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パトラッシュが駆ける!

二十五年 

2016年09月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

私は、スポーツの中では、サッカーが好きだ。
野球も嫌いではない。
たまに、神宮球場に行くことがある。
「かっとばせーアライー」
レフトスタンドから叫ぶ。
「クロダー」と大声に呼ぶ。
周辺は、赤一色に染まっている。
何を隠そう私は、広島カープを応援している。

新聞は、この度の優勝を「苦節二十五年」と書いていた。
しかし私には、さしたる苦節でなかった。
もちろん、優勝はうれしい。

しかし、長いこと、優勝しないことに慣れた私には、
そこに必死の思いなど、なかった。
悲願でもなく、渇望でもなかった。
「ああ、よかったなぁ……」くらいのものだ。
今季は、早い段階で、優勝が確実視されていた。
だから余計に、感激が薄いこともある。

それでも広島の町は、沸き立っているらしい。
まあ、結構なことだと、それを冷静に見ている。
私は、熱意の乏しいファンなのかもしれない。
レフトスタンドには座るものの、赤のユニフォームすら持っていない。

但し年季だけは、入っている。
そのファン歴は、半世紀になんなんとする。
そもそもは、広島が、弱小チームであったからだ。
セリーグのお荷物と言われるくらいに弱く、
毎年最下位の辺りを、うろついていた。

私は、世の常の皆さんと、少し違う思考をする。
これを天邪鬼、あるいは、へそ曲がりと言うことも出来る。
「可哀想じゃないか」
弱くて人気のない、このチームに同情した。
それが発端であった。

同情が愛情に変る。
往々にして、あることだ。
可哀想だから、結婚してやった。
なんてことが、世間にないでもない。
現に……と言いたいが、例に挙げれば、必ず反撃が来る。
「冗談じゃないわ。それはこっちのセリフよ」と。
だから、止めておこう。

昔、「野球は巨人」であった。
今でも、それはあるが、昔の方が、より顕著であった。
学校なら、クラスの大半が、巨人ファンであった。
「勝った」「負けた」を語る時に、主語は要らない。
彼らは常に、巨人の側から、野球を見ていた。

社会人となり、商店会に属した。
ここも同じだった。
「巨人、大鵬、玉子焼き」なんてことが言われた。
当然のように、巨人ファンが大半を占めていた。

たまに、阪神ファンがいた。
彼は、関西の出身であった。
ヤクルトファンがいて、皆から不思議がられていた。
この東京には、ずっと立派なチームがあるじゃないか。
何を好んで、弱小チームにと、それが、不可解であったのだろう。

そこへ行くと、私は広島である。
縁もゆかりもない、遠い地である。
その不可解度は、他球団より、はるかに高かろう。
あいつは、変り者だから……
というところに、落ち着いて不思議はない。
私は、商店街でも、およそ“らしくない”商人として、通っていた。

 * * *

広島への思い入れが、度を増すにつれ、巨人というチームに、批判的になった。
江川問題があった。
いわゆる空白の一日を利用し、ドラフト会議を経ずに、
有力選手を獲得しようとした。
その姑息さに、腹が立った。
これが、球界の紳士を標榜する、球団のやることかと思った。

さらに後年、桑田の問題が生じた。
大学進学を明言していた、PL学園高の桑田が、突如前言を翻した。
巨人入りを図らんとして、世間を、そして各球団を欺いたのであった。
私の巨人嫌いは、さらにその度を増した。

球団オーナー、渡辺恒雄の傲岸さにも、呆れ返った。
通称ナベツネ。
あんな倨傲な人間が、新聞社の主筆であることが、信じられなかった。
読売新聞を、取らなくなった。
勧誘員が、いくらビール券をちらつかせても、頑として応じなかった。

 * * *

カープは、金のないことにかけては、リーグ一であろう。
金で選手を買い漁る、なんてことが出来ない。
やむなく、無名ながら、力のありそうな、
選手を拾い集め、チームの中で育成する。
それしかなかった。
そして、それが奏功した例が、たくさんある。
いわゆる「生え抜き」である。
その「生え抜き」選手が、チームの屋台骨を支える。
その率が高い。
カープはそこでも、リーグ一であろう。

ところが、その先に、フリーエージェント制が待ち受けている。
せっかく育てた選手を、八年後には、
あっさりと他球団に持って行かれる。
特に、巨人阪神などの、金持ち球団にやられる。
貧乏球団の悔しさ、それを引き留める術がない。
カープはさながら、選手養成所兼供給所のごとくになっている。

しかしうれしいこともある。
他球団に移った選手が、また戻ってくれることがある。
黒田がそれだ。
大リーグで実績を残し、故郷に錦を飾るように、
カープに戻って来てくれた。
新井も然り、再び広島の地で、快音を響かせている。
もしかしたら、鯉にも帰巣本能があるのか……と思ったりもする。

 * * *

私の周囲に、カープファンはいない。
ただの一人も居ない。
優勝を祝し、共に歓喜の酒を飲む、なんてことは起こりえない。
だから醒めている。
ということもある。

おっと一人居た。
但し、女性である。
お寺の、坊守さんだ。
浄土真宗では、住職夫人のことを、このように呼ぶ。
さすがに、共に酒を飲むわけには行かない。

彼女は、広島のお寺に生まれ育ち、東京の寺に、嫁いで来ている。
会えば、仏事や先祖を、そっちのけに、野球の話になる。
「今年はどうでしょうね?」
「行けそうな予感がします」
この時だけは、私も主語を省略する。

それが春の彼岸であった。
それ以来、お会いしていない。
まもなく、秋彼岸だ。
きっと会えるだろう。
この時ばかりは、心からの祝辞を、述べられるだろう。
美人の坊守さんに、抱きつくわけには、行かないけれど。



