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パトラッシュが駆ける!

獺祭喝采いらっしゃい 

2014年02月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「おや、獺祭がない・・・」
「あります。奥にあります。今お持ちします」
店員が、姿を消した。
店の奥に倉庫があり、大量の酒が積まれているのを、私は知っている。
何しろ、隣家である。

のべつ見ている。
「今日はばかに、客が立て込むな・・・」
その稼ぎっぷりを、窺っている。
あちらもまた、同じだ。
「あの小学生、よく来るね」
私のサロンの、常連客の顔まで知っている。

「お待たせしました」
「隠してあるの?」
「そうなんです。飲み屋さんが、バイトを使って、まとめ買いに来るもんで」
「買占めか」
「はい」

「あのテレビ以来か」
「はい」
「プレミアが付くようになったか」
「いや、それはないですが、品物が間に合いません。蔵元はもう、パンクしそうだって」
「おそろしいもんだな」
「ですね」

隣が酒屋だと、何かにつけて、便利だ。
店頭に出さない酒も、分けてくれる。
と言っても、私は商売でもないし、まとめ買いをするわけでもない。
個人客の求める、一本や二本、物の数ではないからだ。

獺祭もとうとう、こんなになったか・・・
と言う思いが強い。
確かに、美味い酒であった。
「嚢中の錐、自ずと現る」と言う言葉がある。
良い物は、世に現れずには、いられない・・・ということだ。

獺祭を、初めて飲んだのは、そんなに昔のことではない。
囲碁サロンの客である、W氏が持って来て下さった。
「私の気に入っている酒です」
四合瓶を差し出した。
その他に、一升瓶も抱えているところを見ると、それは彼の分であろう。
これでいい。
彼が四合瓶、私が一升をもらうとなると、それは、
お裾分けの域を越えてしまう。

なるほど・・・
美味いと思った。
しかし、山口県岩国市の産、これが不思議だった。
酒は、新潟を初めとする、北陸に勝るものはないと、私は長いこと、信じていた。
気候の関係もあるだろう。
寒冷地の方が、より美味い酒が出来ると、そう思い込んでいた。

 * * *

テレビの影響は大きい。
私も、獺祭が紹介された、その番組を見た。
「倒産寸前“負け組”酒蔵が起こした、逆転奇跡」と来れば、
酒好きなら、これを見ないわけには行かない。

「ただ美味いだけではだめ」
テレビの中の、桜井博志社長は、雄弁であった。
「感動がなければだめ」
きっぱりと言い切るのは、よほど自信があるのだろう。
その自信は、売れ行きの伸びに、裏付けられているに違いない。

「普通のサラリーマンが、普通に飲める酒を」
このコンセプトがいい。
高くて美味い酒なら、いくらでもあろう。
適度な値段だからこそ、価値がある。
適度とは「小遣いに響かない程度の」であろう。
まことに頼もしい、飲兵衛の味方だ。

テレビを見終り、懸念がいくつか浮かんだ。
世に知られることは、隠れファンにとって、必ずしも良いことばかりでない。
現実に、入手難の様相を、呈しても居る。
もう一つは、味だ。
これから、増産に次ぐ増産をやるだろう。
その過程で、味が落ちないかと言うことだ。

良いこともある。
その価値が、広く認められたことだ。
私の場合、幸いにして、入手が可能だ。
かつて「幻の銘酒」と言われた「越之寒梅」もそうであった。
隣人の誼でもって、比較的自由に、手に入れることが出来た。
どうせなら、人に喜ばれるものを、差し上げたい。
私の手土産は、当分「獺祭」で決まりだ。



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了解しました

パトラッシュさん

soyokazeさん、
黒帯・悠々ですね。
何やら、柔道家が好みそうなお酒。
酒屋で聞いてみます。

2014/02/21 20:48:13

訂正

さん

私の勘違いで黒帯・悠々でした。
ごめんなさい。
加賀の酒です。

因みに今は北のお酒が銘酒として有名(特に新潟)ですが、昔(江戸時代)は上方(特に灘周辺)の酒が上酒と珍重され、次いで加賀の酒も評判が良かったと私が愛読する時代小説にありました。

2014/02/21 19:23:49

飯炊き

パトラッシュさん

喜美さんも、お隣が、酒屋でしたか。
私の場合は、便利に付き合っていますが、
飲まない人には、好都合も不都合も、なかったですね。

押し麦は、比重が軽いのかしら、確かに上に浮いてきました。
母が釜の中をかきまぜ、平均化していました。
その釜は、薪で炊いていました。
子供たちの役目でした。
「初めちょろちょろ、中ぱっぱ・・・」
コツも、会得していましたよ。

2014/02/21 14:50:23

獲物

パトラッシュさん

風香さん、
獺祭とは、お調べになった通りです。
カワウソの、満足そうな顔が、想像されます。

私も、酒瓶を並べておくのが好きです。
でも、あまり並びません。
片端から、飲んでしまうからです。

2014/02/21 14:44:15

手土産に

パトラッシュさん

soyokazeさん、
「黒帯燦々」とは、初耳です。
安いとなれば、なおさら興味があります。
酒屋で聞いてみましょう。

私は、寒梅も八海山も、〆張も、一番等級の下の、
昔の「二級酒」を好んでおります。
私は、どれも好きです。
飲まなくなったのは、全国区の有名ブランド、「月桂冠」や「大関」などです。

soyokazeさんとお会いするときは、獺祭を抱えて行きましょう。

2014/02/21 14:41:31

喜美さん

私の兄弟も両親もお酒飲めませんから
お酒の事まったくわかりません
実家の隣が酒屋さんでしたけれど
終戦のころですから売っていたか
どうかも知りません

お隣は鶏飼っていましたから母が麦の御飯炊き
麦がお釜の上に集まるので鶏に持っていった思い出があります 帰りには卵頂きました
母はご近所さんの手前麦一杯入れたのかな 私がはずしても何とも言いませんでした

2014/02/21 14:13:07

お勉強になりました

さん

記事を拝読し、調べた文字『獺祭』だっさい・・と
『嚢中の錐』のうちゅう の キリ 調べて、読めて、
意味もわかりました。

お酒には詳しくないのですが、いつも楽しくお勉強させていただいてます^^

2014/02/21 11:57:48

獺祭

さん

獺祭は今では娘になった息子の彼女が地方出張が多い公務員でのん兵衛、で、行く先々の地酒をお土産にして息子が気に行ったお酒でした。

テレビに取り上げられたらしばらくは入手困難になるでしょうね?
もう少し買っておけばよかった(笑)

越乃寒梅は色んな等級があるから一概には言えませんが、味が落ちたように感じて今は買いません。

むしろ加賀の黒帯燦々のような安くて美味しいお酒もあります。
Gさんのお好きな〆張鶴も好きなお酒の一つです。

2014/02/21 11:20:22

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