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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説「ルオムの森」―2 

2017年07月29日 外部ブログ記事
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世にも有名な避暑地・軽井沢は長野県にあるが、北軽井沢は群馬県に存在する。
国道18号線の中軽井沢交差点を30分足らず北上すると、そこはもう群馬県。
活火山浅間山も長野県側からと群馬県側からとではその姿形が違い、ぜんぜん別の山のようにも思えるから不思議である。軽井沢の避暑地としてのスタートは、1886年(明治19年)、カナダ生まれの宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが当地を訪れ、その美しい自然と気候に感嘆し避暑に訪れるようになったのが最初だと言われている。
その後、古くから名湯として知られていた草津温泉と軽井沢を結ぶ草軽電気鉄道が開通し、現在の長野原町に北軽井沢駅が作られたという。いずれにしても軽井沢の発展と北軽井沢は深い関係がありそうだが、どちらにもいえる共通点は浅間山麓の大自然に違いない。古くからその自然の魅力に取りつかれた人は多く、作家、芸術家、音楽家など著名な人々が軽井沢、北軽井沢の自然の中で大きな仕事をなしとげている。
あの世界の小澤征爾は、まだ若い学生時代に北軽井沢で学んでいたということを知る人は少ないが、音楽家だけでなく写真家や陶芸家、作家などは、この大自然の中にいるとそれぞれのもつ創造力がより一層発揮されるのだろう。春夏秋冬いずれの季節も変化する自然の環境は、人の心に大きな影響を与えるものだ。雑踏の都会から自然を求めている人たちは、いつの間にか、まるで磁石に吸い込まれるように浅間高原へやってくる。
 
ルオムの森で働く桑本ひとみは、7年間フィンランドで暮らしていた。帰国して、たまたま父親の仕事の関係で北軽井沢を訪れ偶然にルオムの森に出会うことになる。ルオムというフィンランド語に惹かれてあっという間にここで働き暮らすことを決断したのだ。
伏田まゆみは、長野県出身で縁あってこの地で活動する木工職人と結婚して住みつき、ルオムの森で働いている。舟山まゆみは、ニュージーランドで見分を広め都会で働いていたが、やはり自然の中で暮らしたいという夢があり、この地で暮らすことを選択した。
もう一人、島崎しずかは、3人よりも少し年齢が多く、秘密めいたところがあるが、他の3人からは「しず姉」と呼ばれて慕われている。
そんな中に突然やってきた北沢せつこだが、彼女もこの浅間高原の大自然にすっかり魅せられていた。誰よりも早く職場に来るせつこは、いつもルオムの森の中を散策するのが大好きになっていた。春にはさまざまな植物が新しい芽吹きをみせ、その新緑が徐々に深緑になっていく様子は、心がうきうきとして希望に燃えるような気持ちになった。やがてその自然に秋風が吹き始めると、緑いっぱいの世界は赤や黄色の世界へと変わっていき、夕焼け空に虹がかかったり、さわさわと吹く風に揺れるススキの穂は、まるで喜びにあふれ笑っているようにも見える。誰一人知らないこんなところにどうしてやってきたのか、思い出そうとしてもさっぱり記憶がない。ただ、助けられた時つぶやいた「せつこ」という名前だけが何かを思い出せるような気がしていた。しかし、この大自然に抱かれて生きていると、いつの間にか、もうここで死ねばいい、と思うようになっていた。

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