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レディース・プログラム 

2015年09月08日 ナビトモブログ記事
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今回のポーランドには、どのくらいの人数が集まったのだろうか。

ディナー・パーティの顔ぶれを見ると、60人位だったかと思う。

でも何れにしろ、私たち同伴者は、会議に出ている旦那様とは無関係に、「レディース・プログラム」と名付けられた、半日旅行や一日旅行に参加して、交流を深めるのだ。


最初に私が参加したのは、1999年ドイツのボーデン湖畔にあるコンスタンツ市での委員会。

それまで、日本人の委員は只一人だけだったらしく、先輩のK夫人が私を皆さんに紹介してくれるたびに、「良かったわねえ、お仲間ができて・・」と言われていた。

夫人の話によると、二年おきに開催される大会では参加者数が500〜600人を超えるので、その合間の年に開催される委員会で、各国の奥様達が交流を深めて大会に備えるのだとか・・。

彼女は既に、かなり年季が入っているらしく、お友達がたくさんいる様子だった。

それに、一世代上にもかかわらず、夫人は訊いてみると生まれがニューヨークで、先の大戦で一時帰国したけれど、高校時代には再度ニューヨークで過ごし、かのオノ・ヨーコの妹分だったとか。

英会話が好き、といった主婦の私とは、ちょっと土台がちがう様子であった。


私はその時自分なりに、でもとにかく何でもK夫人に付きまとって、通訳なしでは何もできない日本人になるのはやめようと、心に決めたのだ。

その気概だけは、帰国子女のK夫人にも伝わったらしく、二人だけになると日本語で色々教えてくれた。


今回のポーランドは委員会だったのだが、「レディース・プログラム」に参加する人は、やっと10人程度であった。


最初の夜の、ウエルカム・レセプションでは、同伴者らしい女性も多数見かけたのだけれど・・。

私は、最初から同胞のK夫人が紹介してくれたので、夫人たちの輪に入り易かったけれど、初参加の人からみると、溶け込みにくいバリアがあったのかもしれない。

私の様に余裕のない性質の人間は、見知った人たちを見かけると「まあ、お久しぶり!お元気?」などと言いながら交流を温めるから、ますます閉鎖的な和を作っていたとも思える。

今回、初めてそんな印象を持った。

というのも、イギリスから来たエリザベスさんも、「もう、余り知ってる人が居ないわ」と言って、輪の中に佇んでいたし・・。

考えてみれば、私も既にエリザベスさんと並ぶ、古参者の一人となっていたのだ。


印象として、レディース・プログラムは、同伴者としていつも参加している常連の夫人が主催者になると、ぐっと内容が充実して楽しくなる。

最初のコンスタンツでは、ドイツ代表のイングリッド夫人の実家が舞台だったこともあって、まず宿泊したのが、ボーデン湖内にある、小さな島全体がホテルの敷地になっている、アイランド・ホテル。

しかもその建物は、もともと飛行船を発明したツェッペリン伯爵が生まれた古城だったという、素晴らしいロケーションだった。

それは私の、同伴者デビューの場としては、出来過ぎていたとも言えよう。


テラスでワイングラスを手にして、輝く様な湖水を見渡しながら、自分がまるで映画の登場人物にでもなった様な気分であった。

しかも、土地を知り尽くしているイングリッドさんの采配で、船に乗って他の島に渡り、旧い城跡などを見学しながら一日をゆっくりと過ごしていると、夕方になって仕事を終えた旦那さまたちが、何処からともなく合流してきて、ディナーパーティーの場所へと向かう。

