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故北宏一朗さん講演記録其の四「神栖のいま」 

2020年06月28日 外部ブログ記事
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神栖のいま? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 2017.L11? 北さんはまず神栖で何があったのかから話しを始めました。



 1990年代からこの地域住民の体調不良の訴えが続いていました。2003年にA地区の井戸水から有機ヒ素が検出されました。ジフェニールアルシン酸という旧日本軍の毒ガス成分に由来するものでした。 この前後の時期に日本各地で毒ガスが出てきています。前年の2002年には神奈川県の寒川町で高速道路の工事現場からビール瓶にはいった毒ガスが出てきて、働いていた人が被毒します。同じ年に平塚市の住宅地で青酸のビンが出てきました。旧日本軍の毒ガスは国際法違反で敗戦と同時にこれを徹底的に隠しました。これが後で時々出てくるのです。? 神栖市のA地区で検出されたヒ素は近くの地下に1993年以降捨てられたコンクリートの 塊に含まれていたものでした。なのでこれは毒ガス由来ではなく、産業廃棄物として処理され、その根本的な責任はうやむやにされてしまいます。しかし、毒ガス由来の成分をもつものがここに遺棄されたことは解明されていません。戦前の神奈川県平塚海軍工廠とのかかわりがあると考えています。この平塚海軍工廠実験場の跡地の払い下げを受けた高砂香料工業 の工場長になった人物が海軍の技術大佐でした。この高砂香料工業は旧神栖町に隣接した旧波崎町にエ場があります。このことを考えると神栖市A地区のヒ素の由来が想像できるというものです。 さらに問題はこのA地区から約800m離れたB地区の住民に同様の症状がみられる人たちがいます。このB地区の井戸からも有機ヒ素が検出されています。これらの被害者は 2006年に国の公害等調整委員会に被害を訴えました。2012年に裁定がでましたが、国に責任なし、これは産業廃棄物なので、監督責任は茨城県にある、として県に責任をおしつけ、県は被 害者の健康状態に応じて賠償金を一人5万円から300万円の支払いをおこないました。ま た、被害者145人に健康手帳を交付し、医療支援をしています。? 茨城県では神栖市に再資源処理センターでのヒ素処理をおこないましたが、有機ヒ素は燃焼処理して無機ヒ素にはなりますが、毒性は除去できません。寒川町の毒ガスを三重県の産廃処理施設で処理しようとしましたが、1,200度の高熱で処理しても環境基準の数千倍のヒ素 が残り、三重県は処理を拒否したものです。この毒ガスを環境省はその後処理した、と発表しましたが、どこでどのように処理したのかは発表していません。? 私が昨年12月に現地を訪ねた時、A地区の井戸近くにたくさんの穴が空いていました。 地下水の汚染水をくみあげ、新しい水といれかえた、としていますがこれで汚染がなくな るのでしょうか。この工事を担当したのは鴻池組というゼネコンです。神栖市は2011年の東日本大地震で液状化がおこり、神栖市の土地全体がデコボコになりました。地下水の流れも変化したと思われます。? 神栖市は江戸時代、将軍の鴨の狩り場となっていました。明治時代は別荘地でした。それが戦争が近づいてくると一気に軍事基地化するのです。旧神栖町の二本松に海軍の毒ガス実験場がつくられます。1942年には旧大野原町に内閣中央航空研究所がつくられます。1944年には「神の池飛行場」もつくられます。神雷部隊の桜花特攻隊の訓練基地にもなっていきます。
靖国神社・遊就館大展示室に展示してある「桜花」(レプリカ)

