++++寝付いたら、間違い無く二度と目が覚める事
はあるまい、という確信的な気分になった。
(7)
人間は何時か死ぬものと悟って、仕方あるまい、ま
あよいと覚悟を決めた。遺書を書くより先に、身辺の
数冊のエロ雑誌を処分し、卑猥な画像もPCから一括
削除した。
コレでひと安心。それが終了したら何か人生に名残
を惜しむような、しみじみとした気持になった。腕は
サイボーグではなかったから、もう手を動かす筋肉さ
え麻痺したようにけだるく、よたよたとやっとの思い
で手を伸ばし、枕元のスタンドを消した。
安らかな心持で目をつぶったら、ありありと死ぬ夢
を見た。これはもうーーーいよいよ確実である。世の
皆様、さようならーーー。
*
次の朝、思った通り、やっぱり目が覚めなかった。
ついに、一巻の終わりであるーーー。
ところが、七時半ごろになって、配偶者が布団を乱
暴にはぐった:「会社に遅れるじゃないのっ!」女が
絡むと、なかなか上手く死ねないものである。
完
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