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好機ですね

パトラッシュさん

Reiさん、
居ますか、カープ女子が。
○○女子、□□女子とさまざまにありますが、カープ女子は、最新の流行ですね。
広島ファンというのは、熱狂的なのが多いのです。

今なら、許される……
それを聞いて、勇気が出て来ました。
明日、お寺に行きます。
やっちゃおうかしら……(笑)

2016/09/18 09:00:38

遅れてのコメント、すみません

Reiさん

同じ会社に「カープ女子」がいます。
女子・・・と言っても、40代後半ですから、おばさんでしょうか?
もうずいぶん前からカープファンのようです。

いつも、赤いユニフォームを着て応援に行っていました。
今年の盛り上がりはすごいです。

贔屓のチームがない私には、ちょっと不思議な現象です(^^;)
でも、おめでとうございます。
今なら、「おめでとうございまーす」と言いながら、美人の坊守さんとハグしても許されるかも・・・??

2016/09/18 07:31:16

本当に……

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
過ぎた二十五年は、あっと言う間でした。
私なんか、間もなく、それを三回やることになります。
(とうとう、ワンセンチュリーの、スリークォーターになります)
振り返れば、後悔多かりき人生でした。

なるほど、初恋の人ですか……
会ってみたいような、会わない方が、良いような……

2016/09/18 06:59:44

生きているだけで、もうすぐ70年ですから、当然ですが

シシーマニアさん

二十五年というと、四半世紀ですが、この年になってみると、意外とあっという間ですね。

中学時代の初恋の人なんて、半世紀を超えてしまいましたし・・。
新聞のアンケートで、もう一度会いたい人の一位は、初恋の人、という記事を読んだもので・・。

2016/09/17 21:11:26

次は……

パトラッシュさん

おかちゃん、
そうなのですか、広島に阪神ファンの多いこと、知りませんでした。
四国など、西日本各地においては、虎党が多いですけどね。

藤村富美男、長いバットを振り回していましたね。
物干竿のような……とよく形容されたものです。
そうでしたか、呉の出身だったのですか。

広島の後半戦、まさに神ってましたね。
数点のリードを、苦も無くひっくり返していましたから。

この上は、日本シリーズにて、頑張ってほしいものです。
日本一になれば、また「おめでとうセール」が大々的に催されることでしょう。

2016/09/17 20:01:12

祝・広島カープ優勝!

おかちゃんさん

タイトルの「二十五年」はその事だったのですね。

私は広島市民ですがプロ野球はガチガチの虎党でファン歴は六十年余になります。
阪神ファンになったきっかけは、初めて覚えたプロ野球選手の名前が広島県呉市出身で往年のMr.タイガース・藤村冨美男さんだったことからです。
そんな事もあって昔から広島には阪神ファンが多く、パトラッシュさんの場合と違って孤独感は全くありません。

それにしても今年のカープは強かったですね、何にしても“神って”いましたから。
次は日本一を達成して欲しいです。私のお目当ては「日本一おめでとうセール」です(笑)

2016/09/17 18:31:31

少数派です

パトラッシュさん

沙希さん、
お父様とのやりとり、実に面白い。
エッセイにもなりそうなネタを、たかがコメントに使ってしまって、よろしいのでしょうか?
私だったら「もったいない」の一語です。

私は、こう見えて(一見温和な性格に見えるらしい)偏屈の人です。
サッカーでも野球でも、おおむね、弱いチームを応援します。
他の分野でも、おおむね少数派に属しています。
だから、野球では、巨人を嫌い、政治となると、自民党を嫌っています。

2016/09/17 17:12:30

巨人でなければ

さん

どこでも良いと思っていたのは子供時代です。
なんせ、父は大の巨人ファンで、勝てば機嫌よいのですが、負けた時は「お前がテレビの前を通ったから負けた」なんて、理不尽な言いがかりをつけました。
「あぁ、今日は負けているんだ」と言うと、「まだ試合は終わっていない。リードを許していると言え」
そう言いながら、まだ試合は終わっていないのに「巨人が勝っていると、酒が旨い」ですから。(笑)

よく後楽園に観に行きました。
勿論一塁側の内野席です。
そこで、お姉さんが売りに来る、ホットドッグ目当てでした。
殆どが、巨人・阪神戦です。
当時は、阪神が強かったので好カードでした。
勿論私は、内心で阪神を応援していました。
一塁側で、密かに敵を応援する快感、中学生には堪らなかったです。

大人になってからは、サッカーファンに替りました。(子供が愛読していた「キャプテン翼」の影響が多分にあります)
ですから、今の野球選手の名は、全く知りません。

私は判官びいきではなく、打倒巨人だったので、暫定的な阪神ファンでした。

2016/09/17 16:52:05

一人さびしく……

パトラッシュさん

COSMOSさん、
ありがとうございます。
私の周辺に、カープファンはおりません。
(気付かないだけかもしれませんが)
一人さびしく、優勝を祝っております。

巨人に勝つのは、それが球界のドンだけに、格別なものがあります。
(一勝が三勝分くらいに)(笑)
金にあかせ、他球団の主力を引っ張って来る、そのやり方に、反感があるからです。

日本シリーズ、頑張ってもらわねば……
しかし、九州になるか、北海道になるか……
とてもそこまでは、応援に行けません。

2016/09/17 13:58:18

優勝おめでとうございます

COSMOSさん

25年ぶりは長かったですね。私の勤めていた会社の副社長(杉並区在住)もカープファンです。喜んでおられました。優勝を決めた日私も広島ファンではありませんがテレビでカープを応援していました。そして嫌いな巨人の前での胴上げは気持ちのいいものでした。日本シリーズでは是非優勝をしてもらいたいものです。

2016/09/17 10:36:33

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