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ロシアと「百万本のバラ」考・シャンソン歌手別府葉子さんの歌 

2014年03月06日 ナビトモブログ記事
テーマ:人生

 小さな家とキャンバス 他には何もない
 貧しい絵かきが 女優に恋をした
 大好きなあの人に バラの花をあげたい
 ある日街中の バラを買いました

 百万本のバラの花を
 あなたにあなたにあなたにあげる
 窓から窓から見える広場を
 真っ赤なバラでうめつくして

これは、歌手加藤登紀子さんが歌う「百万本のバラ」の一節である。この歌は、恋の歌だ。

 貧しい絵かきは、女優に恋をした。絵かきには、小さな家とキャンバスの他には何もない。

 絵かきは、その小さな家とキャンバスのすべてを売ってバラの花を買った。その真っ赤なバラで、女優が居る二階家の下の広場を埋め尽くした。

 女優が階下の広場の真っ赤なバラを見て驚く。貧しい絵かきは、窓の下で彼女を見上げている。というシーンが浮かぶ。

 しかし、出会いはそれで終わる。女優は別の街へ去っていく。真っ赤なバラの海は、はなやかな彼女の人生を象徴している。女優には、真っ赤なバラが似合う。

 貧しい絵かきは、孤独な日々を送る。けれど、バラの思い出は彼の心から消えることはなかった。

 加藤登紀子さんが歌う「百万本のバラ」は、恋の歌だし、お登紀さんの歌唱力で聴かせてくれる。上手いことは上手い。

 でも、貧しい絵かきが小さな家とキャンバスという全財産を売り払って、百万本のバラを女優にあげるというストーリーには、はて、と思ってしまう。

 が、視聴者としては、「百万本のバラ」は、貧しい絵かきが女優に恋をしたお話で、恋は盲目を地で行く話だとか、貧しい絵かきの愛が百万本のバラに匹敵するほどに大きいとか、結局、恋はかなわなかったけれど、貧しい絵かきの心にはバラの思い出が永遠に刻まれたとか、という具合に考えて納得せざるを得ない。

 所詮は虚構の世界の話だ。と、思いつつも、なんかが違う気がする。


 2014年2月27日、私のブログへの訪問者リストをたどって、「別府葉子公式ブログ〜葉子通信」を訪問してみた。別府葉子さんは、大阪や四国を中心に活動しているシャンソン歌手だそうだ。

 葉子通信の中には「百万本のバラ」の動画コーナーがある。別府葉子さんが歌う「百万本のバラ」を聴いてみた。

 上手い。そして、別府葉子さんが歌う「百万本のバラ」は、心にしみる。
 
 驚いたのには、別府葉子さんの歌う「百万本のバラ」は、歌詞が違う。ブログ記事に曰く。

 別府は、この「百万本のバラ」を、松山善三さんの訳詞で歌っています。この曲、日本では一般に「マーラが与えた人生」という邦題で紹介されているようです。
 そして歌詞の内容は、強大なロシアに接する小国ラトビアの悲哀を、寓意に込めて歌ったものと言われています。

 エエーッ、エエーッ、「百万本のバラ」って、元々の日本の歌ではないのか。「松山善三さんの訳詞」、「強大なロシアに接する小国ラトビアの悲哀」。エエーッ、エエーッ。津軽のシニアブロガーには、衝撃だ。

 何はともあれ、松山善三の訳詞による「百万本のバラ」の一節を以下に掲げる。

 信じてくれますか ひとりの若者が
 小さな家を売り バラを買いました
 信じてくれますか 嘘だと思うでしょう
 街中のバラを あなたに贈るなんて
 

 バラを バラを バラをください
 ありったけのバラをください
 あなたの好きなバラの花で
 あなたを あなたを あなたを包みたい

 バラを バラを バラをください
 百万本のバラをください
 ぼくの ぼくの ぼくのこの命
 あなたに あなたに あなたに捧げましょう

 この歌詞の一節を読み、歌を聴くと、単なる恋の歌には思えない。恋の歌なら、「ぼくの ぼくの ぼくのこの命」を「あなたに あなたに あなたに捧げましょう」とはならない。
 
 死ぬほど貴女が好きだ、というセリフはあるが、それは、比喩であって、なんぼ貴女が好きでも、セリフの主は決して死にはしない。死んでしまえば、元も子もないからだ。

 これが恋の歌でないとすれば、何の歌か。津軽のシニアブロガーの解釈では、これは祖国ラトビアの独立を願うラトビア国民の祖国愛の歌だ。「あなた」は祖国ラトビアで、「ぼく」はラトビア国民である。「百万本のバラ」のバラは祖国愛を意味する。

 こうした解釈を前提として、松山善三の訳詞で「百万本のバラ」の歌を聴いてみてほしい。この歌の本質を理解できるはずだから。


 ラトビア共和国は、バルト海に面するヨーロッパ北東部に位置する国家で、リトアニア、エストニアとともにバルト三国と呼ばれる。

 バルト三国は、帝政ロシアに支配されていたが、ロシア革命の後、第一次世界大戦後の1918年に三国とも独立を達成する。しかし、それも束の間であり、その後、1940年にソビエト連邦に併合されてしまう。

 1991年のソ連崩壊により、バルト三国は、ようやく独立を回復する。ラトビアをはじめとするバルト三国は、長い長い苦難の歴史をたどってきているのだ。

 「百万本のバラ」の原曲は、1981年にラトビアの放送局が主催する歌謡コンテストに登場したラトビア語の歌謡曲だという。アイヤ・ククレとリーガ・クレイツベルガの2人によって歌唱された「百万本のバラ」は、同コンテストで優勝を飾った。

 「百万本のバラ」が世に出たのは、1981年であり、その十年後、ラトビアは独立を達成したのだ。

 強大国の帝政ロシア、それに続くソ連に圧迫され、蹂躙され続けた、悲しき祖国、愛しき祖国、ラトビア。

 「百万本のバラ」は、祖国ラトビアの独立を願うラトビア国民の祖国愛の歌だ。「あなた」は祖国ラトビアで、「ぼく」はラトビア国民である。「百万本のバラ」のバラは祖国愛を意味するのだ。 

 松山善三の訳詞による「百万本のバラ」の歌は続く。

 貧しい絵描きの僕に できるのはひとつ
 何もかも捨てて あなたを思うこと
 誰も知らない 心のささやきを
 花びらに添えて あなたに贈りましょう

 バラを バラを バラをください
 ありったけのバラをください
 あなたの好きなバラの花で
 あなたを あなたを あなたを包みたい

 バラを バラを バラをください
 百万本のバラをください
 僕の 僕の 僕のこの命
 あなたに あなたに あなたに捧げましょう

 出逢いは短く あなたはもういない
 あなたは踊り子 街からまた街へ
 夜汽車の窓べで あなたは想うだろう
 見えない愛の火が この世にあるのだと

 くるくる くるくる くるくる回る
 真っ赤なサテンのトゥ・シューズ
 残った僕の熱い心には
 甘い思い出 涙の雫

 バラを バラを バラをください
 ありったけのバラをください
 あなたの好きなバラの花で
 あなたを あなたを あなたを包みたい

 バラを バラを バラをください
 百万本のバラをください
 僕の 僕の 僕のこの命
 あなたに あなたに あなたに捧げましょう


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やはり

さん

私にとって松山善三さんの訳詞方がしっくり くるのが納得できました。
自分の感性を信じてよかったと思えました。

ありがとうございます。

2014/03/06 22:46:23

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