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吾喰楽家の食卓

今年の鹿芝居 

2019年02月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

一昨日、中席の初日を見た。
毎年、国立演芸場の二月中席は、鹿芝居がある。
噺家芝居(はなしかしばい)から、「はな」を取り、「しかしばい」と洒落ている。
座頭の金原亭馬生と、その一門、そして林家正雀などが加わる。
十五年ほど、続いているらしい。
今年の演目は、『嘘か誠 恋の辻占』〜辰巳の辻占〜で、竹の家すゞめ(正雀)が脚本を書いた。
仲入り前は落語と獅子舞、その後に鹿芝居を遣る。

幕が開くと、店先で二人の手代(馬久・小駒)が、着物を畳んでいた。
手代の一人(小駒)が、会話口調で、楽屋に差し入れを届けた客の名前を読み上げた。
菓子や祝儀など、十人ほどの名前を紹介した。
そこへ、ざる屋(馬玉)の売り声が聞こえ、番頭(世之介)の指示で手代が店に呼び込んだ。
古典落語の『ざる屋』の世界が、繰り広げられた。
叔父(馬楽)が登場し、小駒に二ツ目昇進のことを云いながら、小遣いを渡した。
ざる屋と意気投合して飲みに出た番頭は、料理屋の座敷で、女将を含めた三人でUSAを踊った。

何幕かが終わり、いよいよ、本題である。
隅田川べりで、遊び人(馬生)と花魁(正雀)の心中騒動が起きる。
古典落語の『品川心中』を彷彿させるが、事情は異なる。
遊女の本心を確かめるべく、嘘の心中話を持ち掛ける。
騒ぎの最中、馬生が本当に足を滑らせ、仰向けに倒れたので、会場は大喝采だ。
ハッピーエンドなのだが、大詰で馬楽が台詞を飛ばして大笑い。
閉めかけた定式幕を馬生が止め、手拭撒きと三本〆でお開きになった。

『嘘か誠 恋の辻占』は、古典落語の『辰巳の辻占』を元に、正雀がペンネーム(竹の家すゞめ)で脚本を書いた。
序幕で『ざる屋』を取り入れたのは、正雀の工夫だろう。
アドリブが続出し、大いに笑わせて貰った。
ドタバタ喜劇ではあるが、歌舞伎の味わいがある芝居に仕上がっていた。
また、例年通り、芝居が跳ねてから、ロビーや玄関前で写真撮影や客の挨拶に、芝居衣裳のままで応じてくれた。
実は、16年と18年と同様、今年の鹿芝居は二回見ることにしている。
初日はアドリブと手違いの続出だったが、次回はどんな舞台になるか、楽しみだ。

   *****

写真
2月11日(月)の国立演芸場の演題・金原亭小駒(先代馬生の孫/池波志乃の甥)



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