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浅間高原の野鳥 

2011年02月07日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

鵺(ヌエ)の声を聞く
 
 周囲を高山にかこまれた標高1,000メートル前後の広大な浅間高原は、水系にも恵まれ豊かな自然林が展開する。著名な中西悟堂氏の調査によれば、この地域には32科、102種の野鳥が生息するという。( 『嬬恋村 誌』)。事実、若葉・青葉の頃ともなればウグイス、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスなどが鳴き競い、シジユカラ、コゲラ、カケスなどが忙しく飛び交う。まさに、浅間高原は野鳥の宝庫なのである。
 
 私の住む大前字細原の地域では、六月から夏の終わりにかけて、夜半から明け方にかけて、“ヒー、ヒョー”と断続的に甲高い悲しげな鳴き声を聞く。トラツグミの鳴く声である。トラツグミは、ツグミ科の鳥でハトよりは小ぶりで、その鳥毛は黄白色の地色に黒褐色の横しまがある。
 
 この鳥は古くから「ヌエ」の異名をもち、漢字では鵺と書き古典にもしばしば登場する。『古事記』の神代の部には、「青山に奴延(ヌエ)は鳴きぬ」とあり、『万葉集』の山上憶良の「貧窮問答集」では、その鳴き声の悲しげなことから、ノドヨフの枕詞として用いられ、「飯炊く事も忘れて奴延鳥乃のどよひ居るに」とある。概してその印象はよくなく、『和名抄』では「怖(こわ)い鳥也」と記している。
 
 浅間高原の夜更けのしじまに何処からともなく聞こえ始め、やがて近づきそして遠ざかっていくトラツグミこと鵺の鳴き声は、私には妙な笛の音にも聞こえ、浅間高原が巨大な「能」の舞台と化し、古くからこの地に住んだ人々が名優となって現れては消え、消えては現れる。
 
かつては何処ででも聞くことのできた鵺の鳴き声は、今日、浅間高原ではわずかに聞くことができる。そこに、浅間高原の自然の豊かさと、悠久な時の流れを感ずる事ができる。
 
 
上記の文は、平成8年(1996年)7月号 嬬恋広報 松島榮治シリーズ 『嬬恋村 の自然と文化』(一)を転載したものであるが、私がここで生活を始めたのも6月13日であった。
 
6月から夏の終わりにかけて、“ヒー、ヒョー”と断続的に甲高い悲しげな鳴き声を聞く、とあるが、それが夜半から明け方にかけての時刻というから、私が聴いた野鳥の声ではない。しかし、私は、ここにきてまず驚いたのが野鳥の鳴き声だった。
6月は、まだ夏休み前で人気は少なく、このあたりの森は寂しさを感じるほどの静けさ。
その緑がいっぱいに茂る森の中から様々な鳥の声が聞こえてくる。
「これはいったい何なんだ?」どこにいるのかと、必死で声の方角を見るが鳥の姿は確認できない。高くそびえる木々の上の方から聞こえてくる鳥の鳴き声の中で、とくに印象に残っているのは「ピーヒャララ、ピーヒャララ」と聞こえてくる、高音の美しい澄んだ音色だった。多分雄と雌がいて、そのピーヒャララの後に聞こえた鳴き声を文字にできないが、そのピーヒャララに応えて何やら話していると思えるような、しかも、ピーヒャララに劣らぬ美声だった。
 
その他の野鳥たちも、様々な鳴き声で楽しませてくれたが、その時期が鳥たちの求愛の時期だと言うことを後に知ることとなる。
2年目の6月、3年目の6月とピーヒャララの声が少なくなっていることが気にかかる。
今では、シジュウカラ、ゴジュウカラ、コガラ、ヤマガラ、ヒガラのカラ類とシメやキツツキが餌を求めて飛んでくるようになっているが、平成8年頃と比べると野鳥の数も減っているに違いない。それでも、まだまだここは野鳥の宝庫。何時までも美しい歌声を聞かせてほしいものだ。
 
松島榮治氏は、妻がお世話になっている「さゆみの会」で指導してくださっている松島先生のご主人。文では大前字細原とあるので、ここからさほど遠くはない。いつの日にかお目にかかってお話しを聞くチャンスがきっとあるだろう。
嬬恋村の自然と文化・松島榮治シリーズは今後も紹介していきたい。
 



 


 

 

 
 

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