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2015年01月24日 外部ブログ記事
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選択する未来 Ⅲ (選択する未来Ⅰ 2014/11/17, Ⅱ、2014/12/26 をご参照)
最終回に当たり、曲がり角にある日本の再生のため、中長期的な課題と各種の選択肢(自立、市民社会、教育、政治、税制、等)について考えてみたいと思います。
我が国は、長い歴史と素晴らしい固有の文化、美しい国土と移り変わる四季を楽しむことの出来る数少ない国家で、世界中から観光客が訪ね、訪れたことのある外国人は誰一人として失望させられることはありません。平和で、治安が良く、清潔感溢れ、公共交通は時間に厳格に運営され、人々は豊かで、高等教育の機会に恵まれています。円安傾向は当面続くと考えられるので、観光立国として宿泊設備、インフラ整備など万全の受け入れ体制さえ整備出来れば、国際収支改善と同時に、我が国を海外に正しく理解してもらう好機です。
しかしながら、日本の将来を思い浮かべると、人口減少と超高齢化社会の到来で福祉コストは増加の一途です。国家予算はこの傾向が続けば破綻せざるを得ません。成長戦略が功を奏したとしても、当面通貨として円の価値が上がることはないでしょう。人口動態を見れば以前から人口減少社会は予測可能で、多くの有識者がこの悲観的な近未来像を提示してきたにも拘わらず、何故人々は、将来に不安感を募らせるばかりで、希望に満ちた未来を選択できないでいるのでしょうか?
我が国が戦後の混乱から驚異の高度成長を遂げ、国民がひたすら経済的に豊かになることを求め、その背景には有能な官僚による国家主導型の仕組みが成功したことがあると考えます。この成功体験こそが、「お上」頼りの依存症体質で、国民が自主・自立の機運に欠け、いただける補助金は頂くが、負担はしたくない、政治家や官僚の質が悪いと批判しても、次代を担う政治家を育て、官僚依存体質から脱却する行動に結びつかない原因となっています。多くの国民が、誰かがやってくれるのではとの期待感を持ち、他力本願の依存体質(ぬるま湯)に浸りきっていることに問題があると思われます。
一般論ですが、高度教育を受けたシニア世代は退職後も更なる知識を求めて、社会人講座を受講し教養を高め、批判精神は旺盛です。酒の肴に、政治を嘆き、官僚はけしからん、最近の若者はチャレンジ精神に欠けると意気盛んです。しかし、「批判はすれども、建設的提案に欠け」、「学んでも、行動しない」のが現実ではないでしょうか?社会悪や不正に義憤を感じ、納得できない制度や慣習を正し、勇気をもって現状を変えることこそ重要なのです。今こそ、社会のあり方を変えたいと願うなら、自ら立ち上がり行動すべき時です。
我が国には「市民社会」という概念が未だ十分根付いていません。阪神淡路震災以降NPO法が施行され、今般の東北大震災の後、被災地再生、地域活性化等の社会的課題を解決するために多くの人たちがNPOに関わり、ボランティア活動も盛んになってきました。自助、共助、公助とよく言われますが、このような活動は地域やコミュニティーを中心とする「共助」(助け合い)の活動です。最近は介護保険の資金不足から厚労省も介護認定1・2の対象者は自治体所管に切り替えました。地域で包括医療・ケアの仕組みを作り上げることも急務となっています。
多様な社会的課題を解決するためには、先ずは自らが自立し、地域が助け合いの仕組みを作り、国や自治体(行政)は民間ではできない分野の公助に徹し、行政は「小さな政府を目指し」、「大きな市民社会」の構築のための仕組みを検討すべき時です。私は「思い」を行動に移し、行動する人とともに変革にチャレンジしたいと考えています。この点、英国のキャメロン政権は大きな市民社会の構築のための国家主導の資金循環の仕組みを実験中です。また、G8の席上インパクト・インベストメント(社会的インパクト投資)による社会変革を呼び掛けています。(詳細は「ソーシャル・キャピタルと経済」近々発行の予定に譲ります)
