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人生いろは坂
待ち遠しい春
2015年02月12日
テーマ:テーマ無し
ここのところ暇さえあれば畑仕事をしている。やってもやっても尽きぬことはない。ここ数年、全くと言って
良いほど手が付かなかったことばかりで、あれもこれもとやっている内に月日は流れていく。
粗方、伸び放題だった果樹や周辺の雑木の剪定が終わった。お蔭で畑全体を見渡すことが出来るほどに
すっきりした。お茶の木から始まって梅や柿の木や庭木に至るまで先を飛ばして丈を低くした。木々の成長は早い。
三、四十年も過ぎると空を覆い隠すほどに成長する。それが我が家のハッサクである。見事なほどに大木となった。
ビワの木も伸び放題だったものを思い切って剪定した。お蔭で丈が低くなり手入れがしやすくなった。こうした
木々の剪定した後の枝は処分に困るのだが、幸いに近所の人が引き取ってくれる。そこの家ではいまどき珍しい
五右衛門風呂があって、その風呂を沸かすのに使ってくれるのだ。ありがたい。
こうして手入れの終わった山の畑では、もう一度耕してジャガイモを植える準備をする。EMを使い始めて大きな
変化が出てきた。山の畑は元々花崗岩が風化してできた土だった。いわゆる「まさ」と言う土だった。乾けば固くなり
水はけは良いのだが、有機質も肥料成分も全く含まない痩せた土だった。
その土が表層から何センチかは粘り気のある土に変わってきた。粘りのある黒い土に変わってきたのだ。恐るべき
微生物の働きによるものだ。今は落ち葉類と糠(ぬか)、その他には油粕など有機質のものを入れている。まだまだ
完ぺきとは言えないが、じゃが芋などの収穫が終わると元の「まさ」土に戻っていたものが少しずつだが変化している。
午前中の畑仕事が終わると午後はテレビの録画を見て過ごす。外は寒風が吹きすさんでいても窓越しの日差しは
明るく温かい。瀬戸内海地方は本当に住みやすいところだ。北の方からは吹雪や大雪のニュースが連日のように
聞かれる中、風こそ強く寒いものの雪もちらほらする程度、道に積もった雪に悩まされることもなく、ましてや屋根に
積もった雪おろしの必要もない。
海水温が下がったとは言え、海の水は気温より高い。従って海べりでは霜も滅多に降りることはない。早いところ
ではエンドウの花が咲き始めている。海の影響力はやはり大きい。さすがに我が家は由加山の麓、海からは遠く、山から
吹き降ろす風は冷たく寒い。海岸の気候とは異なる。我が家の畑はこの寒風の通り道や周辺にある。それでも雪国の
ことを思うと温かく住みやすい。
さて、これからは鳥達の渡りのシーズンである。ここ数日、ヒヨの大集団が飛来し畑のものを食べつくしている。
これも自然のあり様だから仕方がない。近所の畑では、たった二日か三日ほどで、あらゆる野菜が粗方食べつくされて
しまった。我が家ではこうした過去の苦い経験から面倒でもネットを被せている。お蔭で今のところ大した被害はない。
穏やかでいて変化にとんだ季節の移ろい、それは悠久変わることはない。変わるときは長い時間をかけて変化していく。
一方、人間世界はどうだろう。戦争や紛争の話題、殺人や薬物中毒、人質事件、振り込め詐欺等々、種々雑多な事件が
後を絶たない。
そして、この前まで湯川さんだ後藤さんだと、かしましく報道されていたことも今は何もなかったかのごとく過ぎて
しまい、人々の話題から消えてしまおうとしている。誠に人の世の移ろいは早い。夢幻のごとく通り過ぎて行く。
そして私達自身もこの世からあの世へと旅立つ日が一歩一歩と近づいている。
人生とは何だろう。人の世とは何だろう。ただ変わることのないものがある。それは宇宙と言う悠久の時の流れだ。
人の世の一瞬と比較して何とスケールの大きいことか。
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