メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

パトラッシュが駆ける!

あぁディズニー(後) 

2015年01月30日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

東京ディズニーランドに隣接し、東京ディズニーシーがある。
これは、同じ東京堂菓子店の看板商品、饅頭と大福みたいな関係ではあるまいか。
中の餡は同じ。
外皮の食感に、僅かな違いがある。
そんなようなものだと、私は思っている。

両方売れることは、あるまい。
饅頭が盛況なら、大福は閑散だろう。
そう読んだ。
結果は半分当り、半分外れていた。
入口こそ、すんなり通過出来たものの、園内はそこそこの人だ。
アトラクションには、行列も出来ている。
不思議な菓子屋だ。
饅頭がバカ売れし、大福もそこそこ、買われていることになる。

ここにおいて、私には、客の心理というものが、よくわからない。
私達と同じく、饅頭を買いそびれたから、大福で我慢するのか、
それとも、当初から、大福目当てに、やって来たのか。

ちなみに私は、本日こそ、直前で変節したが、
こうとわかっていたら、当初から、大福の方を目指したであろう。

振り返って見ると、私は人生の要所において、常に、
倍率の高い進路を、避けていたように思われる。
情けないが、これも性分だから、仕方ない。
遊園地にやって来てまで、私は、処世と言うものを、考えさせられている。

 * * *

妻は、その精神構造に、問題があるのかもしれない。
急激な変化に弱い。
ヘアピンカーブの続く山道では、すぐに車酔いを起こす。
そのくらいだから、遊園地には、本来向いていない。

スリルのある乗り物がだめだ。
例えば、ジェットコースター。
一周して戻ると、顔から血の気が引き、息も絶え絶えになっている。

昨今の遊園地では、これをエスカレーションと言うのだろう、
他園より、さらに恐怖感の強いニューマシンを、競って導入しているようだ。

スリルが客を呼ぶ。
長蛇の列が出来る。
人気の飲食店と同じだ。
列が出来ると、その列が、さらに客を呼ぶ。

ディズニーシーにおいては
「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」なんてのが、
その筆頭らしい。
オフロードカーで魔窟の中に侵入する。
守護神の怒りが爆発し、次々襲い掛かるその中を、
猛スピードで駆け抜けるのだそうだ。

その入り口には、待ち時間の表示があり、50分と出ている。
ここにおいて、夫婦の利害が、期せずして一致する。
片や、スリルが嫌い、こなた待つのが嫌い。
では、止めようとなる。

しかしながら、せっかく来たからには、何かに乗らないことには、話にならない。
遊園地とは、そう言うものだ。
そして、私達の貧乏性だ。
ただの券なのだから、どう使おうと勝手なのに、
乗らないと何か、損をするような、そんな気になっている。

待たずに乗れる。
それはお子様向けの、他愛のないアトラクションだ。
私達は、行き当たりばったりに、そんなのを拾い乗りし、
拾い見している。
これで良いのかもしれない。
人間は誰しも、歳と共に童心に帰る。
私達は、既にして、周囲の皆さんから、童心者と見込まれている。

 * * *

昔、ここへ、二人の娘を、連れて来たことがあった。
そのころは、若く、貧乏であった。
レストランは高い。
持ち込んだおにぎりを、親子四人で、ベンチに座り食べた。
これ、本当はルール違反らしい。
そうまでして、来なくてもよかったのに、しかし来た。
子供らの懇請を、もだし難かったからだ。

その娘らも、今は、人の子の親になっている。
同じように子連れで、ここにもやって来ているらしい。
「レストランで、ランチを食べたの」
孫娘が言う。

娘一家は、ローンを抱えている。
贅沢はするな。
つましく暮らせよ。
日頃言い聞かせているのだが、聞く耳を持たない。
育て方に、問題があったかもしれない。
今の世の中で、若い世代に、倹約を求めるのは、
そもそも、無理なのかもしれない。

レストランに入り、ちょっと贅沢なランチを頼んだ。
もちろん、ビールも頼んだ。
今の私達が、ベンチでおにぎりを食べていたら、それは話が逆だ。
世間からも、笑われる。

