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試金石 

2017年09月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:一人暮らし

最近は、夜ベッドに入ってから。朝起きるまでに、何度か目覚める事が多い。

時計を見ると、4時だったり、5時半だったり、6時少し過ぎだったり。


5時の時は、ああ、ちょうど横に寝ていた主人の息づかいが荒くて、私が目覚めた時間だな、と思う。

5時半だと、「お薬、飲む?」「枕、ずれてるから、ちょっと頭持ち上げるね」等、頷く主人とまだ会話をしていた頃だな、とか。

6時だと、病院の救急に電話して、ベッド脇に戻ると、主人の呼吸が止まっていたのに気づいた時だ、とか。

6時過ぎてると、救急車が来て、大騒ぎをしていた頃だ、とか。


毎朝、主人の最期を思い出しながら目覚めるのは、幸せだと思う。


中途半端な時間だと、日常生活に紛れてしまうだろう。

これも、主人のプレゼントの様な気がするのだ。


いま、我が家が住んでいるマンションでは、大規模補修工事が進んでいる。

約八ヶ月間、足場を組んで外壁を補修し、ベランダの床も補修するらしい。


毎日沢山の人が出入りして、雑音も工事だから半端ではない。

その工事が始まったのは、主人の亡くなった翌月であった。


主人は亡くなるまでの20日間ぐらいは、毎日訪問看護師さんが訪ねて下さったり、介護タクシーで病院へ行ったり、バタバタする日が続いたけれど、まだマンション内は静かだった。


亡くなった日は、119番に連絡すると、救急車と、救急車に乗りきれなかった救急隊員を乗せて、消防車までやってきていた。

蘇生のために来てくれたらしいが、事前に言われていた様に、行く先の病院と主治医のお名前を告げて、そのまま運んで貰ったものの、一時は大騒ぎであった。


でもそれも、早朝のことで、人通りも殆どなかったのが、幸いだった・・。

計画できることではないけれど、上手に切り抜けたね、と毎日主人に言っている。


葬儀に使った写真は、現在我が家に飾ってあるけれど、こちらの気分によって、主人の表情が微妙に変化して見えるのが面白い。


これは、未だ元気だった7,8年前、チェコの学会に行った時の写真だ。

主催者のピステック教授に、パーティでピアノを弾いて欲しいと頼まれた時だ。

パーティの前に、主人の親友スワヴェックがカメラを持ってやってきて

「ピアノ弾くんだって?

二人一緒の処を、一枚、撮ってあげるよ」と言って、後からデータを送ってくれた写真だ。


だから、主人の表情は、もともと、ちょっと微妙なのだ。

ビールのグラスを手にしているから、気持ちはリラックスしているけど、妻がピアノを弾く夫、という、ちょっと照れを隠しているところもあって、私の大好きな写真だ。


いつも、ピアノの部屋に飾っているのだけれど、主人が亡くなった日、娘に見せて「この写真、どうかな?」と相談すると、「いいね!」と即決。


先日、ネットで主人の名前を見つけて、それをブログに書いた日は、何処か皮肉な表情に見えたっけ。


どうやら主人は、未だに私の試金石であり続けている様だ。



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彩さん!

シシーマニアさん

コメント、ありがとう。

そうでしたか、彩さんのお別れも、早朝だったのですね。

私は、一人だったのもあるけれど、娘が駆けつけてくれた10時くらいまでは、鮮明に憶えています。

でもそれから、今日まで、一体何をしていたのかしら・・。
余り、記憶がはっきりしません。

仰る様に、ブログに助けられた毎日でした。
ブログを辿れば、思いだすでしょうね。
手帳にも、毎日の事は、簡単にメモしていますけれど・・。

葬儀の後、子供達が東京へ戻ってから一人になって、暑い毎日が続いて、殆ど家に閉じこもっていて・・。

少し涼しくなってからは、捻挫をして家に閉じこもり、一体何をしていたのでしょう。

それが、昨日気づいてしまったのです。
ブログに書こうと思います。

2017/09/22 08:52:43

吾喰楽さん

シシーマニアさん

やはり、写真の奥様の表情は、時によって変化しますか・・。
一枚の写真を、こんなに頻繁に眺める経験なんて、余りありませんものね。

もともと、私は美術館でも肖像画や仏像など、顔の表情を眺めるのが好きでした。
一時間も眺めていると、表情が変化してくる気がして、作者と会話している気分にもなります。

遺影とは、そんなにじっくり向き合いませんけれど、
朝から、晩まで、丁度其処に座っている主人に、声を掛ける、そんな気分になります。

中々、いい物ですね。

2017/09/22 08:43:14

澪さ〜ん

シシーマニアさん

コメントありがとうございます。

ご主人を見送られた大先輩の方々が書いて下さる、優しい言葉は、勿論ご自身の経験を踏まえてらっしゃるだけに、しんしんと伝わって来ます。

私はまだ、始まったばかりで、右往左往していますが。

澪さんの、あの静かな気配は、何時、何処で、得られたのかな、と思ったりします。
本来の、澪さんの性格もおありでしょうけれど、それだけじゃないでしょうね・・。

2017/09/22 08:35:48

おはよう!

彩々さん

同時刻だったのですね。
我が夫の旅立ちは5時50分でした。

思い出すと辛い時間ですね。

記憶が飛んでしまって、そのあとの
時間は、どうやっていたのか…、
冷静になった後も、あの2−3日は
記憶喪失のままです。
私自身も、時間の中を夫と浮遊していたの
だと思います。

シシーさん、ブログというツールを
持っていて良かったですね。
(私の時は「ブログ」が無かった(?))

シシ―さんがブログに書かれる感情表現は、
もちろん、ご自身にとっての記録となり、
私たち読み手にとっては、深く記憶に残る
一冊のエッセー本。

その豊かな感性のまま、正直に綴り出す
文章に心打たれます。
一語、一語が弾かれるピアノの音にも
聞こえます。


私も、そろそろ書き出そうかな。。。

2017/09/22 05:20:20

遺影

吾喰楽さん

こんばんは。

前半の時間表現が、巧みですね。
その時の様子が、目に浮かびます。
目頭が熱くなりました。

私の場合は、日が替わって間もなくです。
いまだに、その光景が目に焼き付いています。

妻の遺影は、今の時季の花である彼岸花で有名な、巾着田で撮りました。
最初に使った抗癌剤が良く効き、元気だった頃です。

私も、気分により、妻の表情が微妙に違って見えます。

2017/09/21 21:36:59

シシーさん こんばんは〜♪

澪つくしさん

ご主人との思い出を、ひとコマずつ紡ぎながら・・・

掛け替えのない時間だ・・・ と思います。。。

これはやはり、共に過ごした人生のご褒美♪〜?

これからも・・・ 暫くの間・・・

ご主人との思い出の中で楽しい時を過ごして行って下さd(^-^)ネ!

残された者は皆、こうして辿って行くのでしょう。。。

2017/09/21 21:35:14

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