大展示室のジオラマ「一式陸上攻撃機」の胴体に装着し、敵目標が見つかるとハッチを開け、特攻隊員が搭乗してから切り離す。

海軍神雷部隊戦友会が献納した「神雷桜」


 大野原町の内閣中央航空研究所の地下には毒ガスの実験設備が備えられ、ここで人体実験や動物実験をやったという証言も得られています。ここの実験に使った毒ガスは平塚海軍工廠から持ち込んだという証言もあります。ルイサイトは原料に亜ヒ酸を使っています。 この亜ヒ酸は、宮崎県高千穂町の土呂久鉱山で生産されていました。この亜ヒ酸を大きな木箱に入れ、濃硫酸をまぜ、バーナーで燃やすと三塩化ヒ素という猛毒が発生します。これをルイサイト に使ったのです。? ここで問題はB地区のことです。環境省などはA地区の汚染物質が地下水脈を通ってB 地区に流れ込んだと説明しています。しかし、A地区からB地区にはどう考えても流れません。B地区の方がA地区より地盤は高いのです。B地区の井戸の汚染の原因はA地区と は別のものだと考える方が自然です。A地区の井戸水の汚染は改善されています。それならばB地区の汚染も改善されてよいはずです。? しかし、今回、学者の協力を得て、B地区の井戸水のサンプル調査をおこないました。 まだ簡易結果しかででいませんが、高いヒ素の値が出ています。このB地区で最近40代50代の若さでガンで亡くなる方が続出しています。このB地区は大野原の内閣中央研究所の近くにあり、B地区の方の家の庭を掘ってみると1mほどで硬いコンクリートにぶ つかってしまうこともその下が空洞になっていて、先の地下実験場になっていたのではな いかという疑いもあります。ここが軍用地だったことを環境省は知っていました。2003年に「フォローアップ調査」というのを全国で実施しています。何のフォローアップかという と1973年に一度調査をしていますが、これがいいかげんだったので、この「フォローアップ調査」では全国の毒ガス汚染の危険度をランク付けしていてABCDの4段階に区分しています。最も危険なAは寒川町、平塚市、習志野市、神栖市、広島県大久野島などです。しかし、このあとの調査はありません。もう一度調査し直すべきです。2003年に防衛省は茨城県からルイサイト3缶が見っかったと連絡を受けています。しかし、環境省はこのことを知らない と言っています。このルイサイトはどこに行ったのでしょうか。もし、この事実があるな ら、化学兵器禁止条約に基づいたOPCWへの報告義務がありますが、これもなされていません。
フォローアップ調査より「旧軍毒ガス弾等の廃棄・遺棄状況」
 
