ウイールマン

ふるさと日本 

2016年07月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

北陸道を日本海に向けて走る。

平たんな街並みが続いていたが、いつしか山の中を掻いくぐるように。
高崎を過ぎたころ、山の向こうに軽井沢が見え始める。

青春時代の夏、軽井沢にいった事がある。

そこには友人の両親が持っている別荘あった。
軽井沢に遊びに行くなんて、何となくリッチな気分。

あの頃はもちろん高速もなかった時代。

夜中、国道18号線を車をとばし碓氷峠を上っていった。

街に夜中に着くが、何となくかたぐるしい雰囲気。
なぜかなじめない街だった

あの時出会った若者達は、ほろ苦い青春の思いを心に残し
夏になると、またこの街に来るのだろうか。


佐久平インターで、道の駅に止まる。

美味しい信州そばの店。

信州そばは、信州生まれの父の大好物。

その父を知っている友が、
美味しい信州そばを探してくれたのだろう。

日本で食べる蕎麦の味、また格別だ。

真夏の太陽が、まぶしいように輝いていたあの日。
家族を連れて、久しぶりの日本。

そして秋田の彼女の実家に里帰りしてた時に、急な母の死の知らせ。

何故母は死を急いだのだろうか。


すぐ夜行列車に飛び乗り、家に帰る。

あまりのショックに、2日間も食事ものどを通らない。

そのとき心配した姉が、そばをとってくれた。

冷えた蕎麦をつゆにつけ、口に含んだ時、
冷え切った心を穏やかにしてくれた日本のそば。
忘れられないあの味。

そして佐久平で、食べる信州そば。
あの時と同じ味がした。

また車は走り出す。

長野を通りぬけ新潟に。

遠くに、キラキラ輝く日本海が見えてきた。

道は左に曲がり、海伝いに走りだす。
険しく海まで張り出した、山々を通りぬけて。

北陸の町が見えだした。
やはりこの街は、何か淋しそうだ。

北陸は、スポットライトが当たらない日本の裏。

険しい山に閉ざされた、日本の日陰なのだろうか。

しっとりとした落ち着きはあるが、東北のような華やかさがない。
落ちぶれた、古い都を見ているようだ。

荷をといて、久しぶりの金太郎温泉。

ここは名湯だ。
 
日本で一番お気に入りの名湯。

海に近い温泉だが、塩分はあまり含まず、適度の硫黄分を感じられる。

目を閉じる。

風の音と、湯が流れる音がする。

7年ぶりだが、そんなに時間が経ったようには思えない。

色々な出来事が続いた歳月は、あまりにも早く通り過ぎていった。

この7年間の歳月、

今までの人生で、一番苦しかった時間のように感じるのは何故だろう。

祖国日本を離れ、アメリカでの42年。

周りにあるモノの豊かさが増すにつれ、
心の豊かさが、いつの間に無くなって行ったのかも知れない。

生き方の、その難しさを感じ始めていた。

失った心の豊かさを求めて、ふるさと日本に、
又この裏淋しい北陸の町に来たのだろう。



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