「あっちにお坊さんが居たわよ」
トイレから戻った、妻が言う。
世の中に、坊主頭の男など、珍しくもないが、ひょっとたら、
反社会的勢力の、それである可能性もある。
どれどれと、見に行った。

そうしたら、本物であった。
五十過ぎくらいであろうか。
頭をきれいに刈り、袈裟こそかけていないものの、僧衣を着ている。
「横に居たのが、奥さんかもしれない」
妻が言う。
そうかもしれない。
彼女は、乗り物には弱いくせに、人を見る目は、案外に確かだ。

私はもう、嬉しくなってしまった。
老若男女を問わず、誰だって、ディズニーに来ていい。
お坊さんだろうが、神主だろうが、同じこと。
大いに楽しんで、帰ってもらいたいと思っている。

しかし、一抹の心配がある。
あの恰好で、インディ・ジョーンズ・アドベンチャーに乗った時に、
その僧衣が、凧のように、はためかないだろうか。
お坊さんが、破顔して歓声を上げ、それでよいものだろうか。

午後の早い時間に、私達は退場ゲートに向かった。
そうしたら、どうだ。
逆に、入園しようとする人が、まだまだ居る。

その中に、杖を突いた老夫婦が居る。
おお・・・
物好きは、私達だけではなかった。

「あの人たちだって、優待券の口かもよ」
妻が言った。
そうかもしれない。
そう考えれば、すべての疑問が氷解する。
お坊さんだって、檀家からの、プレゼントかもしれない。
いい歳をした聖職者が、こんなところへ、六千四百円も出し、わざわざ来るわけがない。
                      (終)



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

なるほど

パトラッシュさん

彩々さん、
そういうものですか。
古女房と一緒で、人からうらやましがられるとは、
思いませんでした。

確かに、連れが居ないと、様にならないところもありますね。
男の私には、例えば宝塚、
あそこに、私一人で行く勇気は、ありません。

ディズニーもそうです。
一人だったら、私は行かなかったでしょう。
男同士では・・・やはりダメ。
その点、女同士は応用が利くようで、よろしいです。

臨時亭主役なら、務めますので、何かの時は、どうぞご用命下さい。
でも、彩々さんなら、その役を務める男性は、ごまんと居るでしょうね・・・

2015/02/01 12:07:32

何が悲しいかと言うと

彩々さん

出遅れました><;。。。

熟年夫婦の後をつけながら漫才のような
掛け合いをクスクス笑う我が身を想像します。

私たち未亡人(古ッ!)は、何が悲しいかと
思うに、まさにこういう漫才のような
ツッコミとボケを言いあえない…

スーパーで主人がカゴを押し、遅い買い物に
イライラしているのを、こっちは楽しむなど。

スーパー温泉などに行って、お互い出てくるのを
待って、話すことも無く、帰宅する…など。

そんな当たり前の事が出来ないという事です。

どうぞ、どうぞ、健康に気を付けて、
こんな掛け合い漫才をこれからも繰り広げて
ださいね。
奥様によろしくお伝えください。

2015/02/01 10:55:40

了解しました

パトラッシュさん

喜美さん、
お菓子には、ずいぶんと、こだわりがおありなのですね。

我が街には、名物大福が、二店あって、それぞれ趣が違います。
えーい、こうなったら、両方お持ちしましょう。

2015/01/31 13:32:12

良かった

喜美さん

豆大福獲得

お酒が 焼酎とワイン 獺祭は同じ例えでも お菓子を例えてもらいたくなかったの 
そしたら大収穫持って来てね 

2015/01/31 08:46:29

恐縮です

パトラッシュさん

タンポポさん、、
待っていて下さって、ありがとうございます。
お褒め頂いて、恐縮ですが、私としては、凡作かなと思っております。

実は、ブログは、週に一回の発行を目指しております。
推敲を重ねていたわけではありません。
ホームページも抱えておりますので、このくらいが、限度かな・・・というところです。

私は昔、短歌をやっておりました。
短詩形(川柳を含む)を修練した者の散文は、簡潔になると、聞いたことがあります。
その影響が、出ているのかもしれません。
タンポポさんも、同じですよ。

