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教えるのも、楽し 

2016年04月27日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

昨日のレッスンは楽しかった。

シューマン作曲の「子供の情景」

13曲からなる小品集である。

魅力的な曲が並んでいる割には、全曲を演奏会で演奏されることは余り多くはない。

技術的には簡単な曲が続くので、演奏会でわざわざ弾くまでもないと思われるのかもしれない。

7曲目の「トロイメライ」だけを、単品でアンコールに取り上げる程度である。

或いは、技術的には難しくないので、子供が発表会で数曲弾いたりもする。

という訳で、若い頃には小学生位の生徒の為に、レッスンは度々していた馴染みの曲ではあるけれど、昨日のレッスンでは、ずいぶん久しぶりに出会った気分であった。

真面目な私は、まあ当然だけど自分のレパートリー外の曲は、教える前に色々調べるのが常で、今回は調べている段階で既にとても楽しかった。


13曲すべてに表題がついていて、若いころは邦訳されたタイトルからイメージを膨らませていた。

だが留学して以降は、通常、楽譜は原典版を使う事にしている。

ドイツの作曲家なら、大抵ヘンレ版を、フランスものなら、デュラン社版を、と言う風に。


今回はヘンレ版を使用して、ドイツ語のオリジナルの表題からイメージを膨らませていった。

私のドイツ語の知識なんて高が知れているけれど、辞書という名の無二の親友に助けてもらい、色々見えてきたのだった。


弾いてきた生徒さんは、大分前に音大を出た方で、それなりに年齢を重ねているし、ご本人にも色々と知識があるので、それは実に楽しい。

かつては「異国から」と訳されていた第一曲目も、見知らぬ国々と人々、といった単数なのか複数なのかがわかるだけでも、イメージはずいぶん違ってくる。

「おねだり」と題する4曲目も、原題を見て、ねだっているのは子供なのだ、と改めて知ることによって、飽きることなくべたべたとくっついてねだり続ける子供が、曲に見事にマッチして思い浮かんでくる。

そんな時は、弾いている自分はむしろ、ねだられている母親気分だ。


「満足」と題されていた5曲目も、genugという単語が入っていることによって、私はちょっと、「十分に幸せ」と言うよりも「幸せ過ぎ・・?」というニュアンスを感じてしまったりもする。

「トロイメライ(夢)」と名付けられた7曲目に続く、「暖炉のそばで」という8曲目。

もしかしたら其処には、暖炉にはつきものの、編み物をしているおばあさんが居て、その横でまどろんでいた孫が、夢を見ていたのが「トロイメライ」だったのかも。

かつての邦題は「炉端で」だったが、これだと今の私では、居酒屋を連想してしまいそうだ・・。


曲集はまだまだ続くのだけれど、そんな勝手なイメージを彼女と共に描いていくと。


又、彼女には表現力があって、どんどんそれを音楽にしてくれるのだ。

何とも楽しいレッスンであった。



そして、教えた後に気が抜けてしまわない、これがいい。



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翻訳

シシーマニアさん

吾喰楽さん、コメントいつもありがとうございます。

翻訳って、演奏と似ていて面白いんです。
原作者と、翻訳者との意識の違いとか、いくつかの翻訳を並べて比較してみたり・・。

映画の字幕では、戸田奈津子さんのが圧倒的におもしろいですよね。個人的見解ですが・・。

2016/04/28 10:52:57

トロイメライ

吾喰楽さん

おはようございます。

唯一知っている名前は、「トロイメライ」です。
「子供の情景」も、知りませんでした。

映画でも、原題と邦題が違うようですね。
中には、意訳を通り越して、新たな題名にしたのもあるとか。

教えることを楽しんでいる先生に教わる生徒は、幸せです。

2016/04/28 08:25:11

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