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禁断の部屋　

2016年08月12日
テーマ：音楽

息子が、ショパンのノクターンにはまったのが、そもそものきっかけであった。


私は長〜いピアノ人生で、今までこの名曲をコンサートで取り上げたことは無かった。


でも最近、息子が家に戻る度に、聴かせてくれというので、せっかくの名曲だから、と練習を始めてみたのだった。


先月の連休に、息子がやってくると言うので、４日間くらい練習した。

結構集中して・・。


しかし、今まで取り上げなかっただけの事はあったのだった。


初見でも何とか弾けるほどの簡単な曲なのに、イマイチ素敵な演奏にならず、自分なりにだけれど、オーケーを出すことができない。


何度弾いても、どこか薄いベールの彼方に、ノクターンは遠ざかってしまう。


ノクターンには、私と共同作業をしようという気が無いらしい。


更に、私が耳を傾けても、ノクターンの言葉が聞こえてこない。


大体私は、自分が弾いているときに、音達の後方から声というか、言葉のようなものが聞こえてくると、自然に気持ちがその曲の中に入っていけるのだが・・。


残念ながら、この美しい音楽は、美しく響くだけで、私へと語りかけてくる言葉を、持っては居ないらしい様子である。


この曲とは縁が無かった、と諦めることにしよう。


トラウマ、もある。


弟は、ピアノ専門では無いのだが、部類のピアノ好きで、このノクターンは彼の十八番であった。


息子は、この弟と音楽性がよく似ていて、時折私は、息子と話をしていて、デジャブ（？）といった様な感覚に襲われることがあるほどだ。



彼らの共通した音楽性は、根本的に私とは世界観が違う。


今回私は、自分にとっての「禁断の部屋」に、うっかり足を踏み入れそうになった、と言うことだろう。



年をとっても、人間の本質はそう変わるものではないらしい。

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