「ひな祭りの思い出・一回きりの大学受験」

メニュー

テーマ

カレンダー

月別

人生日々挑戦

2014年03月03日ナビトモブログ記事
テーマ：人生

　夏が来れば　思い出す　遥かな尾瀬　遠い空

　霧の中に　浮かび来る　優しい影　野の小道

　水芭蕉の花が　咲いている　夢見て咲いている　水のほとり

　石楠花(しゃくなげ)色に　黄昏(たそがれ)る　遥かな尾瀬　遠い空

　ご存じ、尾瀬の歌である。作詞者は江間章子、作曲者は中田喜直によるおなじみの唱歌だ。

　はて、題名は何だろう。「遥かな尾瀬」かな。津軽のシニアブロガーなら、「遥かな尾瀬」とつける。しかし、違った。この歌の題名は、意外なことに、「夏の思い出」である。

　「夏が来れば　思い出す」で始まるから、題名は「夏の思い出」なのだろうか。だけど、「夏の思い出」という表現は一般的すぎる。「遥かな尾瀬」とつける方がこの唱歌の本質を突いていると思うのだが。

　まあ、唱歌の題名はともかくとして、「夏が来れば　思い出す」のフレーズは、日本国民にすっかり根づいている。「夏が来れば　思い出す」。何を？　「遥かな尾瀬　遠い空」をだ。

　津軽のシニアブロガーは、夏が来れば、「遥かな尾瀬」の歌を思い出す。そして、そんな感じで思い出す、別なものがある。

　それは、弥生、3月、それも、3月3日にちなむ。エッ、3月3日って、ひな祭りにちなむの？、エッー、と笑うなかれ。

　18歳で高校3年生の私は、3月3日のひな祭りの日、杜の都、仙台の旅館にいた。翌、3月4日から大学の入学試験が始まるのだ。入学試験の会場は、仙台一高だった。

　その仙台の旅館には、津軽の某高校から同じ大学に受験する者が数名同宿であった。私と同じ学部を受験する生徒は、私を含めて3人である。

翌日から大学の入学試験が始まるというのに、ほかの生徒は余裕がある。ひな祭りの日だし、テレビ番組に興じている。

　しかし、私は、そんな余裕組の彼らには、くみしなかった。食事を共にする時以外は、一人で黙々と参考書をチェックしていた。誰とも話はしない。私は必死だった。

　なぜそんなにも必死になるのか。実は、経済的な理由で、私は、大学受験は、その時の一回きりと決めていたのだ。人生でたった一回きりの大学受験。その大学受験に失敗すれば、東京に出ていく。そして、コックになり、道を切り開く。18歳で高校3年生の私は、そう決めていた。

　だから、一回きりの大学受験には悔いを残したくなかった。全力を尽くす。持てる力のすべてを出す。最後の最後の一秒まで頑張り抜く。当然、必死になる。

　おそらく、目の色も変わっていたことだろう。そりゃ無理もない。だって、人生がかかっているんだもの。

　3月3日のひな祭りの、杜の都、仙台。風が寒く、小雪が舞う日。その日を含めて、津軽の少年は、必死に挑戦し続けた。

　大学受験が終わり、少年は、津軽に帰った。合格発表の日まで、1週間はあっただろう。たった一回きりの大学受験が吉と出るのか出ないのか。ハラハラドキドキの時が流れる。

　合格発表の日、気が気でなく、新聞社に電話してみた。仙台の新聞は、河北新報で、津軽には、河北新報青森支局がある。河北新報青森支局に電話すれば、大学の合格発表が分かるかもしれない。

　河北新報青森支局の社員は、親切だった。仙台の本社に問い合わせてあげると言う。問い合わせている間、長い。実際には、そんなにかかっていないのだろうが、待つ身には、随分と長い。

　青森支局の社員が聞く。番号は何番ですか？　エッ、番号？、何の番号？　受験番号は何番ですか？　そうか、受験番号で合格者を表しているのか。　77番です。何十年後の今でも、はっきり覚えている。私の大学受験番号は、77番なのだ。ラッキー7というが、ラッキー7、7なのである。考えてみれば、大変に縁起がいい番号だ。

　受話器越しに声が聴こえる。おめでとうございます、合格です。

　あの瞬間は、今でも、まざまざと思い出す。たった一回きりの大学受験に合格し、その後の人生は、おかげさまで実にいい人生である。まあ、逆に、コックの道を歩んでいたら、それはそれで、いい人生であるかもしれないが。

　
　弥生、3月。3月3日、津軽のシニアブロガーは、毎年、一回きりの大学受験を思い出す。毎年、毎年、思い出し、気がつけば、立派にシニアだ。

　人生って、いいなあ。さあ、これからだぞ!!　頑張ろう、津軽!! 頑張ろう、仙台!!　頑張ろう、東北!!　
頑張ろう、日本!!　そして、頑張ろう、wasao!!

　そこで、二句。

　
俳句「大学受験」

　雛の日に

　必死で挑みし

　受験かな
　

俳句「ひな祭り」

　ひな遊び

　笑顔嬉しや

　春来たる

　

　
　ブログに訪問下さり、ありがとうございます。　　

　
　私の人気ブログランキングへの応援のため、
　ポチッと↓をクリックお願いします。
　http://blog.with2.net/link.php?1546952　