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パトラッシュが駆ける!

快癒に至りぬ 

2010年05月28日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


夜中に腹が痛み出し、トイレに行った。
下痢である。
私は、便秘で悩んだことはないが、下痢は若い頃から、ちょくちょくだ。
「下痢派」、それも、様々な症状を経験している、ベテランなのである。


夜中の下痢は、症状が重くなることが多い。
腸の中に滞留した食べ物が、出口に向かおうとして、しかし、
身体が眠ってしまっているものだから、二進も三進も(にっちもさっちも)行かず、
遂には消化されないまま、暴れるのではないか・・・
そんな風に、私は理解している。


最も酷かったのは、忘れもしない、一人で奈良へ旅行に行った夜だ。
美味そうなサバ寿司を見かけたので、買って帰り、ホテルの部屋で食べた。
もちろん、ビールを飲みながらだ。
その後、気持がよくなって、じきに寝てしまった。
これがいけなかった。


深夜に目が覚めて、酷いことになった。
便器に腰掛けたまま、脂汗を流し、遂には気が遠くなった。
ああオレは、遠い奈良の地で息絶えるのか・・・
所持品の中には、身元を証明するものもある。
いや、チェックインの時に、住所氏名を書いているから、ホテルが妻に、
連絡してくれるだろうな・・・
なんてことを、考えていた。


それで懲りればいいものを、その後も何度か、
夜中のそれを繰り返している。
一度なんか、トイレを出てから、気が遠くなって、ひっくり返った。
幸い、我が家の布団の上だから良かった。
狭い家も、こんな時には、便利でいいもんだと思った。


妻はだから、私が夜中にトイレにこもっていると、心配してやって来る。
「どうですか?」
「大丈夫」
ドアの外から、確かめて終り。
どうぞごゆっくりとは、さすがに言わない。


歳を取ってからは、暴飲暴食を避けている。
晩酌の際につまむ、肴の量だって、極力減らしている。
胃にもたれそうな、重たいものは食べない。
だから最近、重篤な下痢には、襲われていない。


ちなみに関西では、こちらで言うツマミを、「アテ」と称するらしい。
酒にあてがう、つまり添え物くらいの意味であって、
この語感はなかなかよろしい。
私は飲酒に際し、食するものをアテ程度に、自制すればよいのである。


 * * *


下痢の話すると、普通は嫌がられる。


井上ひさしの小説「四十一番の少年」に、何かの言い訳に、
下痢を持ち出して、こっぴどく怒られる話がある。
「そんな話をすんな。メシが不味くなるじゃないか」
確かにそうだ。
語感そのものが、よくない。
どうせ身体の不調を言い訳にするなら、頭痛、歯痛の方が、
はるかにスマートだ。


また下痢は、同情されにくい。
当人が気をつければ、防げたのではないか・・・
つまり、自己責任の度合いが高いから、人の見る目は、より厳しくなる。


私の尊敬する、山口瞳さんは、常に下痢気味であった。
執筆などで、生活が不規則であり、加えて、酒も飲んだからだろう。


たまに、とぐろを巻くほどの逸物が出ると、小躍りするように、喜んだ。
つまり、普段は形をなさないことが、多かったのであろう。
喜びの余り、その様子を書きたくなったと見え、
週刊新潮の「男性自身」の中に、何度かウンチの話が出て来る。


ああそうか、山口さんのように、さりげなく書けばいいのだなと、
私は真似をしてみたくなり、それで、これを書いている。


* * *


今回、夜中のトイレで思ったのは、三ヶ月前に死んだ、友人の山崎のことだ。
若い頃、こんな約束をした。
先に死んだ方が、あの世の様子を伝えようぜと。


葬儀以来、山崎からの知らせを待っていたが、音沙汰がない。
もしや、これか・・・
異例のことが起きると、つい、結び付けたくなる。


そこへ下痢である。
もしかしたら、山崎が何かを、私に伝えたかったか・・・
どう考えても、思い当たらない。
今回は、単なる身体の不調のようだ。


もう百か日も過ぎた。
山崎からの知らせはない。
あの世は結局、なかったのだと思うことにした。


「下痢をバカにしてはいけません。重大な病気に結び付くこともあります」
友人Aが言う。
彼、医者でもないのに、偉そうなことを言う。
「下痢から、ガンが発見されることもある」
友人Bが言う。
皆して、私を脅かす。


ははぁ・・・
結局こういうことなのだろう。
私が普段、威張っているからである。
「病気?そんなもん、罹るヤツが悪いんだ」
くらいのことを言っているから、一旦私が不調となるや、
この時とばかりに、皆さんが責めるのである。


ここ数日、食生活に気を配り、ウォーキングもハードにならないようにしている。
但し、ビールは飲んでいる。
よく誤解されるのだが、冷たい飲み物は、腸を刺激して、
下痢を起しやすいと言われている。
私に言わせれば、それは、牛乳などの話だ。
ビールは違う。
ビール酵母は、整腸剤に用いられるくらいで、本来、
身体によろしいのである。


実際、この私を見てほしい。
見事に全快に至った。
適量のビールが、これに寄与したことは、間違いない。
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