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………………………………………………………………………………………………………?      記者会見のご案内
「毒ガス被害者の尊厳を回復し毒ガス兵器の完全廃絶を求めるアピール」呼びかけ人毒ガスの被害者をサポートする会連絡先090-2421-7986 長谷川順一(サポートする会事務局長)
1 記者会見の目的
1)「毒ガス被害者の尊厳を回復し毒ガス兵器の完全廃絶を求めるアピール」の発表
このアピールは、3月8日に行われた国際シンポジウム「毒ガスの完全廃絶を求めて」で採択されました。国際シンポには、奥山さん(元相模海軍工廠工員・毒ガス障害者)、仲江さん(中国人遺棄毒ガス弾被害者)、常石さん(神奈川大学教授)、歩平さん(中国黒竜江省社会科学院副院長)、水島さん(早稲田大学教'授)、吉見さん(中央大学教授)などが出席し、討論の中で「兵器というモノの廃棄だけではなく、被害者への補償や実効性のある再発防止策が講じられてこそ『毒ガス兵器の全廃』が実現される」ことが明らかとなりました。シンポの後、神栖町の住民が毒ガスに汚染された井戸水による被害を受けるなど、このアピールの意味はますます重要なものとなっています。二度と人間の尊厳が奪われないために、国民の多くがこのアピールに賛同されることを訴えます。
2)「旧軍毒ガス情報ホットライン」への協力の訴え
1 日日本軍による毒ガス兵器の開発、実験、生産、貯蔵、配備、使用、遺棄、廃棄、発見、被害の実態(補償も含めて)に関する情報の収集とその公開などの再発防止策がなされてこなかったために、日本国内でも申国においても毒ガスによる被害が後を絶ちません。環境省がようやく戦後58年を経て情報提供を呼ぴかけていますが、民問でもこれをフォローしていきたいと思います。二度と人問の尊厳が奪われないために、旧軍関係者の方々や毒ガスによる被害を受けた方々などの情報の提供を訴えます。
2 記者会見の出席者
○常石 敬一さん アピール呼びかけ人。神奈川大学教授。科学史専攻。寒川町、神栖町の毒ガス被害についても現地を調査。○度倉 孝子さん 神栖町住民。井戸水を飲んでいたところ、手足がしぴれるようになり、入退院を繰り返した。その井戸水から毒ガス兵器に特有なジフェニールアルシン酸が検出された。夫も同様の被害に遭う。○青塚 美幸さん (文書で訴える) 神栖町住民。一歳の子が重大な被害に遭う。その他、サポートする会、旧日本軍毒ガス・砲弾遺棄被害賠償請求事件弁護団からも出席します。3 記者会見の日時・場所日時8月13日(水)午後1時〜場所南大塚社会教育会館4 旧軍毒ガス情報ホットラインの日時・連絡先日時8月ユ3日(水)から!5日(金)までの3日問、3日間とも午前10時から午後3時まで連絡先(中国人戦争被害者の要求を支える会気付)電話03-5396-6067FAX03-5396-6068………………………………………………………………………………………………………中国人戦争被害者の要求を支える会が旧軍毒ガス情報ホットラインの開設をします
 旧日本軍の化学兵器は国内で研究、開発、製造されましたが、国内のみならず旧満州で演習が繰り返され、戦争中は中国戦線などで実戦に使用されています。敗戦後、残存した化学兵器は国内各地や戦地に遺棄され、遺棄毒ガス弾などによる被害は国内や中国で多数報告されてきました。 半世紀を経た今日において、神奈川県寒川町や平塚市、茨城県神栖町などで旧日本軍が製造したとみられる毒ガス被害が新たに発生したことにより、環境省は各都道府県を通じて、終戦時における保有及び廃棄並びに戦後における発見及び被災状況などの情報提供を呼びかけています。中国においても、日本政府による遺棄毒ガス弾処理が行われています。
 私たちは国際法に違反した旧日本軍の化学兵器による被害を見過ごすことがあってはならないと考えます。日本人の責務として、国内の情報だけでなく、国外についても旧日本軍が毒ガス兵器をどこで、どれだけ、どのように使用したのか、そしてどこにどれだけ、どのように遺棄したのかを明らかにすることが必要ではないでしょうか。
 私たちは、市民の側から環境省のフォローアップ調査に協力するために下記の通り、旧日本軍毒ガスホットラインを開設することにしました。旧軍毒ガス兵器に関する国内外の情報をお持ちの方々に情報提供を呼びかけます。
          記
1)名称:旧軍毒ガス情報ホットライン2)日時:8月13日(水)から15日(金)までの3日間時間は、3日間とも午前10時から午後3時まで3)媒体:電話・FAX?     電話03−5396−6067     FAX03−5396−60684)提供をよびかける情報:旧日本軍による化学兵器の開発、実験、生産、貯蔵、配備、使用、遺棄、廃棄、発見、被害の実態に関する情報1)情報提供上の注意:提供された情報は公表する場合がありますが、個人のプライバシーは厳守しますので、必ず氏名・住所・電話番号もお知らせください。
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「毒ガス被害者をサポートする会」(現:化学兵器被害解決ネットワーク)が「旧軍毒ガス情報ホットライン」開設した記者会見。

