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「東風(こち)吹かば」が早く来てほしい 

2014年02月23日 ナビトモブログ記事
テーマ:暮らし

 「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」 

 平安時代の貴族、学者、文人、政治家である菅原道真(すがはら の みちざね)が詠んだ和歌である。

 菅原道真は、代々学者の家系に生まれ、長じて学者、文人それに政治家として卓越した能力を発揮した人物であった。醍醐天皇の時に右大臣に上り詰めるなど、異例の出世を果たす。

 しかし、そこで、政治的な暗闘、学閥の抗争に巻き込まれた。時の権力者は、かの藤原氏である。延喜元年(901年)、道真は、左大臣藤原時平の讒言(ざんげん)により、北九州の大宰府の地に左遷されてしまう。

 京の都を去る時、菅原道真は、無念の胸中を歌に詠んだ。

 「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」 

 春になって風が吹いたなら、その風に託して大宰府の私のところに香りを送っておくれ、梅の花よ。主人の私が都にいないからといって、咲く春を忘れれるなよ。

 「春な忘れそ」の「な○○そ」という語法は、「○○するな」という禁止を表す用法である。「な忘れそ」は、「忘れるな」という意味だ。
  
 菅原道真は、延喜元年(901年)に大宰府の地に左遷された2年後、延喜3年(903年)、不遇のうちに現地で没した。


 菅原道真は、「梅の花」に言いつけるに、「東風(こち)吹かば」と言っている。なぜ、「東風(ひがしかぜ)」や「東風(とうふう)」ではなく、「東風(こち)」という言い方になるのだろうか。

 例によって、ネットで調べ、自分なりにまとめてみた。

? まず、読み方の「こち」の方から迫る。

 「こち」の意味は、「こ」は「小」で、「ち」は「風」である。

 「小」を「こ」と言うのは分かる。こ「小」とは、1 名詞に付いて、小さい、細かい、などの意を表す。「 ―馬」「―石」2 名詞に付いて、わずかな、少しの、などの意を表す。「―雨」「―降り」

 問題は、ち「風」の方である。急に激しく吹き起こる風を疾風(はやて)と言うが、「はやて」は「はやち」という言い方もする。つまり、古来、「風」のことを「ち」と表現する用法があるということだ。

 したがって、小風「こち」・こち「小風」ということで、春のやさしい風を表現している。

? 次に、漢字の「東風」に迫る。

 中国から伝来の五行説によれば、すべての事象は、「木」、「火」、「土」、「金」、「水」の五行という5つの要素で説明できる。四季の変化は、五行の推移によって起こる。また、方角、色など、あらゆる物が五行でグループ分けされる。

 五行でのグループ分けの結果として、五行の「木」には、色の青、季節の春、方位の東などが属する。したがって、風を漢字で表現する場合、春の風=東の風、春風=東風となる。

 以上から、こち=小風=春風、春風=東風で、結局、こち=東風である。まあ、一種の連想ゲームだ。

 このように、東、風の文字単位ではなく、東風という熟字単位で訓読みを当てた言葉を熟字訓(じゅくじくん)という。例えば、「明日」と「あす」は同じ意味であるため、「明日」を「あす」と読む。

 漢字の勉強は、なかなか面白い。


 道真に「春な忘れそ」と言いつけられた「梅の花」は、その後、どうしただろうか。

 飛梅(とびうめ)伝説というものがある。梅が京都から太宰府まで一日にして空を飛んでいったというのだ。

 道真を慕う梅は、日が経つにつれ、道真の後を追いたい気持ちを強くした。しかし、一方では、道真の言いつけがある。

 「梅の花」は、考えに考えた結果、自らを株分けし、京都に残るものと、太宰府まで飛んでいくものに分かれた。

 現に、京都の菅大臣(かんだいじん)神社の本殿前に紅梅がある。菅原道真を祀る同神社。この地には道真の邸宅があったとされ、道真の生誕の地とも伝えられる。

 つまり、太宰府天満宮の本殿前の白梅は、飛んでいった梅であり、京都は菅大臣神社の本殿前の紅梅は、飛んでいかなかった梅である。その白梅と紅梅は、空を飛ぶことに関わるという意味で、両方とも、飛梅である。

 しかも、かたや京都は紅梅、こなた太宰府は白梅。そのコントラストは、まさに日本の美である。


 今年の冬は、まだまだ寒い。願いは一つ。「東風(こち)吹かば」が早く来てほしいなあ。


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