帰りは、新しくできた橋を渡って、瞬く間にホテルへ戻る。


その点、奥様が通常参加してない委員が主催の時は、旅行社のプラン等を手配してくれているので、現地のツァーに参加することになる。

まあ、それなりに楽しくはあったけれど・・。


スワヴェックの夫人ハリーナは、社交的な人だけれど英語を話さないので、あまり同伴する機会が無い。

今回も彼女は不参加だったので、スワヴェックはあらかじめ、クラクフ出身でワルシャワ工科大学の自分の講座の学生を、案内係として準備していたらしい。

私は、夫人たちとおしゃべりをするために、初日の市内観光だけ参加することにしていた。

処が、月曜日は入場無料だという理由で、初日はシンドラー工場の見学日に変更されていた。

映画「シンドラーのリスト」の舞台になった工場が、現在博物館になっているのだった。

翌日は「アウシュビッツ」見学日であった。


私は、最初にポーランドを訪れた際、ワルシャワから電車でクラクフまで来て、其処からタクシーを一日チャーターして、アウシュビッツへ行った。

当時は殆ど見学者も無く、交通の便も悪いので、異邦人が訪れるにはタクシー位しかなかったのだ。

11月の終わりで、雪がちらほら降っている閑散とした収容所の印象は、ちょっと忘れることができない。

この年になると、再びあの気持ちを味わうのは、ちょっと支えきれない気がして、今回は参加しないつもりであった。


しかし、心の準備も無く訪れた、シンドラー博物館の悲惨さは、想像を超えたものであった。

淡々と、新聞記事や民衆の写真が並べられているだけなのだが、その裏にある実態が、いかに深刻なものであったのか。

たまたま、同行していた夫人たちが、ドイツ人だったりご主人がドイツ人といった人達だっただけに、不用意な感想も口にできない雰囲気もあった。


私にとって身近なポーランドだが、今回お会いしたした人たちの殆どが、初めての訪問だと言っていた。

委員である旦那さま達は、会議が始まる前日とか、終った後に暇を見つけて、アウシュビッツを訪れる人が多かった。

当地にきて、アウシュビッツを訪れるか否か、人間性を問われている気さえもした。


西ヨーロッパの人たちにとって、ポーランドという国は、何かのきっかけでも無ければ、あえて訪れようとはしない場所なのかもしれない。

今回は、西洋の人たちのそれぞれの歴史を、垣間見た気がした旅でもあった。



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まるで絵葉書の様・・

シシーマニアさん

吾喰楽さん、コメントありがとうございました。

あちらの景色や景観は、ほんと絵になりますね。
パーティの場が多いのも、女性には楽しいです。

青空に映える宮殿を見たりすると、「まるで絵葉書みたい」と思って、自分自身で受けたりします。

只一歩踏み込むと、長い人間の歴史に出会う事になります。
今は観光化されている場合も多いので、ちょっと気楽ではありますが。

2015/09/08 16:33:03

ショパンは、ちょっと観光化しています。

シシーマニアさん

Reiさん、コメントありがとうございました。

ショパンの祖国のポーランドは、それだけで魅力ありますね。
でも実は、一度も演奏会へは足を運んだことはありません。観光客用のコンサートはたくさんありましたが、ちょっとそれはね・・。
ショパンコンクールを聴きに行ってみたい、というのが夢です。でも開催が、五年に一度なのでタイミング的に中々困難ですけれど。

2015/09/08 16:25:28

日本は、遠いですね・・。

シシーマニアさん

彩々さん、コメントありがとうございました。

私も、初めて参加した際は、これがヨーロッパの大人の世界か、と深く感じ入りました。
そんな中に混じっている自分が、不思議ですが、「西洋思考」一筋を、ひたすら強く続けてきた結果でしょうか・・。
継続は力なりですね。
主人は、国立の研究機関に勤めていました。

2015/09/08 16:20:16

洋画のワンシーン

吾喰楽さん

おはようございます。

洋画のワンシーンを観るようです。
映画でしか、観たことがない世界です。

先日、アウシュビッツをテレビで観ました。
ガイドは、淡々と案内をするだけです。
テレビで観るだけでも、目頭が熱くなりました。
悲しいことですが、現実にあったことなんですよね。

2015/09/08 08:32:10

ポーランド

Reiさん

ポーランドは、ショパン様の故郷でもありますので、一度は訪れてみたい国です。

2015/09/08 08:05:46

情景が

彩々さん

自然と浮かぶ…それも西洋文化が

香り立ち、インテリジェンス溢れる
人達が集うその雰囲気!

そんな中に違和感なくシシーさんが
いらっしゃることに感動すら覚えます。
素晴らしい方たちが居らっしゃる
このシニアナビ・Blogですが、一段と
グレードアップします。

ご主人様は政府外交関係のお仕事なのでしょうか!?

2015/09/08 07:27:56

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