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血と孤独の植物「血玉樹」 

2017年04月08日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


  伊藤潤二の漫画は絵が日常から飛びぬけていてすごい。梅図かずおに触発されて漫画を描き始めたと言うが、それが納得できる梅図と共通の画力のすごさを持っている。また彼の漫画の登場人物の中に必ず美少女が登場するのもいい。つい最近では、NHKでの「浦沢直樹の漫勉」という番組に出演している。「」や4「」の人気作品で有名な浦沢直樹が人気マンガ家の仕事場に行き、それぞれの創作内容に切り込む番組。3月9日は伊藤潤二が取り上げられたわけだが、注目を集めたのはその作品を描くことの丁寧さ。一コマを描くのに、2時間費やしていることに驚きの声が視聴者からも上がっているとのこと。浦沢も「異様にペンが遅い」「漫勉番組史上、最“遅”なんですよ」と驚愕したという。この番組をぼくは見逃してしまったのが悔やまれる。伊藤潤二の「うめく排水管」という漫画の作品集に収められている中に、ぼくの好きな「血玉樹」という作品がある。                       ※一人の青年と彼の恋人の加奈が山道でのドライブ中にスピードの出しすぎで事故を起こす。二人、車を降りて山の中に紛れこむと、4人の子供たちに襲われる。加奈は子供たちが自分の血を吸った事を彼氏に言うのだが、信じてもらえない。青年は、けがをした加奈と森の中を放浪して謎めいた館を見つけ、そこで電話を借りるのだが、そこの若い主人に今夜は泊まっていくように勧められる。主人は、「加奈さんでしたね?あなたを見ていると私はある人のことを思いだしてしまう」と言われ、恋人の話しを聞かされる。その主人の恋人は孤独な人だった。『みんな私を避ける・・・私に愛想をつかして去っていく・・・あなたもそのうち私に愛想をつかして会おうなどと思わなくなるだろう』それが彼女の口癖だった。あるとき彼女の手首に傷跡をみつけた。傷跡を見つめる視線に気づくと彼女はこういった。「私ね・・・ 血を逃がしてあげようとしたのよ」「だって・・・血が私の体から出たがってるんだもの。私に愛想をつかしたのねある夜それに気づいたの・・・鼻血よ・・・鼻血が出た時・・・ ・・・ふふふ・・・ おかしいでしょ? 『ああ・・・血まで私から逃げたいんだわ』って・・・」彼女は首をカミソリで切って自殺を図ろうとしていたところを、彼に発見され助かるのだが、その首の切り傷から植物が生えてくる。植物は果実のように丸い実を持っていて、その果実の中身は彼女の血でできているのだった。「すべての血が私の体から抜け出て・・私は空っぽになるのよ」彼女の首から生えた植物は成長すると同時に、彼女の生命を吸い取り、本人はミイラのようになり、やがてその植物は部屋一面に広まっていくのだった。主人の話を聞いているうちに、いつのまにか眠ってしまった彼氏は、加奈がいないことに気がつく。頭がフラフラしている状態で、館の中をさまよいとんでもないシーンを目撃してしまう。主人が加奈の首の傷の口をあてて、彼女の血を吸っているのだった。やがて、加奈の傷口からも同じように奇妙な植物が生えてきているのだった。                      ※漫画「血玉樹」の人間から生えた植物の姿も気持ち悪いし、その果実の中身が血で埋まっているのも気色悪い。但し、部屋一面にその植物が広がっている様子は、ビジュアル的にすごい。でも、ぼくは何よりも主人の恋人が語った「血まで私から逃げたいんだわ」というこのせりふにぼくは心を捕まえられた。自分から、何もかもが留まらず逃げていくという血を使った孤独を象徴した発想はすごい。 

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