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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その17 

2016年03月25日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


知り合いのいない場所での生活は、情報源がない。ある日、爽太はスーパーツルヤで買い物をして帰る時、壁の隅っこにさりげなく置いてある新聞に気付いた。それは「軽井沢新聞」で、自由に持ち帰ることができた。何気なく買い物かごに入れて帰ったまま、爽太はそのことを忘れていたが、いつの間にかそれを見ていた千恵子が、これ面白そうだから行ってみない?と、爽太に持ちかけてきたのは、ガーデン・オープン・チャリティというもの。軽井沢新聞の小さな記事には、NGSジャパンが主催するとあったが、NGSはナショナル・ガーデン・スキームの頭文字。「ティータイム」を楽しむように「庭園」の中で人生を楽しむライフスタイルを大切にしているイギリスで、78年前に生まれた「ナショナル・ガーデン・スキーム」は平成13年6月、日本でも発足し、年ごとに発展しているという。
 
英国では、1927年、ミス・エルジー・ウァッグが「女王陛下の看護協会」を支える基金の為に、ガーデンオーナー達に「庭園からのチャリティ」を呼びかけ、「ザ・ナショナル・ガーデン・スキーム」(The National Gardens Scheme)が始まった。現在では、3500以上もの個人庭園等、その最も美しい時期の「ガーデンオープンデー」の入園料により、多大なる収益を得て、そのすべては、1000以上の「チャリティ団体」へと寄付されている。そしてその庭園福祉活動は、「イエローブック」の愛称で国民生活の中に浸透している。「社団法人NGSジャパン」は、「英国ザ・ナショナル・ガーデンズ・スキーム」の姉妹団体として支部的役割を果たしながら、庭園福祉活動を中心に、日本と英国間の庭園・園芸文化交流を盛んに行い、庭園福祉活動、庭園文化奨励、英国庭園文化および英国生活文化紹介、庭園保護保存運動奨励、の活動を行っている。
 
あまり気の進まない爽太だったが、千恵子が行きたいというのでしかたなく出かけたのだった。場所は中軽井沢にある「川勝邸」。」静岡文化芸術大学学長の川勝平太氏の屋敷はすぐにわかった。入園料は500円で、会員の人たちによる手作りのお菓子とお茶が振る舞われ、庭を拝見しながら和やかな楽しいひと時が流れていった。爽太は、どうもこういったかしこまった雰囲気には弱く、ただ作り笑いをしながら我慢していたが、千恵子は当主の川勝氏と和やかに会話していた。この辺りは猿が出て困ると話す川勝氏は、常ににこやかに場の雰囲気を保っていた。入園料はわずか500円だが、参加者が増えれば大きなお金となって社会貢献ができる。こういう雰囲気は苦手な爽太だったが、美味しいお茶とケーキに美しい庭園と和やかな会話が社会貢献へ繋がるというイギリスで生まれた庭園福祉活動が、日本でも大きく発展して行くことを願った。
そして、経済学者でもある川勝平太氏は、その後、静岡県知事となり活躍したことは、一度しか会ってはいないが、なんとも奇遇なことだった。
帰路、突然の大雨に見舞われ、前が見えないほどの土砂降りに悪戦苦闘しながら北軽井沢にさしかかると、嘘のように晴れた。ここから北が晴、南は雨という境界線を見たようだったが、これも初めての経験だった。こうして一つひとつ二人の出会いや経験は増えていった。

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