ウイールマン

チャンピオン 

2016年07月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

我チームには、カリフォルニアチャンピオンが二人。

リックとブルース。
二人とも今年69歳になる。
リックは若い時に、全米チャンピオンになったそうだ。

リックは体つきからして、平坦なコースが得意。
最終スプリントで、時速65キロくらいのスピードが出せる。

ブルースはオールラウンドだが、ロードレースが得意だ。

2010年カリフォルニア総合レース、マスター60歳以上のクラスでチャンピオン。

総合レースは2月から8月までの間、25レースでのポイントレース。

各ステージレースの順位によりポイントが与えられ、
年間で、一番ポイントが多いレーサーがチャンピオンとなる。

6か月間、毎週末、各地で開かれるレースに出場し、常に上位で完走しないとチャンピオンにはなれない。

バイクレースに引き込まれたのも、彼のレースを見た事だった。

“あんなふうに走ってみたい“

自分と同年齢の彼ら達。

過激なスポーツからは、かけ離れた年なのに、

すごい形相で、とりつかれたよう必死に、

若い連中達にも負けないようなスピードで、コーナーを走り回って行く。

ゴールをきると、皆倒れこむように。
しかしその後、皆爽やかな、そして幸せそうな顔をしていた。

この年になれば、勝ったとか負けたとかなんて、
あまり意味がないのだろう。

レースの途中で疲れて、ギブアップだけはしたくはない。

走り始めたら、皆と一緒にベストを尽くし、完走するのが勝つこと。

自分自身が一番のライバル。


そのチャンピオンブルースと、今日はふとした事でトレーニングライド。
彼とは同じチームだが、今まで何故か一緒にトレーニングライドした事はない。

レースでは一緒に走った事はあるが、彼はいつも先頭グループ。
アッという間に引き離されてしまう。

朝6時に起床。 ストレッチを30分。
きょうは、ハードライドになるだろう。

外を見ると、なんと近くで起きた山火事で、空は茶色。

きな臭い匂いまでしてくる。

本日の最高気温は30度をこすそうだ。

しかしあの連中はそんな事は気にしない。 走るときは、どんな時でも走る。

チャンピオンには、敬意を示すよう、時間前に着く。

暫くするとブルースが登場し、ライドが始まる。

ビーチサイドを走りぬけ、山にさしかかった時、
何時も彼とトレーニングしてる、若いライダー達が待っている。

皆で走り始める。

最初のヒルクライム、頂上まで30分程。

ブルースは若いライダーと話しながら、走りだす。

暫くすると、ブルースも真剣に走り始め出す。

皆についていくが、汗がしたたり落ちて前が見えない。

ふと横のブルースを見ると、あまり汗などかいてはいないし、まだまだ余裕。

頂上手前で、こちらの申脈数は1分で180。
これ以上ペースアップは出来ない。

しかし何とか、ついていく。

そしてやっと、頂上に。

休んで、また走り出す。

今度は、皆調子が上がって来たのか、真剣に走りだす。

暫くビーチサイドを走り抜けると、またヒルクライム。
そして最大の難所。

必死になってついていくが、ヒルクライムの入り口近くで、ついにダウン。

これ以上あの連中のペースでは、走る事は出来ない。

丘を駆け上り始めると、何とブルースはスローダウンして、待っててくれた。

しかし坂の途中で、彼のペースでは走れなくなる。
仕方なく先に行けと、、、

見る見るうちに、彼は視界から消えていつた。
やはりチャンピオンは只者ではない。

そして山の頂上で、彼らは待っててくれた。

そして今度は最後のヒルだ。

平たんな道を、丘をめざし始めた途端、皆スピードを上げ始める。

必死についていく。

此処で離されたら、もう2度と追いつけないし、
風の強い日に、風に向かって一人で走るのはつらい。

ブルースは先頭を走っている。

しかし彼のすぐ後について行けば、何とかなる。

最後の丘にさしかかる。
今までのヒルで、一番傾斜が激しい。
皆スピードが落ちてきた。 

丘をクリアーする事だけで、とても早くは走れない。
横を見ると、ブルースも辛そうな顔になってる。

さっきまで皆を引っ張って行ったのがこたえたのか。

ブルースが引っ張ってくれたおかげで、こっちは少し休めた。

今度はブルース達を引っ張る番だ。
先頭に出た途端、彼が自分の顔をちらちら見始める。

何か ”おい大丈夫か? あまり無理しちゃだめだよ“
と言ってるようだ。

チャンピオンたちと一緒に走るのは楽しい。

しかし今日は、チャンピオンとの実力の差を見せつけられた一日だ。

そしてその後、ブルースからメールが来る。
来週からの、トレーニングライドに参加しろとの。

断るわけはいかないが、またコテンパンにやられるだろう。



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