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パトラッシュが駆ける！

私情を紙上に　

2014年02月08日 ナビトモブログ記事
テーマ：テーマ無し

「毎日新聞ですが」
ぼそぼそとした、男の声だ。
またかと思った。
どうせ、購読を延長して下さいとでも、言うのであろう。

昔は、新聞の売り込みに、拡張員が来ていた。
やくざと見まごう、がらの悪い男達である。
洗剤やビール券を手に、作り笑いを浮かべていた。
それが、いつの間にか姿を消し、電話で購読を勧誘するようになった。

そこには、事情があるのであろう。
昨今の新聞各紙は、ネットに依存する、
若い世代の新聞離れもあって、
販売部数が減り、悩んでいると聞く。
旧態依然の拡販では、やって行けなくなったと思われる。

私は囲碁の対局中であった。
相手はサロンの常連の、歯医者さんだ。
戦いが白熱している。
こんな時でも、電話が鳴れば、出なければならない。
「ふぁーい」
その声が、不機嫌になるのは、やむを得ないことだ。

「お送り頂いた文を、掲載させて頂くことになりました」
「あ・・・」
すっかり忘れていた。
私は、コラム向けの投稿文を、先日、メールで送ったのであった。
しかしもう、二週間も経っている。
てっきり、ボツになったと思っていた。

蕎麦屋での、些細な出来事を書いた。
僅かな、お金の問題である。
「そんなこと、気にする人が居るの？」
世間の多くの人から、言われかねないことだ。
だから載らないのも、無理ないと思っていた。

一方で、ひょっとして・・・という思いもあった。
書いたのは、私の、かすかな慙愧の念である。
良心の呵責と言ってもいい。
世の中の全部が、正直を否定するようでは、
世も終りじゃないかという頭があった。

私の経験では、投稿後、一週間が目安だ。
通常、これを過ぎたら、ボツになったと見ていい。
だからもう、私は忘れていた。

「二行ほど短かったので、添削させて頂きました」
「はい」
「題名ですが、どう致しましょう」
「お任せします」
私はもう、声を切り替え、きっぱりと返答をしている。
そして正直なところ、私は、題名なんぞ、どうでもいい。

「では念のため、お名前とご職業を確認し・・・」
毎日の編集部は、話が簡単だ。
要点のみ言って、じきに終わりとなる。
これが朝日だと、三倍も、時間がかかる。
投稿文の内容について、根掘り葉掘り聞くからだ。

「その蕎麦屋は、何処にありますか？　行ったのは、いつですか？　
お食べになったのは、天ぷらそばでしょうか？　値段はいくらでしたか？」
そんなことは、どうでもいいじゃないか、と言うところまで、突っ込んで来る。
私が想像するに、これは、よく言えば「裏を取る」であり、
悪く言えば「疑っている」証拠だ。

これも想像なのだが、投稿者の中には、事実に基かないことを、
さも自らの体験のように、書く者が居るのではないか。
あるいは、他人の書いた文を剽窃する者が、居ないとも限らない。
その辺を警戒し、未然に防ごうとしているのではないか。
朝日の場合は、これが厳格で、毎日はさほどでもない、と言うことであろう

「二月八日に掲載されます」
「土曜日ですね。わかりました。ありがとうございます」
これで終り。
私は、急いで碁盤に戻った。
歯医者さんと来たら、自分は、患者を待たせるくせに、
自分が待たされると、すぐに機嫌が悪くなる。

　＊　＊　＊

結局、その碁には、負けてしまった。
途中で電話が入ったから・・・とは言うまい。
しかし集中力が、一旦切れたのも事実だ。
久しぶりに、自分の書いた文が、新聞に載る。
嬉しくないわけがない。
自分に甘くなる。
読みまで、甘くなるわけである。

職業欄に、今回初めて「囲碁サロン経営」と書いた。
昔は「金物店経営」であった。
一度「無職」になったことがある。
店を閉じた直後であったから、仕方ない。

その時は、かかって来た電話に「元金物店経営」ではどうでしょうかと、聞いたら、
その経歴が、文の内容に、関係がある場合に限ると言われた。
例えば「元校長」が教育について、「元医師」病気について、
その経験を語る場合などである。
だから、もし「鍋を焦がした時の対処法」や
「包丁の研ぎ方の秘訣」について書くなら、
私も「元金物店経営」と称することが出来るわけだ。

「無職」は辛かった。
何とか、肩書がほしかった。
そのために、囲碁サロンを開いたわけではないが、
名刺に、サロンの名を入れた時には、正直、ほっとした。
今度は新聞に、その肩書が載る。

未知の碁好きから、電話がかかる可能性もある。
当分は、気を付けねばならない。
囲碁の最中であっても、不機嫌な声を出してはならない。

頼まれなくても、毎日新聞は、当分、取り続けるつもりだ。



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新聞

パトラッシュさん

我太郎さん、
何時も拙文をお読みくださいまして、ありがとうございます。
今の若者の、新聞離れは、甚だしいものがあります。
階下の娘一家も、取りません。
何かで、古新聞が必要になると、私達のところへ、もらいに来ます。
こんなことでは、新聞各社の今後が、思いやられます。
せめて、私達シニアだけでもと、取り続けています。

2014/02/12 17:50:42

新聞

我太郎さん

休刊日は淋しいもので、新聞はろくに読まないのにとり続けています
そう言えばしつこい勧誘員が来なくなりました
たまに勧誘に来ても、インターフォンで間にあっている旨告げるとそれ以上何も言わなくなりました
反面、お土産の無いのはなんや淋しい
朝日の取材姿勢は基本的には賛成ですが、ケースバイケースでしょう
肝心な所でミスって頭を下げてちゃねえ
コラム欄では内容によりけりですが、架空の物でも構わない内容が多いように思いますが。