2015/01/31 07:46:15

あぁディズニー(後)を

さん

楽しみに待っていました。
待っていた甲斐がありました♪

どうすればこんなにも楽しく、軽快な文章が書けるのでしょう?
一週間ごとのアップと言うことは、その間、推敲しておられるのでしょうか。

2015/01/30 22:26:40

思い出はランチだけ・・・

パトラッシュさん

Reiさん、
「おはぎ」と「ぼたもち」は、当たっているかもしれません。
名称こそ違え、実質同じなのですから。

真っ暗で、何も見えない。
それでも、私の妻は、目をつぶっています。
不意に何か見えると、怖いからだそうです。

今回、ディズニーシーで一番の思い出は、レストランでまともな昼食を食べたことです。
でも、どうせなら、銀座あたりで食べたかった・・・

2015/01/30 18:19:56

ディズニーシーで

Reiさん

2年ほど前にディズニーシーに行ったとき、センターオブジアースというアトラクションに乗りました。
とても揺れるので、メガネをはずしてくださいと言われ、ド近眼の私は見えない恐怖か、メガネを片手で押さえるために棒を片手で 持つ恐怖か 、どちらに耐えるかとても悩み ました。
結局、あたりは真っ暗で何も見えず、何がなんだかわからないうちに終わりました。

師匠もあれこれ言いながら、けっこう楽しまれたのでは!?

私が例えるとしたら、おはぎとぼたもちかな…あれ?同じかな…(^_^;)

2015/01/30 17:05:53

豆大福なら

パトラッシュさん

喜美さん、
旦那さん、私と同じような気質だったようですね。(笑)
今の男は、平気で長蛇の列に並びますが、あれは、彼女に逆らえないのでしょうね、きっと。(笑)
結婚してしまえば、並ばなくなるかもしれません。(笑)

そうでしたか、喜美さん、甘いものもお好きでしたか・・・
今度伺う時は、我が街名物の、豆大福をお持ちしましょう。
薄甘の餡がたっぷり入っていて、それは美味しいのです。

2015/01/30 14:18:10

比喩いろいろ

パトラッシュさん

SOYOKSZEさん、
まさかと思ったのですが、お坊さんの姿を見た時は、驚きました。
私服に着替えて来ればよいのに・・・
何か、考えがあったのかもしれません。

比喩は、他にもあったかもしれません。
例えば、清酒と焼酎、ショートケーキとモンブランと言う風に。

ぴったりの比喩を見つけるのは、なかなか難しいものです。

2015/01/30 14:11:30

喜美さん

郵便局の旅行で行きました
何故か私が旅行の役員でした
二人で行きましたけれど
団体で時間は制限されているし
食事券渡されて並ぶの嫌いな主人と
何も見ずつまらない旅でした

大福とお饅頭全く違います 両方大好きで
両方あれば喜んでいただきます

2015/01/30 14:11:07

饅頭飽きた、大福も

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
6400円あれば、結構な店で、飲食が出来ますものね。
仮にただであっても、私ももう、行かないでしょう。

2015/01/30 14:05:32

アトラクションより

さん

パトラッシュ師匠、こんにちは。

私はディズニーのアトラクションより、師匠と奥様の人間観察の方が面白かったです。
疾走するマシンに乗って、僧衣をはためかせる坊さんを想像して吹き出しました。
色んな方が行かれるのですね。(笑)

私が行った時も、子供達はぶうぶう言いましたが、なるべく並ばずに乗れるショボイ(?)もの専門でした。
なんせ、母親が並ぶのが大嫌いなものですから。

最初の一区切りの比喩、さすがですね〜!

2015/01/30 11:37:15

東京ディズニーシー

吾喰楽さん

東京ディズニーランドへは、一度だけ行ったことがあります。
当時は、シーがありませんでした。
今日のブログを拝見し、シーの様子が判りました。
これで、用が足りました。(笑い)

私は、優待券が手に入っても、行くことはないと思います。
幸い、誘われたら断れない人は、今は天国です。

2015/01/30 11:14:57

PR







上部へ