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パトラッシュが駆ける!

誘発してる 

2014年08月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

パトカーが、赤色灯を点滅させたまま、停まっている。
警官が、数人の女子高生の、その話を聞いている。
「ここを・・・」
中の一人が、自らの太ももを指差した。

「あっちへ逃げました。黒っぽいTシャツで、帽子を被っています」
「何処を曲がった?」
「あの、時計屋の角です」
二台、三台・・・数分のうちに、パトカーの数が増えた。
自転車で来た警官も居て、その数だけ見れば、大層な事件だ。

のろまな犯人だったようで、間もなく捕まったと見える。
「確保」
警官が叫び、一人の男を、パトカーの中へと押し込んだ。
「くろ、くろ」という所を見ると、犯人なのであろう。

女子高生に「面通し」をさせている。
「こわーい」
直接犯人と、顔を合わせるのを、ためらう者も居る。
無理もなかろう、年端も行かぬ少女である。
さて、どうするか・・・
警官は、慣れたものだ。
スマホを取り出すや、犯人の顔をパシャリ、そしてそれを持ち、
少女の側に行き、見せる。
「間違いありません」
これで、一件落着。

パトカーが去ったを汐に、見物の皆さんも、散り始める。
「何事ですか?」
遅れて現場に来た人は、よほどの事件と思うのであろう、その眉を、曇らせて聞く。

「痴漢ですって。でも、その犯人のかたも、捕まりました」
説明するおばちゃんは、得意顔だ。
何でもそうだが、先に見た者、知った者は、えらいのである。

しかし、おばちゃんにも、困ったものだ。
「方」は、人に対し、敬意を込める時に、用いる言葉ではないか。
犯罪者に、敬意をこめてはいけない。
「あの野郎」などの、侮蔑的呼称こそがふさわしい。
しかし、女性だから、そうも呼べまい。
せめて「人」あるいは「男」とすべきであった。

「あんなに、出しちゃって・・・」
今度は、別のおばさんが、呟いている。
女子高生のことだ。
その太もものことだ。
「なま足をまあ・・・」と、そこに批判の、矛先を向けている。

しかし、これは、難しい。
夏の盛りである。
誰しも、肌を覆う布は、少ないに越したことがない。
男の略装は、時に見苦しいけれど、女性の場合は、
これが得なことに、例えば短いスカートが、美しいと、
もてはやされたりもする。
一概に、女性を責めるわけにも行くまい。

人々が去り、街は静かになった。
私も閑人である。
自宅三階の窓から、この一部始終を見ている。

 * * *

私は、歳でもあり、今から痴漢行為に走ることは、ないと思われる。
他に何か、やってしまいそうな犯罪が、あるか・・・
これも見当たらない。
自らをコントロールすることに、絶対の自信があるわけではない。
罪を犯してまで、手に入れたいものが、ないからだ。
これは、幸せなことであり、同時に、少しさびしいことでもある。

痴漢の彼には、計画性など、なかったに違いない。
出会いがしらに、つい、手が伸びてしまったのではあるまいか。
たまたま、太ももの露わな、女子高生と行き違った。
これが不運だったと言えなくもない。
もちろん、彼を擁護するわけには、行かない。
人間誰しも、自制して、この社会を生きねばならないのだから。

痴漢より、もっと、ずっと多いのが、万引きであろう。
これは、男女を問わずである。

「年配の主婦が、意外に、多いんですよ」
食品スーパーの店長をやっている、慶介が言っていた。
「それも、累犯です」
つまり、常習化するのだそうだ。
犯人に、罪の意識が、なくはないのだろう。
あっても、少ないのだと思われる。

万引きしやすい、店内構成にも問題があろう。
監視の目が少ない。
手にした品物を、うまく隠せば、それがただで、手に入る。
そこでつい、誘惑に駆られるのでは、あるまいか。

「ガードマンを、増やせばいいじゃないか」
「そうも行かないんですよ。人件費はかかるし、
売り場の雰囲気にも関わるしで」
これではしかし、犯罪を誘発しているようなものだ。

性善説に依拠する、売る側が、よくない。
太もも露わな、女子高生より、ずっとよくない。
大騒ぎした、まんだらけだって、ショーケースの戸が、開いていたというではないか。
実にもう、だらけている。

私はかつて、商店主であった。
小さな金物店を経営していた。
万引きも、なくはなかったが、ごくたまにであった。
個人商店は、店が小さく、客が立て込むことも少ない。
その分、店内を見る目が、行き届いていた。

