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地球一周の旅から10年(2) 

2014年11月03日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 「地球一周の旅から10年」をブログに掲載して様々な反響があった。10年と言う歳月は長いが今も記憶は冷めない。
第47回と言う航海は多くの感動を残し、今も記憶は消えない。私達の世代をしてそうであるから、瑞々しい感覚の若い
世代にとっての感動はもっと素晴らしいものであったに違いない。同じ時代に同じ船に乗り合わせた、実はそれだけで
素晴らしいことなのだと思う。魂の繋がりを意識せざるを得ない。そして、その繋がりは今も続いている。

 さて、私たちは感動の一夜を初めての大きな客船の一室で過ごした。明けて10月22日、この日は東日本の乗客が
大挙して乗船してきた。船は大変な賑わいであった。閑散とした船の中が一転し実に騒々しい世界に一変した。そして
夕方、いよいよ出向の時を迎えた。

 停泊した晴海ふ頭の桟橋には若者を中心にした大勢の見送り客が集まっていた。様々なメッセージを書いた派手な
横断幕が幾枚も船の方に向けて掲げられている。歓声にも悲鳴にも似たエールが船と桟橋の間で行き交う。船の横の
通路は行き交いがままならないほどの人で埋め尽くされていた。そして、出港を祝してのシャンパンが配られた。

 実に騒然としていた。見送りがこれほどまでに盛大なものだとは思いもよらないことであった。就航前のセレモニーが
あって陸側と船側のメッセージが交わされる。船と陸を結ぶ色とりどりの紙テープが幾本も風になびく。投げては下に
落下し、なかなか船と陸を繋ぐことは難しい。それでも手に余るほどのテープを手にしている。見送りのいない私たち
夫婦は唖然として、この大騒ぎを見ているだけであった。

 これからの長い長い航海で港を離れるときには必ず使われることになる出港歌が流れていた。こうして船は桟橋を離れた。
汽笛が何度も鳴る。感動のシーンであった。こみ上げてくるものがある。この時になってやっと長い船旅にいよいよ
出発するのだと言う自覚と感動がこみ上げてきた。そして東京ベイブリッジを通過する頃、日は大きく西に傾き空を赤く
染めていた。台風一過、海は実に穏やかであった。

 ベイブリッジの下をくぐるとき再び汽笛が何度も流れた。「ああ、これでいよいよ日本を離れるんだ」という感動が
再びこみあげてきて、思わず涙が溢れそうになってきた。飛行機の旅ではとても感じられない感動であった。再び汽笛が
鳴る。点き始めた東京の街明かりが次第に小さくなっていった。

 私達の航海の前には、この年幾つめの台風になるのだろう。大きな台風が行く手を阻むようにこちらへ向かっていた。
船長の説明だとトパーズ号は、この台風を避けるように大きく迂回して最初の寄港地であるフィリピンに向かうとのことで
あった。一夜開けて23日、いよいよ本格的な船の生活が始まった。

 私たち夫婦は船上の生活で体がなまることを恐れて早朝からの太極拳やラジオ体操に参加することにしていた。夜が明け
空が白み始める頃に起きて上甲板に出てみた。海風は思いのほか生温かかった。湿気を含んだ南風であった。疲れの残る体で
決して爽やかと言うわけではない上甲板でのひと時を過ごし、朝食の時間を迎えた。

 朝食は階下にある大きな食堂でも良かったし、上甲板のデッキ後方にある喫茶スペースでも良かった。最初の頃はひたすら
階下の大食堂にしていたが、船上生活に慣れるに従って交互に利用するようになっていった。大食堂ではもっぱら日本食
上甲板ではパン食を中心とする洋食であった。

 船室はメイドさんたちが整備してくれる。掃除からベッドメイキングまでメイドさんに任せておけば良かった。従って
部屋は狭いが家政婦付きの生活のようなものであった。メイドさん達には担当が決まっていて同じ人が毎日決まった時間に
来てくれる。私たち夫婦は常に留守がちであったので大抵は二人が出かけているときに来てくれ世話をしてくれた。

 航海最初の頃はインドネシア出身だと言う若い女性であった。この人たちは早い時期に他の国の人に変わってしまった。
その後は東欧の人達が私達の面倒を見てくれた。

 黒潮は名前の通り黒い。これから先、度々目にするようになる太平洋や大西洋、インド洋と言った海の色とは明らかに
異なる潮の色であった。私達の船は北上する黒潮に逆らうようにひたすら南下を続けていた。そしてこの航海初めての
寄港地であるルソン島のスービック港に入港した。

 久々に踏みしめる土の感触があった。私たち夫婦はミニ旅行をオプショナルツアーで申し込んでいた。先のピナツボ山の
大噴火で大きな被害を受けた跡を見てみたかったからである。そして、更にはマングローブなるものを見ることにしていた。

 次回は船上生活での一コマやパーティーのことなどを思い出すままに書いてみたい。続く・・・・。

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