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独りディナー
「嵐が丘」を見た
2018年11月29日
テーマ:シニアライフ
電球が切れたので、大型電気店へ行った。
買い物を済ませて、出口へ行くと、古いDVDが並んでいる棚があった。
セール品だから、破格の安さである。
シニアの選んだのは「嵐が丘」「哀愁」「誰がために鐘はなる」の三点。
まずは、ビビアン・リーと、ロバート・テーラーの「哀愁」から。
戦争中の、悲恋物語である。
よく思うのだが、恋愛物に登場する二枚目は、どうしてこうまで揃って鈍感なのだ・・?
洋の東西を問わず、彼らの視野にあるのは、自分本位の愛情ばかりである。
悩めるヒロインの苦悶に気付くこともなく、頓珍漢な愛情で相手を追い詰める。
もっとも、そういったピエロ的な役回りがないと、物語は上手く運んでくれないのかも知れないが。
「哀愁」は、見終わって直、ゴミ箱へ。
単純な私は、苛立ちさえ憶えたほどだ。
余り体調が良く無かったので、今日は休息日にしよう、と自分に言い訳しながら、次は「嵐が丘」を見る。
例の有名な、ローレンス・オリヴィエ版だ。
エミリー・ブロンテの作品に、まず圧倒される。
若いときに、何度も読んだ小説にもかかわらず・・。
殆ど閉ざされた様な狭い社会の中に、これ程劇的なシチュエイションを作り上げる、イマジネーションの壮大さ。
お姉さんのシャーロット・ブロンテが描く「ジェーン・エア」の世界観は、まだオーソドックスだと思うけれど・・。
かのハムレット役者、ローレンス・オリヴィエが、熱演する価値のある原作、とでも言おうか。
背景となっている、ヨークシャーの、ヒースが咲く荒れ地が、又、実に幻想的であった。
主人公の名前、ヒースクリフとは、ヒースの咲く絶壁という意味であるのにも、作者の強い思い入れを感じる。
主人の仕事について、英国のヨークシャーへ行った際には、ブロンテ姉妹が住んでいたハワースの近くに一泊した。
夏の終わりの、良い気候だったから、荒れ地の厳しさを想像するのは難しかったけれど、一面に咲く紫色のヒースが見られたのは、かつての文学少女としては嬉しかった。
B&B と呼ばれる小さなホテルに泊まった。
良く写真などで見かける、田舎の大きめな家、という感じだった。
夕食は出なかったので、其処の奥さんが近くの村まで、車で送ってくれた。
私が、「この辺で、ヒースが見られますか?」と訊くと、運転していた彼女は、窓の外を眺め回す様にして、「あの灌木が、みんなヒースです」と教えてくれた。
高さ50〜60センチ程度の灌木が、周り一体に生い茂っていた。
北海道に美しく咲き乱れるラベンダーとも似ているけれど、群生しているヒースはもっと地味な紫色で、今思えば野生の強さがあった。
これが、ブロンテ姉妹を育んだ自然なのだった。
村の中心部にある、パブ風のレストランに入った。
中に居る人達全員が、私達二人に目を向けた。
それは、拒絶の視線というよりは、単純に好奇心だったと思う。
美味しいステーキと、ビールを飲んでいたら、中の一人が話しかけてきた。
「日本から、やってきたのかい?」
田舎の村までやってくる日本人は、珍しかった様だった。
翌朝は日曜日だったので、近くの教会から鐘の音が、長い間聞こえた。
窓から外を眺めると、三々五々、という感じで、人々が教会へ向かって歩いている様子が見えた。
その時の思い出は、まるで、イギリスの田舎町を舞台にした映画の中に、すっぽりと入り込んだ様な気持ちだった。
無口な主人は、余り面白い人ではなかったけれど、面白い経験はたくさんさせてくれたなぁ、とつくづく思う。
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