何事も馬九行久(うまくいく)。
左馬は絵馬に描かれるように、縁起が良く、右に出るものがいないということからも、勝負に強いといわれている。
福島県双葉郡浪江町。太平洋に面する福島県の浜通りにある。元々、海と山を有し、「海と緑にふれあう」美しい町である。
それが、2011年3月11日に発生の東日本大震災とそれに伴う福島原子力発電所の原発事故により、今は、人っ子一人もいない。
21,000人の全町民がふるさとを追われ、今も全国に避難している。
東日本大震災から2年半以上が経過した今でも、浪江町には自由に立ち入ることができない。
地震により倒壊したり、痛んだ建物は、そのままの状態で放置されたままだ。
太平洋から1キロメートルほどの地区は、町の沿岸部が壊滅的被害を受けた浪江町の中でも津波被害が甚大な地域だが、警戒区域のために道路脇にガレキが集められだけで、茫漠とした更地が続いている。
太平洋沿岸の浪江町の状況は、東日本大震災発生の2011年3月11日から時が止まったままなのだ。
福島原子力発電所の原発事故の影響で、2年半以上が経過しても、何もできないでいる。
東日本大震災後、浪江町の仮役場が福島県内の二本松市に設置され、多くの住民が移動し、避難した状態が今に続いている。
Google マップの機能を活用した「浪江町ストリートビュー」により、浪江町の現状を360°のパノラマ写真で見ることができる。その「浪江町ストリートビュー」は、次の記述で締めくくられている。
「私たち大人は、先人たちから受け継いできたふるさとを子どもたちへ渡していかなければならない。私たちは、約束する。原子力災害からの復興には、長い年月と多くの人々の協力が必要だが、私たちは、ふるさとを取り戻すことを決して諦めない」
しかし、ふるさとを取り戻すことができるのはいつ頃になるのか、見通しは全く立っていない。
去る9月7日、8日の両日、青森県十和田市で2013北海道・東北B-1グランプリin十和田が開催された。
B-1グランプリ(ビーワン・グランプリ)は、地域活性化を目的とするまちおこしのためのイベントであり、B級ご当地グルメを用いた「まちおこし活動」を競うイベントである。
2013北海道・東北B-1グランプリin十和田は、観光地で名高い十和田湖を抱える十和田市での開催であることもあり、2日間で18万人もの来場者を集めた。
参加21団体のうち投票対象の18団体の中から来場者の投票により選ばれた上位5団体が表彰された。金メダルのゴールドグランプリには、福島県浪江町から参加した浪江焼麺太国の「なみえ焼そば」が輝いた。決定の瞬間、どよめきが起き、万雷の拍手が続いた。
しかし、B級ご当地グルメ・浪江焼きそば の実力に照らせば、今回の優勝は、別段サプライズではない。
浪江焼きそばは、最近、B-1グランプリの全国大会でも、めざましい成績を収めているのだ。
東日本大震災が発生した2011年の11月に開催の第6回姫路大会は、出展が63団体で、来場者数は51万5千人を数えた。
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた浪江町から参加するだけでも、奇跡的だが、 浪江焼麺太国の浪江焼きそばは、第4位であった。
続く、翌2012年10月に開催の第7回北九州大会は、出展が同じく63団体で、来場者数は61万人にも及んだ。
そこでも、浪江焼麺太国の浪江焼きそばは、第4位であった。
B-1グランプリの全国大会は、発展に発展を重ね、今では、大会開催による経済効果が30億円を越えるとも言われる国民的ビッグイベントである。
そのB-1グランプリの全国大会において、60を越える出展団体の中で2年連続で第4位と、あと一歩でメダル獲得という大活躍をみせているのだ。
たかが焼きそば、されど焼きそばである。浪江焼きそばは、今や、東日本大震災からの復興の旗手だ。
「ふるさとを取り戻すことを決して諦めない」浪江町の人々。彼らを再びふるさとへ導くもの、それは、浪江焼きそばであるような気がする。
さらに、「馬九行九(うまくいく)なみえ焼そば」の皿。皿には、開運成就を意味する九頭の左馬が描かれている。浪江焼きそばの大活躍で、何事も馬九行久(うまくいく)ことが様になるよう、陰ながら祈る。
参考までに、「浪江焼きそば」の画像を掲げ、ブログ記事の筆をおくこととする。
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