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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その11 

2016年02月19日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


そんなある日のこと、ポストに一枚のチラシが入っていた。何気なく見ると郵便局が配達員を募集していた。千恵子の制止を聞かず爽太はすぐに電話をしてみた。すると中之条郵便局で面接をするという。勤務は地元の三原と大笹の郵便局だが、管轄の中之条郵便局で採用するらしい。考えてみれば、移住してきたばかりで地理もわからない、しかも65歳の年寄りが採用されるはずもないが、爽太は乗りき満々だった。地図さえあれば、どこだって行けると簡単に考えていたのだ。数日後、指定された日に爽太は意気揚々と出かけていき、約1時間で中之条郵便局へ着いた。待機した部屋にはそれらしき人たちが5〜6人いたが、面接の手ごたえは上々で、帰宅して「採用されるね」っと、自信ありげに千恵子に言ったのだった。そして一週間後、「不採用」の通知がきた。
今度は千恵子が誇らしげに「ほらね」と笑う。
数日後、爽太はセブンイレブンのトイレに貼ってあったチラシに反応して電話をしてみると、真夜中の勤務だという。これにはさすがに乗り気になれない。
 
夏も終わり9月になった。そろそろ冬に備えて冬用タイヤを準備しなくてはと考え、プロパンガスを配達してくれている三原商店に相談してみた。三原商店は数年前までガソリンスタンドを経営していたが、現在では灯油とプロパンガスだけを扱っている。タイヤは自分のところで扱っていて、交換もしてくれるという。これも考えてみれば当然だった。扱っているところに行って、どこかタイヤを扱っているところを教えてくれというのもおかしな話である。これがきっかけで爽太はすっかり三原商店の店主と仲良くなった。そして、そこのご隠居夫人がまた楽しい人物だった。話好きでよくしゃべるが、爽太を見ると、元気なうちは働いた方がいいという。しかし具体的な働き場所を知っているわけではない。
だが、村役場に募集のチラシがあることを教えてくれ、嬬恋村では65歳になると温泉へ100円で入れるという、爽太にとってのビッグニュースを提供してくれたのだった。
その時、タイミングよく爽太はあと数日で65歳になるところだったのだ。
 
爽太は役場で見つけたある商店の鬼押し出し園の店の販売員募集に応募してみた。すると、
一週間後に社長が面接をするという。浅間牧場の喫茶店で社長と面接したが、どうも女性を採用したい様子がうかがえた。爽太は食い下がり自分を売り込んだ。熱心さに動かされたのか、後日連絡すると言ってくれたが、その後不採用の連絡がきた。
千恵子は、65にもなる年よりを採用するところなんかあるわけがない、いい加減にあきらめろというが、爽太はこうなると意地でもどこかで働くぞ、とますます「働く」意欲がわくのだった。しかし、内心は千恵子の言う通りだと感じていた。こんなに元気で何でもやればできると自分は思っていても、世の中そんなに甘くない、と思うようになっていた。
「就職はできない」ということが大きなショックで、さすがの爽太も落ち込んでしまったのだった。
 

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