メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

北軽井沢 虹の街 爽やかな風

92歳老人北軽井沢移住生活奮闘記(42) 

2016年10月17日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


野菜直売店の仕事も終わりが近づいてきた。爽太は、道行く人々や旅行中の人々との交流の中で、新しい発見があり、様々な人間関係を経験した。
「おじさん、今日帰ります。いろいろとありがとう」と言って避暑地を後にする人々が増えていく。今日も一人、そしてまた一人、店の前を通る人はどんどん減っていく。
「おじさん、いくら?」と値段を聞く客に「あと300円で1000円」などと冗談を言いながら300円余分に買ってくれた客は少しずつ姿を消していく。「秋風が吹く」とは、昔の人はうまい表現を使ったものだ。いずれにしても、爽太にとって、この年齢で経験できたこの仕事は多くの宝物を残してくれた。何もしなくても75日は過ぎる。時間は誰にも止めることはできない。その「時」を大切にすることを、爽太は別の観点から学ぶことができた。
 
あの荷崩れを起こしてキャベツを追っかけた場所から300mほど進み、十字路を左折するところに倉庫兼作業場のような建物がある。爽太はそこで働く一人の老人とほとんど毎日視線が合う。その老人のにこやかな笑顔が素晴らしい。老人は収穫したキャベツを収納する段ボール箱を組み立てているが、爽太はいつも左にハンドルをきりながら老人の方に目をやり、こちらも笑顔を返しながら一礼する。老人は座ったまま、にこやかな笑顔で頷きほほ笑んでいる。まさに目で交わす会話だ。
「毎朝精が出るの〜、気を付けて行きなさい」
「うちでは息子たちがしっかりやってくれているので、わしはこうして段ボール箱を作るだけじゃ」
「農業も大変だが、とても楽しんでるよ」
ハンドルを元に戻し走りながら爽太は老人の声を聞く。
「オヤジさんも元気そうですね。朝早くからいつも頑張っていますね」
「僕もこの清々しいキャベツ畑の中を走るのが楽しみですよ」
「じゃ、行って来ます」
最後まで実際に会話をすることはなかったが、たまに老人の姿が見えない日には爽太はちょっぴり寂しい気持ちになったものだ。そして、帰路では老人の姿はなく、大きなトラクターが2台建物からはみ出るように入っているだけだった。名も知らぬ老人との目で交わす会話は、自分が想像するだけのものなのに、爽太には楽しい思い出となった。毎日違った会話を想像しながら、いつの日か会いに行きたいと思ったこともあった。
 
そしてついに75日が経過した。長かったかと言えばそうだとも言えるし、短かったかと言えばそうかもしれない。「野菜のオジサン」は、数々の経験を積み、たくさんの人々と出会い、すばらしい思い出をつくった。終了二日前、気が緩んだせいもあって、荷物を持ち上げた瞬間、腰がピリッと痛んだが、何とかしのいで最終日を無事迎えることができた。
野菜直売店には、ブログフレンドやクイーンランドの友達、オーナーズ会のメンバー、近所の別荘の人たちなど、たくさんの人たちが来てくれた。その心温まる応援の数々、どれほど励みになったことか。人の心の温かさを身に染みて感じた爽太だった。
 
 

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR





掲載されている画像

    もっと見る

上部へ