右端は化学兵器被害解決ネットワーク・事務局長大谷猛夫さん。取材陣に説明をする「毒ガス被害者をサポートする会」代表の故矢口仁也さん。

被害実態をを訴える神栖市A地区の度倉孝子さん。左隣は旧日本軍毒ガス・砲弾遺棄被害賠償請求事件弁護団南典男さん。


【サポートする会通信】2003.6.252003年6月25日付茨城新聞を転載します。◆神栖の井戸汚染 17人の尿からも有機ヒ素
 神栖町木崎地区の飲用井戸から旧日本軍の毒ガスに起因するとみられる高濃度の有機ヒ素化合物が検出され、住民らが健康被害を受けた問題で、県は二十四日、新たに、比較的高濃度のヒ素で汚染された井戸水を飲んでいた住民十七人の尿から有機ヒ素化合物が検出されたことを明らかにした。県は検査結果を環境省に報告する予定で、国の支援策の対象になる可能性が出てきた。 県保健予防課によると、有機ヒ素化合物が検出された十七人は、ヒ素濃度が水質基準の四百五十倍だった井戸の半径五百メートル圏内にある一カ所の井戸(ヒ素濃度十三倍)と西へ一キロメートル離れた十一カ所の井戸(同十四―四十三倍)を使用していた八世帯の住民(十六―七十四歳)。 これらの井戸を使用していたのは十三世帯・四十四人(男女各二十二人)。 このうち三十六人が県の健康診断を受け、県衛生研究所の検査で十七人からは尿一ミリリットル中〇・〇一―〇・四三マイクログラムのジフェニルアルシン酸が検出された。
 有機ヒ素化合物に汚染された井戸水を飲用し、毛髪や尿から検出された住民を対象とする国の支援策については、既に四百五十倍の井戸を使用していた住民三十人に実施されることが環境省の臨床検討会で決まっているが、今回の検査結果により、新たな十七人についても医療費の自己負担分と療養手当の支給対象となる可能性がある。 十七人の健康管理などについて県は、今月三十日に開催する専門委員会に諮る。 健康診断を受けた同地区の学習塾経営男性(58)は「自分の体内から有機ヒ素化合物が出て、がっくりきた。どうしたらいいのか分からないというのが正直な心境だ。髪の毛や爪など、より詳しい検査をしてもらいたい」と話した。
【サポートする会通信】2003.6.18
「ヒ素、プール用井戸から 茨城・神栖など少学校3校」 茨城県神栖町の町立大野原小学校でプールの水から基準値の約8倍に当たるヒ素が検出された問題で、県は17日、プールに使用した井戸水から有機ヒ素化合物を検出したと発表しました。井戸水は飲料水には使われていませんが、県は念のため同校児童に問診表を配布し、健庚状態を確認します。ヒ素検出後、プールは水道水への切り替えが決まっています。 また、神栖町に隣接する同県波崎町の小学校2校のプール用井戸水から、水質基準値を上回るヒ素が検出され、波崎町教委はプール使用中止を決めました。2校は波崎東小と土合小。
 茨城県神栖町で旧日本軍の毒ガス成分によるとみられる健康被害が相次いだ問題で、茨城県は17日、神栖町立大野原小学校のプール用井戸水から、毒ガス成分のジフェニルアルシン化合物を検出したと発表した。 同校は、水質基準の450倍のヒ素を検出した井戸から西に約1キロで、井戸水から5月に水質基準の8.1倍のヒ素が検出されたため成分を調べていた。 同校は既にプール用の水を水道水に切り替えたが、県は児童らの健康を調査するため問診票を配る。 茨城県によると、同県は17日までに約3000本の井戸のヒ素検査を実施。1割を超す三百数十本で水質基準を超すヒ素を検出している。 毒ガス成分については、このプール用井戸を含め18本の井戸から検出している。( Kyoto Shimbun 2003.06.17 Newsより転載)毒ガス情報収集急ぐ 環境省が自治体説明会
 神栖町や神奈川県などで旧日本軍の毒ガス関連物質が相次いで見つかり健康被害が出ている問題で、環境省は二十四日、終戦時の遺棄状況などについて全国調査を行うため、都道府県と政令指定都市の担当者約百人を集め、都内で説明会を開いた。 同省は「戦後約六十年が経過、調査は最後のチャンス」と協力を呼び掛けた。調査結果は今秋をめどにまとめる。 調査は、旧日本軍の毒ガスや原料物質などについて(1)終戦時の保有や廃棄状況(2)戦後の発見や被災、処理の状況(3)保有や発見の可能性が示唆される場所―などを把握することで、被害の未然防止を図る。 都道府県などは調査結果を八月末までに提出。同省は十月末をめどに中間的に整理、関係省庁などの追加情報とまとめて発表する。 具体的な調査方法は、自治体が保管する行政文書や地史、新聞記事を点検。製造や遺棄などの関係者への聞き取り、被害情報の収集を行う。都道府県は市町村に協力を求め、広報誌やホームページでも市民に情報提供を呼び掛ける。
 説明会では、自治体側から「旧軍の毒ガス問題は国に責任があり、国が一元的に調査するべき」「調査の締め切りが近すぎて効果が薄い」「自衛隊や米軍の基地になっている場所はどう対処するのか」などの意見や質問が相次いだ。 政府は一九七三年に全国調査を実施、十八カ所の軍施設に少なくとも約三千八百七十トンの毒ガスが保管されていたことが判明。 しかし、神栖町木崎地区の飲用井戸から毒ガスに起因するとみられる高濃度の有機ヒ素化合物が検出されるなど、十八カ所以外でも被害が相次ぎ、再調査となった。 県の担当者は「情報提供の窓口になる部署などを早急に決め、広く協力を呼び掛けたい」とした。
故北宏一朗さんの講演記録「海軍の毒ガス製造」一周忌にあわせて発刊されました
故北宏一朗さんの講演記録其の二「真鶴沖に捨てられた毒ガス」
故北宏一朗さん講演記録其の三「日本軍の毒ガス戦を下支えした軍需産業」
(続く)

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