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私家版・日豪の比較文化人類学 〜群れから抜け出した羊が見たもの〜

投票率100パーセント!? 

2010年08月09日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

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 今、オーストラリアは国の総選挙まっただ中です。今月(2010年8月)の21日、土曜日が投票日です。しかし、郵便受けに州政府から選挙の公式ガイドが入っていて、投票所や投票方法についての案内があり、交通量の多い交差点に立候補者のポスターが出ていて、「ああ、今選挙をやっているのだ」と気付く程度です。日本だったら街宣の車から絶叫のアナウンスが響き渡り、イヤでも選挙期間であることが分かりますが、こちらはいつも通りの嬉しい静けさです。<br />
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 選挙の公式ガイドが送られてきたとはいえ、そして私たちはこちらで生活していますが、身分は一時居住者として扱われて永住権も市民権もないので選挙権はありません。しかし、住んでいる国の政治がどうなり、経済がどう動くかは興味あるので注目しているところです。<br />
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 今回の選挙は、先の2007年の選挙で11年ぶりに政権を奪回した労働党が引き続き与党の座を守ることができるか、自由党が保守政権として返り咲くのかが焦点で、事前の支持率も拮抗しています。特に、今回は任期満了で総選挙の日程が差し迫った状況で、与党労働党が打ち出した資源超過利潤税の新設案やそれ以前の温室効果ガス排出量取引制度の導入法案否決などで支持率を下げ、人気の高い女性のジュリア・ギラード副首相が下剋上的に首相の座を奪った直後だけに成り行きが注目されるところです。日本で参院選に突入する前に民主党が菅首相に変わって支持率を回復した状況と似ていますね。結果は散々でしたが。<br />
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 こちらでも急に車の買い替えに補助金を出すとか、病院のコストを全額政府が出資するとかバラマキの公約を次々と打ち上げ、相手陣営のスキャンダル暴露合戦まがいを展開したりして票固めに躍起になっているところは日本と同じです。しかし、鉢巻きにたすき掛け、白の手袋でやたらニコニコして誰かれ構わず握手して回る候補者の姿はありません。また、先述の通り街宣車の下品極まりない絶叫大音量アナウンスもありません。こういう候補者が当選すると途端に「先生」になって、ふんぞり返るのをずっと見てきましたね。日本で。<br />
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 ところで、オーストラリアの国政選挙では投票率が100パーセントに近いことをご存知ですか。これは法律で投票が義務化され投票しないと罰金(最高50ドル)が科せられるからです。しかし、実際には投票できなかった人に罰金を科すことは稀だといいます。というのは、投票しなかった人には選挙管理委員会から審問の手紙が送られてきて、それに正当な理由を書いて送り返せば認められる場合が多いからです。このような人を除いても96〜97パーセントの投票率ですからうらやましい数字です。<br />
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 オーストラリアには日本の住民票にあたるシステムがありませんから、有権者をどのようにして管理するかといいますと、選挙権が与えられる18歳になると選挙人名簿への登録を義務付けているのです。これもオーストラリアの選挙の大きな特徴で、これによって不在者投票や郵便投票はもちろん居住地以外での州外投票、海外からの在外投票、それに病院や刑務所、遠隔地などでの投票を管理しているのです。投票を義務としているだけに、どのような投票にも応じられる徹底した対応がすごいですね。<br />
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 もうひとつ、下院議員は小選挙区制で行われますが、投票は投票用紙に印刷された全立候補者に優先順位を付ける方法で行われます。全優先順位付連記投票制(Full Preferential Voting)と呼ぶこのユニークな投票方法もオーストラリアの選挙の大きな特徴です。投票する人は選挙区全部の立候補者について優先順位を付けなければならない訳ですから「オラが先生」だけでなく他の立候補者の考え主張も考慮、比較しなければなりません。その結果、民意が可能な限り反映された候補者が当選することにつながるわけです。<br />
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 選挙の方法はそれぞれ一長一短があってどれが理想なのか決めることは大変難しいことでしょう。投票の義務制度も人の自由を束縛し、政治に興味のある人もない人も同じ1票はかえって不公平であるとか、愚民政策の下地を産むとか、反対・否定する理屈はいくらでも付けられます。しかし、「バカな奴らは選挙に参加してもらっては困る」と言われれば誰でも怒ります。そんなことならば、可能な限り全員参加の理想・原則を堅持する義務制度とすることもスッキリして大きな意義を持っていると言えるでしょう。<br />
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 特に、選挙制度そのものを決めるのが選出する対象となった、なる議員であることが極めて矛盾した構図になっているわけで、問題解決の困難さの根底だと言えます。与党・多数党は自身にとって都合の良い制度にお手盛りで決めることができるわけで、その時点から理想や真の公平・公正など求めようにも無理な話なのです。質の低い議員が多数の現在それはさらに深刻です。<br />
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 オーストラリアの選挙制度が完璧であるかどうかは断言できませんが、すくなくとも理想に近づこうとする方向ははっきりしていると思います。日本がこの制度を検討する価値はおおいにあると言えるでしょう。 <br />
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