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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

92歳老人北軽井沢移住生活奮闘記(41) 

2016年10月10日 外部ブログ記事
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野菜直売店を開店して53日目は、朝から雨が本降りとなった。
不思議なことだがこれまでの53日間、朝から雨という日は一日もなかったのだ、ということを改めて知った。いろいろと思案していると電話が鳴り、社長命令で休日となった。
もともとその日は週に一度の買い物日で、荷物の運搬だけの仕事だった。雨の中、どのような方法で商品を降ろすか、最後の撤収はどうするかと悩んでいたが、休日となればそんな悩みも吹っ飛んでしまう。すでに熱帯低気圧になった台風に礼を言いたいような思いがけない休息日、買い物を済ませた午後、温泉に入りゆっくりと身体のケアができた爽太だった。もともとは自給800円のアルバイトのつもりだったこの野菜直売店だが、開業し営業が始まると、どうやったらより多く売れるか、どのように客と接するか、などと営業マン精神がむくむくと頭を持ち上げてくる。爽太は、どんどんのめり込んでいく自分を感じるようになっていく。75日間休みなし、ということは最初から分かっていたし、そんなことはぜんぜん問題にしていなかった。昭和30年代後半から40年代にかけて、爽太が働き始めたころは、日本全国働く人々には休日などなかったに等しい。月に二度、日曜日に休みはあったが、その他の日は残業残業の連続で、今から考えると本当によく働いたと感心する。
 
爽太は小さいながらも事業をしていると、日曜祭日などは関係なく、盆と正月以外は休みなど考えられないというのが普通だと思っていたので、75日無休には何の抵抗もなかった。早朝5時に起床、清々しい朝の空気を吸って素晴らしい景色の中を走る軽トラックで見る景色に爽太の毎日は感動の連続だった。しかし、どんどん仕事にのめり込んでいくにつれ、その景色に変化が生じている。決して目が悪くなったわけではないが、爽太はその景色が見えなくなってきていることに気が付いた。65年間という決して短くない期間を福岡で過ごしたが、その周辺にも素晴らしい場所はある。そして美しい景色もたくさんあった。盲目でないかぎりその景色は見えていたに違いないのだが、この地に移り住んだとき、初めて自然の美しさに感動した。それは「見える」と同時に「感じた」からにほかならない。爽太は「見える」とは「感じる」ことだということがその時はっきりとわかったのだ。同じ景色を見ていても心そこにあらずでは、その景色は見えていない。
頭の中に「仕事」が入っていては見えていても感じることができない。人は笑いながら怒ることができないように、他のことを考えながら美しい景色に感動することはできないのだ、ということに気付いた。そのことがはっきりとこの度の経験でわかったとき、改めてこの地を終の棲家と定めたことが、自分の人生にとってどれだけ大きな出来事だったのかを知ることになる。75日の間にはいろいろなことが起きた。一人で運営する野菜直売店では、じっとその場所にいるほかはない。その前を通り過ぎるいろいろな人たちを見て過ごすが、その間、いつの間にかさまざまな人間関係ができていく。
 

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