その個人商店が、大型店により、席巻されてしまった。
大資本による、低価格大量販売を前に、零細商店は、
抵抗しようにも、その術がない。
店仕舞いが相次ぎ、中には、シャッター通りと化した街もある。

その原因となった大型店が、万引きの被害に、苦慮している。
それみたことか・・・
彼らの商法にも、アキレス腱が、あるではないか。
世の中、そうそう上手く行くものではない。
かつての零細商店主としては、少し溜飲を下げ、その成り行きを見ている。



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あたしゃ無名の方がいい

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
有名人って、大変なのですね。
私は、端席で、ひっそり飲んでいる方が、性に合うんですが・・・

小噺、拝見しました。
いいですね。

2014/08/23 07:25:31

有名税

さん

師匠は、まぁ、有名税だと思って覚悟して下さい。
今日はまた小噺もどきを作りました。
明日アップしますが、少々上品でないけれどお許し下さい。
落ちは普通につけたつもりですが、またご指導下さい。

2014/08/22 21:19:39

苦労します

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
内容が薄っぺらなものを、なんとか味付けで誤魔化し、
読んでもらおうって、寸法です。

ちょうど、夏枯れで、よいネタがありませんでした。
来週は、張り切って、ネタひろいに出かけます。

くしゃみ、出ました。
そうだったのですか・・・
私の噂は、ほどほどにして下さいね。
このところ私は、方々で、料理されてしまって、肩身を狭くしております。

2014/08/22 21:13:15

見もの

パトラッシュさん

秋桜さん、ようこそ。
言葉の乱れ、気になりますね。

でも、秋桜さんの口から「あの野郎」が飛び出したら、相手はびっくりするでしょうね。
その時の顔を、見てみたい気もしますが・・・

2014/08/22 21:05:19

私は厳罰主義

パトラッシュさん

のびたさん、その通りです。
現状が、甘すぎるのです。
厳しく対処すべきです。

2014/08/22 21:01:09

さすが師匠!

さん

内容より、まず筆さばきに目を奪われました。
上手いです! 今日はクシャミ出ませんでした?親友達に師匠の自慢話をしていました。

若い娘さんの、あの過度の露出、同性が見てもはっとする事があります。
ある意味、自業自得、痴漢も魔が差してと思うのは同性に厳しく異性に甘いからでしょうか? 許せない行為ではありますが・・・

万引きは窃盗です。万引きと言う言葉を無くしたらと思います。

2014/08/22 18:45:53

確かに。

秋桜さん

何かにつけ、誘発している部分ってありますね。
全体に甘い、ゆるいです。


言葉の乱れも相当おかしい。


「>方」は、人に対し、敬意を込める時に、用いる言葉ではないか。
犯罪者に、敬意をこめてはいけない。
「あの野郎」などの、侮蔑的呼称こそがふさわしい。


はい、もっともです。
わたしも「あの野郎〜」と言いたいです。

2014/08/22 18:39:44

万引きは犯罪です

のびたさん

こんな警告文が大型スーパーと大きな書店に出ています
今更犯罪ですと書かねばならないほど 罪の意識が無く万引きするケースが多いようですね
そう言えば軽犯罪というものがあります
何が軽いのでしょうか

2014/08/22 17:49:03

夏枯れです

パトラッシュさん

風香さんまで、師匠はよして下さいよー
私は、支障人間なんだから。

今回は、夏枯れでもあり、窮余のネタ拾いです。
嗚呼、北海道へ、行きたいなあ・・・
大沼の湖畔が、なつかしいです。

下着の売買、援助交際と来ると、もう女子高生だからと、甘やかしも出来ませんね。
親はどうしているんでしょう。
困った風潮です。

2014/08/22 14:51:10

拙文を

パトラッシュさん

木の葉さん、
お読み頂きまして、ありがとうございます。
確かに、自業自得のところがありますね。
「触ってよ」と言わんばかりに、出しておいて、
いざとなると、「きゃー」ですからね。

いえ、私がやったわけでは、ないですよ。

2014/08/22 14:43:27

師匠!

さん

さすがです。 みごとな筆さばき。
お弟子さんも真剣に読まれることと思います。

今日偶然見た「ひるおび」で女子高生がネットで隠語使い
下着の売買、援助交際の呼びかけ等々。
親は知らないのですよね。

2014/08/22 14:14:11

さらさらと・・・。

木の葉さん

おはよう御座います。
まるで短編小説のような、さらさらした表現でとても読み易かったです。

たしかに最近の女子高生や若い女性は、露出が多すぎます。

男性の目を意識して勝手に出しているのですから、痴漢に合ってもおかしくないですよ。
覚悟して露出して欲しいです(笑)。

2014/08/22 10:47:17

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