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吾喰楽家の食卓

草履と三回忌 

2016年07月31日 ナビトモブログ記事
テーマ:生活

昨日、母方の親戚の三回忌法要で、高円寺へ行った。
母の実家を中心に、右側に両親、左側に親戚と、三家の墓が並んでいる。
少し早く家を出て、池袋のデパートに寄ることにした。
草履を見るためである。
見るだけで、買う予定はない。

土曜日にしては、乗客が多かった。
小川町発の快速が混んでいたので、いつもの車両よりも後ろへ移動した。
池袋に着くと、ちょうど階段の前だった。
ところが、階段を降りると、いつもとは違う改札である。
右も左も分からない。
幸運なことに、『ゆかた展』ポスターを見つけた。
お目当てのデパートである。

小さな看板が、履物屋のショーケースの上にあった。
『銀座〇〇』と、書いてあった。
和服姿の男性店員が、座っていた。
60歳代半ばくらいであろうか。
周囲に男物の草履が並んでいた。
これ以上近づいたら、声を掛けられると思い、立ち止まった。
何とか、値札は読める。
とても買える値段ではなかった。

男物の浴衣売場に移動した。
セールと書かれたコーナーで、既製品の浴衣を手に取った。
洒落た柄だったが、特別に高級品とも思えなかった。
ところが、既製品とはいえ、結構な値段がした。
ここにも、草履が展示されていた。
先ほどの専門店ほどではないが、安くない。
周囲に店員が居なかったので、のんびりと目の保養をした。

高円寺の南口商店街を通って寺に向かった。
輸入雑貨を扱う店で、草履みたいなサンダルを見つけた。
自然素材を使っている。
迷わず買った。
定刻15分前に寺へ着くと、既に兄は来ていた。
施主に挨拶を済ませ、兄の隣に座った。

「これ、如何」と、目立たぬように、兄にサンダルを見せた。
「ビーチサンダルみたいだな」
「浴衣を着たとき、履こうと思うんだけど」
「素足か」
「勿論」
「悪くないよ。使える」と、兄のお墨付きを貰った。
「ひと夏だけ使えれば、元が取れる値段だったよ」
「歩くときは外股で、踵を引きずるように歩くといいぞ」
「大丈夫。元々ガニ股だから」
「足を上げると、浴衣の裾が足にまつわり付いて、格好悪いんだ」

定刻、本堂で法要が始まった。
本堂は冷房が利いているし、椅子席なので楽である。
ところが、墓経が大変。
わが家も同じだが、今後の法要は、ずっと夏なのだ。
会食は、中華料理店である。
言い古された表現だが、「砂に水が沁み込むが如く」、生ビールが喉を潤した。

90歳を過ぎて、妻に先立たれた施主の落胆ぶり、傍から見ていて気の毒だった。
それでも、三回忌ともなれば、大分、落ち着いている。
「〇〇ちゃん、幾つになったの」
「96歳だ。杖を使えば歩けるけど、あちこち痛いよ」
「100歳の祝に、呼んでね」
笑っていたが、返事はなかった。



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パトラッシュさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

昨日は、暑かったですね。
夕方、帰宅しましたが、疲れて何もする気になれませんでした。
今朝も、珍しく6時まで寝ていて、早朝の落語を観損ないました。

という訳で、今日のブログは、朝飯前に書いたものです。
決して、別の意味の「朝飯前」ではありませんが。
思いつくままに書いたのが、良かったのでしょうか。

2016/07/31 09:18:42

今日の文

パトラッシュさん

なかなかいいです。
流れがスムーズです。
読んでいて、楽しいです。
吾喰楽さん、腕を上げられましたね。

2016/07/31 08:47:18

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