次から次へと、繰り出されるギャグ。
客席からは、絶えず笑いが起きる。
私も笑っている。
しかし、何か空しい。
作為が目立つ。
自然にこみ上げて来る、笑いではない。
無理やりに、笑わせようとしている。
だから、底が浅い。
だから、すぐに忘れるであろう。
そう言う笑いだ。
元やくざの、いい歳をした“じいさん”連が、さながら同窓会のように集結する。
親分格の龍三が、おれおれ詐欺に引っかかったことから、
その引っかけた相手への、反撃が始まる。
昔取った杵柄を、それぞれ武器にして。
今は老残の身、不遇をかこつ境遇にある。
詐欺や恐喝を働く、現下の反社会勢力との戦いは、
一つの「世直し」と捉えられなくもない。
かつて、自らがやった不法を、棚に上げ、むしろ自慢しつつ、
そこに彼らは、使命感を抱いていたりもする。
この矛盾が面白い。
そして全編、あり得べからざることばかりだ。
そんなばかな・・・の連続である。
良い映画を見終わった時に得られる、充足感というものがない。
余韻も何もない。
とりあえず、笑った。
ただ、それだけである。
それでも客は入っている。
笑わせてくれるなら、何でもいい。
笑いの質は問わない。
という客が、少なくないのであろう。
満足そうだ。
テレビのバラエティ番組で、些細な言葉のやりとりに、大笑いしている連中を思い出す。
今は、そう言う世の中なのかもしれない。
全編至るところで、タバコが吸われる。
ほとんど途切れることなく、誰かによって、吸われている。
芸達者の俳優さん、ばかりであった。
丁々発止の、その応酬に見惚れていた。
そうしたら、つい副流煙を吸わされてしまった。
というような気分だ。
どうもいけない。
映画館を出た後も、胸のあたりが、すっきりしない。
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