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独りディナー
シンディさんの来訪
2015年09月10日
テーマ:旅
シンディさんに初めて会ったのは、ギリシャのミコノス島で開催された、委員会のディナーパーティ。
2004年の日本での大会にも来ていたそうだが、彼女はいつも三人の子供連れなので、レディース・プログラムには参加しない。
それでも、オーストラリア人のシンディさんは、言葉の不自由がないし、何よりもあの美しい金髪とのびやかな表情には、皆心を開いてしまう。
主人とシンディさんの旦那さまは、分野が近いのか元々交流があったらしく、名古屋で開かれた国際会議に夫婦で来日したときは、シンディさんと私の二人だけのレディース・タイムを持った。
私は、当地にはあまり詳しくないし、運転も人を乗せる自信がなかったので、電車に乗って犬山城へ案内するつもりであった。
事前に英語の解説等を読み、昼食の場所も調べて、さてホテルで再会したとき。
まず礼儀として、「どこか、行きたいところはありますか?」と訊いてみたところ、シンディさんは即座に「イエス」と答えるではないか。
「えっ!イエスか・・」と思いながら、できるだけ意に沿えるように、更に訊いてみると、
いくつかのお店の住所が書かれたメモを見せてくれた。
そういえば、旦那さまから主人へのメールに、「シンディが、ちょっと買い物をしたいらしい」と書かれてあったのを、思い出した。
でも、名古屋へ来る前に、東京で数日間過ごすと聞いていたので、その線は殆ど、私の念頭から離れていたのだ。
これが私の、偏見に満ちた性格なのである。
全部、ビーズのお店だった。
私は、恥ずかしながら手芸は全くダメで、中学の頃の宿題等は母のお蔭でクリアできたクチである。
そもそも、ビーズのお店を覗くのも初めてであったし、地図こそ持ってはいたけれど、欧米のそれと違って、日本で住所と地図から場所を探しあてるのは、極めて難しい。
今なら簡単に「スマホでナビ」というところなのだろうけれど・・。
ビーズの店を探しながら、何処で教えて貰ったのか、シンディさんは東急ハンズのアネックスにもお店があるという。
私は、大体東急ハンズに別館があることも知らなかったので、二人で地図を広げて探していたら、知らないおじさんが「Are you going to tokyuhanzu ?」と話しかけてきた。
頓珍漢な英語でしゃべっている私を、見かねた様子だった。
それとも、只英語が話したかったのかな。
地図を見ながら、行き方を英語で教えてくれた。
よくあるのだ。
私は英語を話すとき、自分が聞きとりにくいものだから、話す声もつい大きくなってしまう。
辺りの人たちは、素知らぬ顔をして耳を傾けているらしい。
私が「わかったかしら、私の言った意味・・」と聞いたりして、「ウーン。ソーリー。ノー・・」などと言われると、傍にいた人が私と一緒に、思わず噴き出したこともある。
その人にも、私の英語は意味不明だったらしい。
だから、私の好きなシチュエーションは、わが家での横メシ。
他人は居ないし、わからなくなれば主人に通訳してもらう。
主人は、私が余程おかしなことを言わない限り、横で吹き出したり、訂正したりもしない。
英語の授業じゃないのだから、意図することが伝わればよい、というシンプルな考えなのだ。
それでも、その日は二人だけの時間が長かったから、旦那さまとブラスバンドで出会った話とか、彼が英国留学中に文通して恋が実った、という様なプライベートな話をして面白かった。
丁度大きな教会の前を通った時には、宗教の話も出た。
オーストラリアには、仏教徒も結構いるそうである。
1997年、香港が中国に返還されたとき、かなり大勢の香港の人がオーストラリアに移住してきた結果だと言っていた。
テレビ塔の前の噴水をバックに「写真を撮りましょう」というのでポーズをとったら、何故かカメラの調子がダウン。
おかしかったのは、「まあ、どうなったのかしら。困ったな。ホテルに戻ったらモァリーに見て貰うわ」というセリフが、我が家と全く同じだった事。
しかも、翌日ご夫婦をディナーに招待したときは、ごく自然にご主人のモァリーさんが、すっかり調子の戻ったそのカメラで写真を撮ってくれたのも、我が家と同じパターンであった。
我が家にいらした日、二人はトヨタ博物館へ行った話をしていた。
ご主人のモァリーさんが、「日本には年号が二つあるらしいけど、質問してい良いかい?」という。
「トヨタの会社の歴史が掲示されていて、西暦と日本の年号と二つ書いてあったのだけれど、数が合わないところがあるのは何故なのだろう?」という。
大正から昭和、昭和から平成に移る時、最後の年と元年が重なっていたのを、不思議に思ったらしい。
それから、TOYODAという人が作った会社名が、TOYOTAというのは何故なのか、など等見方が鋭くて面白かった。
最近はお嬢さんがドイツ人と結婚したので、ヨーロッパはよく行くらしい。
「因みに、御嬢さんは結婚して、国籍は何処になるのかしら」と訊いてみると、二人で考え込んでしまったのも、面白かった。
もともと、シンディさんはオランダ生まれで、子供の時に家族でオーストラリアへ転居したから、彼女自身が現在もオランダ国籍を所持しているし、子供さんたちも母親の国籍を持っているのだそうである。
ユーロ圏のパスポートを持っていると、便利なこともあると言っていた。
私たちから見ると同じように見える西洋人でも、国籍問題などは、中々奥が深そうであった。
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視線の違いは、含蓄がありますね
師匠、コメントありがとうございます。
角度の変わった見方の重要さ、という事ですね。
私も只西洋に憧れているだけではなく、モァリーさんのような、ニュートラルな視線で眺めてみたいものです。
日本語には、曖昧模糊とした良さがあるので、往々にして中心にある核を忘れてしまうことがあります。
2015/09/10 22:00:04
緊張感
この世には、不思議、不合理なことが、山ほどあるのですが、
私達はそれを、概念という大まかな風呂敷で包み、
不勉強の言葉と共に、棚上げしてしまっていることが、
少なくありません。
外国人の目は、その曖昧な中身を、見逃しません。
遠慮もあらばこそ・・・
訊いて来るのは当然です。
大汗をかきつつ(時には冷や汗も)これに答えるのは、
私たち自身のためにも、良いことなのかもしれません。
2015/09/10 17:08:27