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葵から菊へ
土佐高知のビキニ被爆した元マグロ漁船員保険給付の再審査請求について
2019年10月04日
テーマ:テーマ無し
昨日友人の川口重雄さんから、下記のメールを頂いていました。
『採決の根拠に、当時の水爆実験を管理した米原子力委員会の軍事機密に満ちたデータを根拠に「100m?を超えるものではなかった」と結論付けた「有識者会議」の見解に追随したものだった。』とありましたので、新宿区戸山の国立国際医療研究センター内の展示史料室に展示してある「第五福竜丸・外部全身照射推定線量(γ)」の表を撮影してきました。
「100m?」と「ホールボディカウンター(WBC)の最小値」については理解できませんので、「専門家に分析してもらって下さい」と川口さんにメールをしました。
・・・・・・・・・・・
各位 10月3日〔BCC、本日第3信〕
土佐の高知の岡村啓佐さんから、ビキニ被爆した元マグロ漁船員の船員保険給付の再審査請求に対する社会保険審査会の採決結果について、情報をいただきました。
それでは。川口重雄拝
Sent: Thursday, October 3, 2019 4:23 PM
Subject: 不当裁決
「ビキニ事件」被災者である、元マグロ漁船員のたたかいをご支援いただいている方々へBccで情報提供です。
9月30日、社会保険審査会は、元船員11名全員の船員保険給付の再審査請求を棄却する通知を送ってきました。
5月16日に開催した、社会保険審査会公開審理では、参与8名中4名が救済を強く求めていたにもかかわらず、採決は参与の意見すら無視した裁決でした。
?船員保険部は、申請人である11名の誰一人も聞き取り調査をしなかった。
?現在の科学的知見で、水爆実験と元船員の被ばくとの因果関係を解明したにもかかわらず、全く無視して裁決した。
?採決の根拠に、当時の水爆実験を管理した米原子力委員会の軍事機密に満ちたデータを根拠に「100m?を超えるものではなかった」と結論付けた「有識者会議」の見解に追随したものだった。
本日、ビキニ核被災検証会と太平洋核被災支援センターは強い怒りを表明し、訴訟の検討に入る意思表明を明らかにした「ビキニ被ばく船員の船員保険再審査請求棄却に対する抗議声明」を記者会見で発表した。
ビキニ被ばく船員の船員保険再審査請求棄却に対する抗議声明
2019年10月3日
ビキニ核被災検証会 太平洋核被災支援センター
9月30日、社会保険審査会は、1954年3月以降のビキニ周辺海域でのマグロ漁操業中に被ばくした元船員11名全員の船員保険給付の再審査請求を棄却する裁決を行った。
ビキニ事件の政治決着により、第五福竜丸以外の約900隻、数万人と言われる被災船員の被ばくが隠されたしまった結果、被ばくした船員たちの調査やその後の健康管理は行われることがなく、今日までに、少なくない被災船員たちが早逝し、また高齢になるにしたがって癌や心臓病に罹る元船員が目立つようになってきた。
こうした中で、船員保険元被保険者として療養を受ける権利を復活させようという、ごく当たり前の請求が行われたのが今回の療養給付請求であった。しかし、船員保険部は元船員や遺族への聞き取り調査や、漁船員の実態調査を全く行うことなく不支給の決定を行い、厚生局の社会保険審査官もこれを容認した。
元船員全員がこの不当な決定を撤回し、正当な給付を行うことを求めて社会保険審査会への再審査請求を行った。5月16日に開かれた公開審理で8名の参与から、船員保険部が元船員への聞き取り調査もせず、有識者会議の不確かなデータに依存した姿勢を指摘し、何らかの救済をすべきとの意見が多く出されたにもかかわらず、裁決は船員保険部が設置した「有識者会議」の見解に追随し、参与の意見を無視した政治的決定といえる。
その最大の根拠は、当時の水爆実験を管理した米原子力委員会の軍事機密に満ちた資料に依拠して、しかも広大な太平洋の疎らな地点での線量を基礎に推定された被災船員の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えるものではなかった、ということに尽きる。
裁決では、元船員たちの漁船がどのような被ばくをしたのかについて具体的な証明がないというが、航路図、船体・マグロ・船員などの放射能検知記録が示されており、被災船員の死亡調査で40代がん死亡率が国民平均の6倍となるなどの実態から目をそらしている。またこうした被災の証明に重要な調査を怠った厚労省研究班や船員保険部の不作為責任を指摘せず、何故このような判断を示すのか、人間性を疑わずにいられない。
我々は広島の科学者チームによって元船員から実際に計測された染色体の異常率や歯の放射線被ばく線量で被ばくの根拠を示したが、裁決では「測定値の信頼性は必ずしも高いとは言えない」という科学を否定する判断を行った。米軍の測定結果には大きな欠陥、誤差があることは当時の記録にも書かれている事実であり、測定値の信頼性は65年前の米軍の測定よりも、今日の放射線測定学にこそある。
「有識者会議」の線量推定手法では第5福竜丸(労災を認定)が0,08ミリシーベルトにしかならず、その他の被災漁船の被ばく線量のほうが高くなっているという矛盾がある。船員保険部は第五福竜丸の被災は局地放射性降下物によるものとしてあえて計算せずという弁解をしているが、ビキニ水爆実験による船員たちの被ばくはすべて放射性降下物によるものである。これは大気中の放射性微粒子から発する放射線だけでなく、放射能で汚染された空気や海水の飛沫、食物によって体内に取り込まれ、長期に渡って体内に滞留しつづけるという被ばくであり、こうした体内被ばくの線量評価法は未だ確立したものはないというのが専門家の意見である。
今回の審査会の判断は「有識者会議」の結論にそのまま沿ったものであるが、その座長や構成員が政府側の専門家だけで占められたことは偶然の一致ではない。
我々は、今回の社会保険審査会の裁決に強く抗議し、訴訟を検討するとともに、国連人権委員会への意見書提出や、核兵器禁止条約の第6条「被ばく者支援」の適用を求め、被爆国・日本政府が被災船員の救済と失われた人権の回復に努力するよう世界に訴え続ける決意である。
さらに、今なお健康不安を抱えながら闘病生活を送っているすべての被災船員が、生きていて良かったと思えるような、尊厳ある生活、人生を取り戻すために全力を尽くす決意である。
以上
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岡村 啓佐 (Okamura Keisuke)
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「第五福竜丸被ばく、2船員のカルテ現存=東大病院で初確認−体温・白血球数を記載」とブログ記事にしましたが、東大病院のカルテを分析すれば「外部全身照射推定線量」が明らかになるかも知れません。
(了)
>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)
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