2014/02/12 07:37:44

国民性？

パトラッシュさん

トパーズさん、ありがとうございます。
今どき、私みたいな小心者は、少ないと思います。
しかし、ウソばかりあふれる、今の世の中で、上にバカの付く男が、一人くらい居てもいいかなと・・・

そうですか、間違えても謝らない・・・
国民性とはいえ、残念ですね。

2014/02/09 08:39:24

紙上掲載おめでとうございます

トパーズさん

世知辛い世の中、パトラッシュさんのような方
は、最近珍しいと思います。
折角美味しいお店を見つけれらたのですから、
これからも行きたいですよね。事情を説明して
返金しすっきりしましょう。
私の場合は、買い物の際、レジでキャッシャーの
打ち間違いによく遭遇します。
殆どは、値段より高く打ち込まれる事が多いです。
いつも、打ち込んでいる金額を見ていて、間違って
いたら、指摘し訂正してもらいます。
この場合、済みませんの言葉は聞いたことがありません。
一回お釣りを１ドル多く渡してきたので、即座に
返しましたけど、この時もサンキューの言葉は
なかったです。このお店以外でも、こんなことは
日常茶飯事ですが、どうもこちらの人は、自分の
過ちでも、謝ることをしない傾向があり残念に
思っています。

2014/02/09 05:22:59

そうですか

パトラッシュさん

soyokazeさんの勤務先は、良心的なお店なのですね。
結構なことです。
これからも「内幕」を語って下さい。
語り過ぎて、クビにならない程度に・・・

先ほど、中央線も止まったようです。
こんな時、通勤のない者は、気楽です。

2014/02/08 16:36:17

私達は

さん

逆に宴会の時など注文個数と帳場の記録が違っていないか？
開けていないビール瓶は無いかお客様に損をさせてはならないと気を配っています。
お客様の粗相でお椀をこぼしてしまったらすっ飛んでおしぼり持参、勿論新しいお椀をご用意します。
お客様あっての店なので損はさほど気にしませんが、飲み放題は記録を取って儲けたか損したか計算はしています。（笑）
こんな内幕も面白いでしょう？

パトラッシュさんみたいなお客様は大歓迎です。＾＾
勿論、私も以前より一層良い客になりました。＾＾

2014/02/08 16:25:18

難関

パトラッシュさん

ばばたまさん、
世の中が皆、世知辛くなっては、いけません。
私のような、バカが付く者も、居ていいのでは・・・と。
そうですか、お母様、「声」に載りましたか。
それは大したものです。
なかなか、載らないのですよ。

2014/02/08 16:17:03

逆の立場なら

パトラッシュさん

soyokazeさん、
客の立場と、経営者のそれとでは、当然に受け止め方が、違うでしょうね。
soyokazeさんも、飲食店の従業員、やられて困ることは、客になっても、やらないでしょうね。

2014/02/08 16:13:14

とってもいいものを！

さん

読ませていただきました。一生に一度くらいと言って母も一度朝日新聞の声欄に掲載されたときは喜んでました。全国版だから競争率高いんでしょうね。でもいつも楽しみのブログでしたが　今回は記事までギャラリーに載せていただいてありがとうございました。

2014/02/08 16:05:07

読みました

さん

ありがとうございます。
そういえば、ブログをお気に入りに入れてありましたっけ！

いつもとってもブログが面白いので（って言ったら失礼でしょうか？）
まだ一杯記事もあったからゆっくり読ませて頂きます。

お気持ち、よくわかります。
今度は自己申告して気持ちよく美味しく召し上がって下さいね。＾＾

2014/02/08 15:12:37

貧乏性患者

パトラッシュさん

風香さん、
私は、貧乏性の一種なのでしょう。
何もやらないでいる人生が耐えられないのです。
何もやってないと、みなされる人生も・・・です。

2014/02/08 14:11:16

お気が向きましたら

パトラッシュさん

soyokazeさん、
朝日は裏を取るのに、その朝日を取りに行けない。
困った雪ですね。
雪籠りが、よろしいようで・・・

先ほど、ホームページの方に、ＵＰしました。
つまらない文ですが・・・

http://www.h4.dion.ne.jp/~patorush/b-31.htm

2014/02/08 14:08:40

投稿

さん

そうですか、おめでとうございます^^

>「無職」は辛かった。 何とか、肩書がほしかった。
社会の第一線の舞台で築き上げた人格、人生ですものね。
理解できます。。。

2014/02/08 13:22:51

残念！

さん

我が家は裏をとる朝日です。
しかし、その朝日新聞さえサンダルでは取りに行けない雪の向こう・・・
今日の新聞は旧聞として明日読む事になりそうです。

図書館に行くチャンスもなさそうだし、ブログにアップできないでしょうか？

2014/02/08 09:41:25

二紙も・・・

パトラッシュさん

りんごちゃん、落ち込むことはありません。
「ひととき」は、かなりの、狭き門と聞いております。なかなか載らないようです。
「声」欄の方が、載りやすいです。
今回の私のは「男の気持」です。

りんごちゃん、二紙もですか・・・えらいですね。

2014/02/08 09:10:44

おめでとうございます

さん

パトラッシュさん、おめでとうございます。
先月まで毎日も購読しておったが年金暮らしなので
二紙に減らしました。
今日の毎日は図書館で読みます。
２週間も間があっては没と思いますよね。
朝日は何度か私も載ったことがあります。
毎日はすっきりとした応対ですね。
先月「ひととき」投稿が没になり
自己嫌悪で落ち込んでおります。

2014/02/08 08:52:42

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