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続 焼け木杭に火 

2019年09月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

国立劇場で人形浄瑠璃文楽九月公演の千穐楽を見た。
一週間近く前に『心中天網島』を見て、その魅力に取りつかれてしまい、千穐楽にも見たくなった。
一日に二回の公演があるが、一部の『心中天網島』だけは、先月にチケットを発売開始してから直ぐに、千穐楽まで殆どの日が売り切れてしまった。
だから、千穐楽に見たいと思っても、チケットは残っているはずがなかった。

毎日、何回も国立劇場チケットセンターへアクセスして、キャンセルが出ていないかチェックした。
幸い、千穐楽の三日前にキャンセルが出た。
文楽を上演する小劇場には約600席あるが、取れたのは前後左右のほぼ中央で、上々の席だった。
人形の見え方はやや小さくなるが、頭を動かさず視線を移すだけで、人形、太夫、三味線、字幕の全てが見えるから、次回はその辺りで見たいと思っていた席である。

歌舞伎の場合、「三日目の会」に入会しているので、その名が示す通り三日目に見て、それとは別に千穐楽も見ている。
文楽の二度見は、少し事情が異なる。
『心中天網島』は、ストーリーはシンプルなので、一度だけで理解できた。
勿論、遊女小春(人間国宝/吉田和生)は素晴らしかった。
しかし、小春と心中する紙屋治兵衛(桐竹勘十郎)の感情表現に魅せられてしまったのが、千穐楽も見たくなった理由である。

今回、千穐楽の公演を見るに際し、ポケットに補聴器の電池とのど飴だけを入れ、上着とリュックをロッカーに預けたのは、文楽に集中したかったからだ。
床本を事前に読んだ甲斐があり、字幕はチラ見するだけで理解できたので、人形、太夫、三味線に集中できた。
治兵衛は脇差で小春の胸を突き、自身は水門に掛けた小春の伊達締めで首を括って幕が下りた。
『心中天網島』が人気なのは、近松門左衛門が書いた原作が良いのは勿論だが、人形、太夫、三味線が三位一体になった賜物なのだろう。

   *****

写真
9月23日(月)撮影:チラシ(治右衛門・小春)と夕餉(水菜のローストビーフ巻・鮪納豆)



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