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札幌での、サロンコンサート　

2016年09月03日
テーマ：音楽

サロンコンサート、と言えば。


札幌に住む義母は、私が前半生の大半を、ピアノに費やしたにも関わらず、自分の息子の様な公務員と結婚した為に、満足な活動ができなくて申し訳ない、といつも言ってくれていた。

そして、自分ができる範囲で協力してよう、と思ってくれていたらしく、ある日札幌でサロンコンサートを開くことになった。


多分それは、私が札幌の母校である中学校の同窓会に招かれて、著名な声楽家の同窓生と共に演奏するという、その機会を一種のステイタスと捉えて、企画し易かったのだろうと思う。


サロンコンサートを開いたそのお宅のオーナーは、実業家ながら奥様が活動的な方で、色々な演奏家が札幌に来ると、自宅に招いてサロンコンサートを開催していたらしい。


義母も、何度か招かれて、「実は、・・」ということになったのか、詳細はわからないが。


さて、当日。


タクシーで、当のお宅へ向かう途中、色々宣伝してくれた義母は、これから聴きに来てくれる従姉妹を迎えに行くという。


私一人は、直接先にそのお宅へ向って、簡単にリハーサルをすると言うことで、近くで下ろして貰った。


何故、タクシーがお宅の前まで行かなかったのか、今にしては謎なのだが・・。



「大きなお宅だから、すぐ解る」という義母の言葉で、
私は大きなお宅を探し始めたのだが・・。


閑静な住宅街には、大きなお宅が沢山建ち並び、しかも11月の札幌は、あっという間に日が暮れた。


寒い中を、あっちに行って、こっちに行って。


30分くらい、うろついただろうか・・。

そのうち、義母からの携帯が鳴った。

「今、何処に居るの？」


それは、こっちが訊ねたいせりふ、だった。


「もう、皆さん集まって、あなたを待ってるんだけど」


お嫁さんは、つらいよ。



義母は義母で、嫁の不行き届き的に、皆さんに気を遣っていたのだろうけれど・・。

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