+++湿り気も乏しい六十七の年寄りだから、カスま
で絞られて危うくドライフラワーにされる処だった。
九.モーツアルト
干しブドウとかドライフラワーとか老人には危険が
一杯の世の中だが、先の三通まで見る限り、「社長」
の肩書きと「五十八」は大いに効き目があった事に
なる。
それにしても便利な時代になったもので、その気さ
えあれば、六十を超えた鼻の下の長いパパさんは、若
い女とたった十秒で知り合いになれる。昔なら不可能
な事が、ネットという魔法で実現してしまう。こんな
時代を「前向き」に捉えて、文明の恩恵を私は有り難
いことだと考えている。
老人は閉じ篭らず家から外へ出て、積極的に行動を
起こすべきである。老後を「生き生きと生きる」為
に、こんな目的の為に「お金を使いなさい」と言い
たい。
我が国の老人達は、正直でしおらし過ぎる嫌いが
ある。定年後山登りばかりして、遭難事件を引き起こ
す生活より、余程ツヤと湿り気があって有意義なお金
の使い方ではあるまいか?
それはさておき、四通〜九通目は、メールの文章が
洗練され手馴れていると言うか、「カモになるスケ
ベ男」を狙っている感じがした。これは最近流行(は
やり)の老人を狙うオレオレ詐欺の親戚かも知れず、
掲示板荒らしの「業者」らしい気がした。全部丁寧
にお断りした。
けれども、十通目が私の関心を引いた。 それはモー
ツアルトからのメールであった:
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