ウイールマン

200キロチャレンジ 

2016年08月23日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

昨晩は興奮していたというのか、多少ナーバスになっていたというのか、
夜中に何回も起き、寝れない夜を過ごした。

今ちょうどオリンピック。

あの選手たちも大試合の前夜は、よく寝れられるのだろうか。
いくら慣れてるとはいえ、やはりオリンピック。
ほとんどの選手は、一生に一度の勝負。

きっと睡眠不足が、彼らのベストコンデション。
逆境に立ち向かっていく事が、もっとエネルギーになるのかもしれない。

朝4時。
外はまだ真っ暗。
集合時間は朝5時45分、スタートは夜明けの朝6時30分。

ロスアンジェルス港のあるサンペドロを出発して、メキシコ国境の港町、サンディエゴ港までの200キロを走る。


若手の連中は6時間以内でゴールするのが目標。

スタートラインに到着するが、まだ人もまばら。

サポートスタッフは、車の中に途中のデポでの補給の食料や飲料を積み込んでいる。

食料と飲料のデポは50キロ、100キロ、150キロ、175キロ地点に設置。

また途中ドロップした人達を乗せたり、
バイクのトラブルを応急処理するサポートカーは後をついてくる。

時間を多少過ぎてスタート。

ロングランなので、皆最初はスローペース。

1時間も過ぎ、街を離れ始めるとペースは速くなり始める。
やはり最初のグループについて行きたい。

この頃になると、幾つかのグループに分かれる。
先頭集団、そして真ん中の集団、後は後続の集団

何とか先行集団について行く。

一緒にトレーニングライドする、ブライアンも一緒だ。
後は皆若手の連中。

50キロで最初のデポ。

食料と水を補給してまたコースに戻る。

慣れない補給時間に少し手間取り、先行集団に離されたが、何とか追いついた。

若手の連中が先頭で風を切って走るので、後はピッタリ後ろについて走ればいいのだが。

そして100キロのデポ。

そこで、コンデイションの変調が来た。
何となく疲れとは違う、体中からくる異常な痛痒さ。

デポで、我慢できなくトイレに行く。
そしてふと見ると、血尿みたいな。

シマッタと思っても、これは完全な脱水症状。
途中気温が上がらず、汗はかいたが。

しかし先行集団について行く事だけが頭にいっぱい。

冷静な判断が出来なくなり、十分な水分の補給をしてはいない。


これは話では聞いていた、ミオグロビン症状かも知れない。

筋肉の極度の疲労で出た廃棄物を、脱水状態の為腎臓が処理しきれない。

もしかしたら、このまま終わってしまうのではないかとの不安が心を横切る。

しかし今ここでやめる事は到底出来ない。

何とか十分な水分を補給し、少しペースダウンするしか、、、、

先行集団からは離されるが、何とか二番目の集団と、互いに励ましながら一緒に走る。

150キロのデポ。
下半身の痛みがひどくなり、血尿のようなものも止まらない。

あれから充分水分をとったのに。

もうここで終わりかのか。

体中が壊れていくような。

後ろから来るサポートカーに乗せてもらい、
病院に連れて行ってもらおうか。

しかしまだ足は回ってるし、まだまだ走れる。

誰かが言った言葉。

“限界状態で何が見えるか、見てみたい“

175キロデポで、何時ものトレーニング仲間達が走って来る。

60歳にもなるダッグは、スピードは落ちてるがまだいくらか元気。

ケニーは足の痙攣が始まり、かろうじて走ってる様だがダッグが引っ張ってる。

その光景を見ればとてもギブアップなどして、サポートカーになど乗れない。

仲間たちが必死に頑張っている。

ダッグと一緒にケニーを引っ張る。

200キロ近くなった地点で、最大の難所。

長い長い上り坂。

この坂を上れば、後はゴールまで下り坂。

坂にさしかかる。

苦しいが、何も考えずただ前を見て。

足の痙攣が始まるが、だましだまし足をまわす。

頂上近くで笑顔が沸いてきた。

今まで楽しい人生だったという思いが心を横切る。

此処で朽ちれとも満足だ。

心身ともに限界で見えたものは、満足感と充実感。
すべてを全うした達成感。

皆と一緒に坂を上りきり、あとはゴールを目指しまた走り出す。

あと少しでゴールが見えてきた。

あそこを過ぎれば、もうペダルを、踏まなくてもいいのだろう。

6時間37分52秒が終わった。



拍手する


この記事はコメントを受け付けておりません

PR







上部へ