次に教育について簡単に触れておきたいと思います。文部科学省は重い腰を上げ、大学入試センター試験に代えて中教審が答申した新たな共通試験についてこの一年をかけ、具体的な変更に着手することになっています。これまでの知識習得から知識の活用力を見るテストへの変更がその核心部分ですが、この際、フィンランド(子供の創造性発揮に力点を置く)やドイツ(マイスター教育)等の諸外国の教育例なども参考に抜本的改革を願いたい。また、海外の大学との単位制度の共通化による国際的な人材育成や、日本の大学では英語による授業を拡大し、海外からの留学生獲得競争に勝ち抜く体制の構築、市民社会育成のため、ソーシャル・ベンチャーや社会的企業について学べる専門的機関の新設等も検討すべきではないでしょうか?同時に歴史と伝統を学び、感性豊かで、創造的な次代を担う若者の育成が望まれます。
政治の在り方についても触れておきたいと思います。民主主義社会に於いて政治家は選挙で選ばれた国民の政策遂行代理人です。国であれ、地方であれ、我々の意思を行政に反映し、必要なら議員立法で行政の在り方を変更すべきです。有権者は選挙により代理人を選ぶと同時に、選ばれた代理人の仕事ぶりを監視し、場合により適切に指導すべきなのです。日本の官僚システムは戦後の復興過程での成功体験のゆえに、事実上強い権限を有し、未だに縦割りで国益より省益を優先する仕組みになっています。有権者は有能な政治家(リーダー)を選び、官僚と政治家(族議員)、企業、との癒着を排除し、政治家が公僕たる官僚を国民のために奉仕させる仕組み構築しようではありませんか?
消費税引き上げ議論とともに、税制の抜本的改革が議論されています。納税は国民の義務であると同時に、国民は各種の選択肢を有しています。そもそも、日本国民は日本に居住することから納税の義務を負う訳で、例えば相続税課税が強化されれば海外に移住する選択肢を行使するかもしれません。法人税が近隣国家比異常に高ければ、法人企業の海外移転も検討されるでしょう。日本では徴税の主体は国家が中心で、地方自治体では一部の課税権限しかありません。国によっては地方分権が進み、地方自治体が大きな課税権を有し、税率が異なると居住する自治体さえも住民の選択肢の一つとなり得ます。このことは国民や住民が、より効率的に運営され、高いサービスを受けられる地域に住むことを選択出来ることを示しています。
我が国でも最近の地方創生議論とも相まって、地方自治体により多くの税源と権限を委譲する方向にあり、ふるさと納税、NPO課税のあり方を見ても、国民の選択肢は増えつつあります。「大きな市民社会」が公的サービスを効率的に代替出来れば、税額控除が認められた認定NPO法人に寄付をすることは新しい形の納税の選択肢と言えるわけです。自治体間競争も人口減少社会の到来で益々激しさを増してくると考えられます。低い課税でより良いサービスが得られる自治体は存続し、そうでないところは消滅の道しか残されていません。自治体マネージメントはこれからの最大の課題です。地方議員の数と報酬を半減し(場合によれば地方議会は夜間に住民のボランティアで運営することも可能)、自治体に有能な経営者(シティー・マネジャー制度)を採用し、企業経営の手法を導入することも自治体生き残りの選択肢となりえます。
この国の形を変え、未来を選択することが出来るのは貴方なのです。「決めない、変えない、取りあえず今のままで」というこれまでの日本の行動様式では、変化を起こすことはできません。自立・自存、「知行合一」の精神で、個人個人が「お上」に頼るのではなく、自ら望む道を歩み、行動することが求められています。そして、成熟した大きな市民社会の育成、次代を担う若者の育成と世代間の対話と交流による融和が求められています。(完)

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