優しい嘘

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心どまり

2016年05月11日ナビトモブログ記事
テーマ：友

　昨日は、友人の月例の検査結果が出る日でした。
毎月、此の日は落ち着きませんし、何も手に付きません。

　私も月に一度の検査の日は、とても疲れます。　
ですから、心身共に疲れて帰って来る友人の為に、ﾗﾝﾁは、ｶﾞｰﾘｯｸたっぷりのﾑｰﾙ貝のﾋﾟﾗﾌと、生ﾜｶﾒとｱﾎﾞｶﾄﾞのｻﾗﾀﾞにしました。

　生ﾜｶﾒは、数日前に御近所さんが、海で採って来たとかで、沢山届てくれました。
茎付きﾜｶﾒでしたので、茎は細切りにしまして、明太子と和えます。
初物のﾜｶﾒは、御出汁にさっと潜らせるだけの”ﾜｶﾒしゃぶしゃぶ”も絶品です。
ﾍﾙｼｰですから、安心してお箸も進みます。

　いつも友人は、午後１時頃には、病院から帰って来ますので、１時間前には冷蔵庫から珈琲豆を出しまして、常温に戻しておきます。
珈琲は二人共、ﾓｶの酸味が苦手ですので、お決まりのｷﾘﾏﾝｼﾞｬﾛﾌﾞﾚﾝﾄﾞです。

　豆を挽くﾐﾙは、電動では無く、敢えて手動のﾐﾙを使います。
豆を挽く時の音も、手に伝わる振動も、とても心地良いのです。

　午後１時を過ぎましたので、ｺｰﾋｰｶｯﾌﾟを温め、ﾄﾞﾘｯﾌﾟ一式も用意しました。

「ピンポーン！」

　首を長～くして待っていた事を悟られないように

「開いているわよ～」

「良香の好きなｺｰｼﾞｰｺｰﾅｰのﾁｰｽﾞとﾁｮｺﾚｰﾄｽﾌﾚ御土産で～す♪」

　友人は、お道化て手渡しながら、勝手知ったる何とかで、洗面所で手を洗った後、指定席に座ります。
私が、ﾐﾙに手を延ばしますと

「私が挽くわよ～」

　ﾗﾝﾁの用意をしながら背中越しに聞いておりますと、時々、珈琲豆を挽いているﾐﾙの音が止まります。
嫌な予感がしました。

　本音を言いますと、彼女が帰って来るなり聞きたかったのです。

「検査結果はどうだった？」

と！でも聞けませんでした。
察した友人が

　「大丈夫よ！変わりなかったわ！」

　友人は、優しい笑みを浮かべて答えます。
私は、『優しい嘘』に騙された振りをして、精一杯の笑顔で返しました。

「そお～　よかったね～」

　