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人生いろは坂
地球一周の旅から10年(11)
2014年11月22日
テーマ:テーマ無し
一昨日、家内が見ていたフェースブックに知人の女性の書き込みが出ていた。それは横浜からのものだった。写真入りの
書き込みは出港するピースボートのものだった。どうやら第86回地球一周の旅が始まったようだ。10年前の私達の旅は
第47回、既に39回もの時が流れたことになる。初めて出港式を見る人にとっては、きっと感動的であったに違いない。
さて、その第47回の続きだが、私達はケニアのマサイマラ国立保護区の中にいた。マサイマラの小さな集落でマサイ族の
熱烈な歓迎を受け、その後、サファリツアーに出発した。まさに動物王国のど真ん中にでのツアーであった。四方どこを見ても
動物だらけである。そもそもマサイマラとはスワヒリ語で動物がいっぱいいるところと言う意味である。
狩猟を生活の糧にしていたマサイ族にとってまさに天国のようなところであったに違いない。しかし。彼らは潔く狩猟生活を
捨て今は観光のために働いている。狩りをする立場から一転して動物たちを保護すると言う立場に転換している。彼らの監視
なくしては密猟者から動物は守れない。
マサイマラは標高が1000メートル近い。従って、夜になると急激に気温が下がる。私達はマラリア蚊の被害に遭うことを
恐れて上陸前に副作用の強いマラリア予防の薬を飲んで、この地へ来た。ところが夜になると蚊が出るどころか大変な冷え込み
ようであった。
私達が宿泊したのは、草原の一角にあるフィグツリーキャンプという宿泊施設であった。ここは実に快適なところであった。
何しろ草原の中でのキャンプ生活が体験できるようにしてあった。宿泊施設の一部がテントで出来ていた。そしてその一部には
トイレやシャワーまで設置されていた。
後で考えたことだが、食糧は他所から運ぶにしても大勢の宿泊客が使う水はいったいどのようにして確保しているのだろう。
廃水はどのようにしているのだろう。そう言えばマサイ族が住んでいた集落には井戸もなければ川も流れていなかった。この
宿舎の横には小さな川が流れていたので、ここが水源だったのだろうか。
いずれにせよ何もないマサイ族の生活と私たちがキャンプで受けている待遇の落差は大きい。贅沢な食事をしながらつくづく
後ろめたさを感じてしまった。そういえばキャンプに向かう途中ですれ違った女性たちは薪と思われるものを頭に乗せて運んで
いた。彼らマサイ族の生活の全ては自給自足なのだ。
マサイマラの夕焼けは美しい。ツアーガイドはツアー客が写真好きなのを心得ていて、わざと写真写りの良い場所へと案内して
くれた。その場所は正に撮影スポットだった。遠く地平線に夕日が沈もうとする時から、完全に没してしまうまでその場所へ
いてくれた。
周辺は人工的な音のない静寂の世界である。静かに吹く風が心地よい。空を赤く染めた夕焼けの中に遠くにアカシアの木が
点在する。それらが黒いシルエットとなって、なおさら景色を幻想的なものにしている。これぞまさしくアフリカ大陸の秘めたる
魅力かもしれない。
一度アフリカを訪れた人は必ずもう一度戻ってくると言われているが、この景色の中には悠久変わらない自然の何かがある。
それは私達の遺伝子の中に記憶としてしまい込まれている祖先達が過ごしたであろう過去の記憶かも知れない。ちなみに
この時写した写真はトパーズ号の中で開かれた写真展でステーシー賞を獲得した。写真の題は景色そのまま「マサイマラの夕焼け」
であった。
家内は家内でサファリカーの真正面に陣取り両手を広げ車が風を切って走る快感を満喫していた。タイタニックの舳(へさき)に
立つヒロインの心境にも似た快感だったのかも知れない。アフリカの大地は人の心を開放的にさせてくれる何かがある。
この地の標高が高いのは先に紹介したアフリカ大地溝帯の影響による。大陸は今も東西に分離中で、地下から噴き出してくる
膨大なエネルギーに押されて東西に分離している。その褶曲作用によるもので、いわば大地の皺(しわ)である。この皺は
幾重にも重なりアフリカの大地になだらかな丘陵を作っている。マサイマラの大平原も、そして遠くに見えるなだらかな丘陵地帯も
同じ皺である。
原始より豊かな大地は活発な地殻変動のあるところである。人類発祥の地は正にこのように地球の生命が躍動するところに
発生している。そのことを考えると父は太陽で母は地球だと言えるのかも知れない。私達は母なる大地に生まれ、再び母なる
大地へ戻って行く。このマサイマラで感じた言い知れぬ安らぎは、この母なる大地の懐深くに抱かれた安らぎであろうか。
翌朝は夜に活動すると言うライオン一家に遭遇した。子供ライオンを除けばすべて雌ライオンの一家である。そして幾つかの
象の群れも子供を除けば全ては雌である。人間も動物たちも元をたどれば全ては女系なのかも知れない。
さて、太陽活動が衰えている。実は太陽は大きな変動期を迎えている。既に南極だ北極だと言う「その極」の移動があった
ばかりで、今は肉眼でも見える位の大きな黒点が出来ている。(太陽を直接見ないで下さい)そして、冷夏とも言えるような
今年の夏であった。更にはアメリカのハワイまでもが氷点下だったとのことで、実は北米に大寒波が押し寄せている。今年の
冬は予測の着かない事態が起こりそうな気がしてならない。大きな気象変動期に入っているのではなかろうか。
そして父なる太陽と母なる地球との関係にも何かしら大きな変化が起き始めているような気がしてならない。さて、シリーズは
次の寄港地、南アフリカのケープタウンへと続く。あの有名なテーブルマウンテンのある街である。そして人種差別と闘った
マンデラ大統領の国である。
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