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パトラッシュが駆ける!

囲碁のサラブレッド 

2014年05月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

私は、毎週一回、近くの児童館で、囲碁を教えています。
多い時は、二十人ほどの児童が集まります。

Kちゃんが、お母さんに手を引かれ、やって来ました。
女児です。
幼稚園の、年中さんだそうです。
そのお母さんの顔に、見覚えがあります。

「やってみる?」
Kちゃんが、こっくりと頷きました。
ちょうど手の空いていた、Y子ちゃん(二年生)に、
9路盤で対戦してもらいました。
Y子ちゃん、23級です。
先輩の貫禄で、Y子ちゃんが勝ちました。
Kちゃん、大石が死んでしまい、憮然たる顔をしております。

傍らでは、お母さんが、微笑を浮かべつつ、見守っております。
囲碁を教えるについては、雑作もないことでしょうけれど、
敢えて同じ世代の、 仲間を求め、児童館にやって来たようです。
さながら、母犬が子犬を、子犬の群れの中に、放つようにです。

お母さん、盤上に、先ほどの終局図を基に、問題を作りました。
「黒が生きるのには、どこへ打ったらいい?」
ウッテカエシを含みに、目を確保する、意表の一手があります。
Y子ちゃんが、これを見つけ、Kちゃんも頷きました。

なるほどなあ・・・
囲碁の技の中で、子供が一番好きなのは、ウッテガエシです。
これが決まると、もうそれだけで、勝ったように喜びます。
そんな子供達の心理を、お母さん、よく知っています。
そして、巧みに問題を作るものです。

それもそのはず、彼女はプロですから。
かつて、女流の三冠を取ったこともあるくらい。
そして旦那さんは、ちょっと前まで、名人だった人。
この世界では、超の付く、有名人です。
誰一人、知らない人は居ないでしょう。

でも、その素顔は・・・
何処にも居る、一人の女性です。
エリート然としたところは、まったくありません。
そう言うものなのでしょう。
オーラとは、盤を前にした時だけ、自然に輝くものなのでしょう。

「また来週、いらっしゃい」
Kちゃん、頷いて帰りました。
プロの子を教える。
前名人の子を教える。
そんな機会が訪れるとは、正直思いませんでした。

おそらくは、かすかな師弟関係となるでしょう。
何しろ彼女は、馬に喩えれば、サラブレッド。
駿馬のように、初段への道を、駆け抜けて行くでしょうから、
私の出る幕は、多くないと思います。
しかしながら、縁あって、私の元へと来ました。
微力を尽くしたいと思います。

人生には、思いがけないことが起きるものです。
私は、囲碁をやっていたせいで、様々な好運に巡り会いました。
それは、人との出会いです。
住む世界の、まったく違う方々と、お近づきになったりしました。

囲碁には、少なからぬ、恩義があります。
児童館や小学校において、コーチをやっているのは、その恩返しのつもりです。

(プライバシーのこともあり、実名は控えさせて頂きました)



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豊かに・・・

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
いいもんですね「出会い」とは・・・
せっかく頂いた人生ですもの、豊かに渡りたい。
それには、人との縁を、大切にしたいと思います。

たまに、こんなことが・・・と思うような、出会いがあります。

2014/05/21 12:19:01

出会い

さん

囲碁、将棋は今では日本の伝統的な知的な趣味、頭を使い、礼儀を学びます。
私はどちらも知らない門外漢ですが、パトさんが囲碁を通じて得た色々な物を還元する為に子供達にボランティアで教える、そこに現れた囲碁界のサラブレッド、まだ幼稚園児でその素質の一端が伺えますね。
こんな出会いも又必然のような気がします。

2014/05/21 11:34:06

道楽が・・・

パトラッシュさん

マリーさん、
囲碁は、将棋と共に、日本の伝統文化ですが、
ややもすると、道楽視されることもあります。
実際、昔はそうでした。
私も、「あんなものに、うつつを抜かし」と、白眼視されたこともあったのですが、最近は、少し見直されています。
「よいご趣味で」と。
人生は、どこでどう変転するか、わかりません。
この私が、子供たちに教えるなんて、思ってもいませんでした。

2014/05/20 16:52:01

素晴らしいことです

さん

囲碁のことは全く分からなくてごめんなさい。
ご自分が学んだことを世の中に還元していらっしゃることは実に素晴らしい。
これからも後輩に文化を伝承してください。

2014/05/20 16:11:05

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