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パトラッシュが駆ける!
不純観戦者
2016年03月19日
テーマ:テーマ無し
打球が、三塁前へ転がった。
前進する三塁手が、やけに落ち着いている。
大柄な外人選手だから、動作が緩慢に見えるのかもしれない。
ボールをすくい上げ、一塁に投げた。
彼はきっと、その肩に自信があるのだろう。
打者走者が、ファーストベースに達する前に、
一塁手のミットに、ボールが達すればよいのである。
それが半歩前だろうと、5メートル手前であろうと、
アウト一つに変わりはない。
そこはプロだ。
計算して、アウトを取りに行っているようにも見えた。
次の瞬間、球場がどよめいた。
送球がわずかながら、左に逸れ、一塁手がこれをハンブルした。
チェンジ……となるはずが、ツーアウトランナー一塁二塁である。
三塁手のエラーということになる。
そこから騒ぎ出したファンが居る。
「アメリカへ帰っちまえ」
グラウンドのヘイグ三塁手に向かい、大声で罵声を浴びせている。
三塁側スタンドだから、指呼の間だ。
三塁手は、聞えているはずだが、動じる風もない。
言葉が聞き取れないということも、あるかもしれない。
それがまた、ファンには、不逞に見えるのかもしれない。
野次はさらに続いている。
贔屓の引き倒し、ということかもしれない。
私だって、血の気の多い人間だから、その気持を、わからないではない。
* * *
三月十七日、彼岸の入り。
私は午前中に、墓参りを済ませ、昼食を済ますや、
神宮球場にやって来た。
是非とも野球を見たくて……ではない。
知人がチケットをくれたからだ。
私が所望したわけではない。
新聞屋からもらった、無料の招待券を、彼が都合つかずに、
私にくれて寄越したのだ。
だから捨ててもよかったのだ。
しかし、もったいない。
たまたま自由な時間がある。
それでやって来たまでだ。
阪神対ヤクルト戦。
私は、どちらのチームを、どうこうということがない。
千駄ヶ谷の駅から歩いて来たもので、三塁側の入口が近かった。
それだけの理由で、私は、阪神側の席に座ってしまった。
そうしたら、そこが応援団の、真っただ中だったということだ。
午後の日射しが明るい。
空には、雲一つない。
暖かいからだろう、ビールがしきりに売れている。
半袖シャツの姿での、観戦者も居る。
いや、正しく言えば、皆さん応援者だ。
阪神の攻撃中は、スタンド中が、騒然たる拍手と歓声に包まれる。
隣の若者なんぞ、もうのべつ叫びっ放しだ。
私のような、気のない、もっと言えば冷淡な観戦者は、
多分一人も居ないであろう。
* * *
野球賭博の波紋が広がっている。
試合前の円陣において、掛け声をかけた選手に、
勝てば金が渡るという。
そんなことが行われていたとは、つゆ知らなかった。
それがまた、各チームにおいて、横行していた。
「賭博じゃありません」
とは言うものの、そもそもが褒められたことではない。
金銭のやりとりは、本来、スポーツに馴染まないものだ。
本当のことを言えば、一塁側に座りたかった。
ヤクルトは、その金銭のやりとりをやっていなかった、数少ないチームと伝えられている。
人生意気に感ず。
これを応援してやらない手はない。
しかし、心ならずも、阪神の応援席に座っている。
ついでに言えば、私の贔屓とするのは、広島カープだ。
これが同じように、円陣ゲームをやっていた。
市民球団だろ。
そんな金まみれのことを、やっていていいのか……
私は少々、がっかりしてしまっている。
こうなると、連想するのは、サッカーだ。
まさか、同じようなことが、行われていないだろうね。
私は、野球を見ながら、少し疑心暗鬼になっている。
* * *
それにしても、客が入っている。
内野スタンド、超満員ではないか。
賭博問題、何処吹く風である。
平日の昼間にも拘らず、若者が多い。
仕事はどうしたのだろう。
学業は……
気になるけれど、仕方あるまい。
それぞれの人生、それぞれの自己責任としたものだ。
ああそうか……
少しだけ、思い当たる節がある。
入場券売り場に、人影がまばらだった。
オープン戦でもあり、人気がないのかと思った。
ところが、入場してみれば、スタンドは満員だ。
もしかしたら、皆、私と同じ、無料の客であろうか……
人気離散で、スタンドに閑古鳥が鳴いても、まずかろう。
球団が急遽、招待券をばら撒いた。
なんてことも考えられないではない。
私は、不純なる観戦者だ。
野球を見ながら、余計なことばかり考えている。
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無料招待券いいですね
シシーマニアさん、
球場帰りに飲む。
これがよろしいですね。
週末の過ごし方として、絶好でありましょう。
我が家の妻は、
よほどの”餌”を与えないと、野球場やサッカースタジアムには、付いて来ません。
野球は、ルールもわからないようです。
有名選手?
はて誰でしょう・・・
2016/03/19 13:02:45
同じです
吾喰楽さん、
私も空いている方がよいのです。
とりあえず入場して、座った方のチームを応援することになります。
野球でもサッカーでも。
球場見学、楽しいですね。
実を言えば、試合なんか、どうでもよいのでして・・・
2016/03/19 12:25:56
Reiさん、日本酒党ではなかったの・・・
Reiさん、
私は、人になみなみと注ぐのは好きなのですが、
自分が注がれるのは、嫌いなのです。
(特に美人には)
手が震えるからです。
熱心なファンほど、喉が渇くようです。
(叫ぶから)
それで、ビールが売れるんだそうです。
2016/03/19 12:22:18
縁とは、面白いですね
神宮球場はよく行きました。
六大学野球を見に、です。
コストパフォーマンス礼賛の主人が、出身大学の野球部部長と親しくて、毎シーズン招待券が送られてくるもので、時間が許す限り応援に行ってました。
暇なウイークエンド、お天気が良い日は私も同行して、帰りはどこかで呑んでくる、というのが中年夫婦の楽しみでした。
スポーツ観戦には全く関心無しなのですが、野球のゲームだけは何とかついていけます。
多分、旧姓がかつて有名だった野球選手と同じだったので、家族中がファンだったからでしょう。
師匠の、吉永さん名にまつわる記憶の、ちょっと逆バージョンみたいだな、とおかしくなりました。
2016/03/19 11:33:34
横浜スタジアム
おはようございます。
球場が出来たころ、近所に住んでいました。
球場を見たくて、行ったことを思い出しました。
チケット売場の行列が短い、三塁側を選びました。
どちらでも良かったのです。
2016/03/19 10:32:55
野球観戦
おはようございます。
野球観戦に行ったら、しっかり応援しましょう!
でも私は、何度か東京ドームに行きましたが、ビールが美味しかったことしか覚えていません(>_<)
ビールを売るお姉さんたちは、見事にこぼれないように、なみなみと注ぎます。
きっと師匠は気に入ると思います(^^;)
2016/03/19 09:42:46