+++黒魔術ですって?」
「ああ、女性に嫌われない為の魔術。なに、難しくは
ないよ。決して逆らわないようにしているだけだよ」
38/67.内部を確かめる
「アハハーーーそれなりに努力しているって訳ね。
でも、そんな正直な人って素敵よ。話していると、何
か安心な気持になって、無抵抗にすーっと中へ吸い込
まれるみたいな感じがする。確かに不思議な人だわ、
貴方は」
「さあ、それじゃ、鼻から吸い込もうか、口から吸い
込もうかな? ウワバミみたいだね」
「貴方は、きっと女の子にもてるんだわ。間違いな
い、判る気がする。そうなんでしょう? 白状な
さい!」
「もてるって? この歳と顔でーーー?」
「きっと、そうに違いないわ」
「貴女はさっきレストランで、人は謙遜し過ぎてはい
けない、と教えてくれたよ」
「やっぱりーーー、思った通りもてるのね!」
「ーーー好きになっても、ダメですよ。僕の好きなの
はーーー」
「好きなのは、セックスとお金儲けなんでしょうーーー?」
「おツムが賢いねえ」
「同じ位の歳なら、私、きっと直ぐに貴方を好きにな
ってるわ」
「有難う。でも、それは絶対に無いよ。その頃の歳で
は経営者ではなかったし貧乏人だったから、貴女好み
のパトロンの資格がないもの。それに、僕は長い失業
も経験しているんだ。その時は経済に困り果てたも
のだ」
「そっかあーー。上手く行かないものね」
「経験から言うと、人生は好い所取りばかりは出来な
い仕組みになっている、と思うよ」
「ふ〜ん、先輩の教訓として覚えておくわ。今日はお
友達になれてよかったーーー、本当にそう思う」
「だから今こうして、ホテルに向かっているよ、本当
によかったかどうか、きっちり体の内部まで確かめる
為にね」
「内部だなんてーーー、ウフフッ、面白い言い方ねえ」
「それを言うなら、抱かれるのが楽しみ!と言って欲
しいよ」
「ウフフーーーそうかもね。ますます素敵な言い方!
抱かれるのが、本当に楽しみになるわ。わくわ
くして来ちゃった」
(つづく)
|