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パトラッシュが駆ける!

出版しました 

2016年09月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

宅急便で、荷物が届いた。
ダンボール箱が五個あり、それぞれが、ずしりと重い。
蓋を開けると、クラフト紙の小包が、隙間なく詰められている。
その一つを取り出し、紙を破く。
やっと本が現れた。

一包に七冊。
ということは、百冊なら、包が幾つか……
計算しようとする己を、急いで押しとどめる。
そんな悠長を、やっている場合ではない。
私には、急いでやらねばならぬことがある。

本を出版したのは、これが三度目だ
もういい加減に、慣れたはずだ。
落ち着いて、事に当たればよいのに、それが出来ない。
手元に届いた本を、一刻も早く、発送したい。
それがもう、強迫観念のようになっている。

包を破き、本を卓上に積む。
それを、一冊ずつ、かねて用意の封筒に入れる。
次々に入れる。
糊付けし、封を閉じる。
次々に閉じる。
途中で糊が、底を突きそうになり、大いに焦る。

徒歩五分のところに、郵便局がある。
そこは、集配を行わない、特定局だ。
自転車で十分走れば、本局がある。
本局まで運べば、明日の配達に、間に合うのではないか。
明後日は日曜、その後は祭日であり、配達は二日間休みだろう。
何とかその前に、皆さんのお手元に届けたい。
私はもう、そればかりを考えている。

プラスチックの衣装ケースに、封筒入りの本を詰めた。
五十冊ある。
ずっしりと重い。
それを自転車の荷台に載せ、ロープで括り付けた。
折悪しく、雨が降り始めた。
しかし、もう後には引けない。
雨合羽をまとい、自転車を漕いで出た。

何でこうまで、急ぐ必要があるのか。
二〜三日、遅れたところで、それがどうしたというのだ。
どうもならない。
何も変わらない。
にも拘らず、私は急いでいる。
私の短気は、もはや病気の域にまで、達しているのかもしれない。

 * * *

自著を送る。
これは気分の良いものだ。
もしかすると、私は、この快感のために、
本を出版しているのかもしれない。

送呈する相手が、五十人居る。
嬉しいことだ。
この凡夫に、これだけの友人知人が居る。

歳を取って、大切なものは、健康と友人だと言われている。
お金より、ずっと大事だと言う人も居る。
それはきっと、彼が金持であるからだ。
私には、お金はない。
しかし幸いに、健康で、友達も居る。
それは大いなる、財産というべきではなかろうか。

年賀状だけの付き合い、という人が、何人も居る。
いやむしろ、その方が多いくらいだ。
これこの通り、元気でやっています。
性懲りもなく、本なんか出したりしています。
それを知らせてやるのも、友達甲斐というものでは、なかろうか。

私の出版には、そんな意味もある。
用もないのに、手紙を出したら、訝しむであろう。
あいつ、とうとうボケたかと。
本を送るなら、気兼ねが要らない。
絶好の、大義名分になる。
私の出版は、世の常のそれと、意味が大分違うかもしれない。

 * * *

メールが入り始めた。
電話がかかり始めた。
少し遅れ、書状が届き始めた。
皆様が、お義理にせよ、褒めて下さる。
今回は特に、表紙に凝った。
イラストを入れ、奇抜なものにした。
本文に自信がないから、外観で勝負……という意味もある。

皆様が、その表紙に言及される。
面白いですねと、言って下さる。
本文について、感想を述べて下さる方もいる。
個々に題名を挙げ、面白かったと言って下さる。
私は結局、これを聞きたいがために、出版をやっているようなものだ。

 * * *

何時も、早々に電話をくれる友が居る。
Aは、小学校からの付き合いだが、近年はお定まりのように、
年賀状だけの、付き合いになっている。

彼はこれまで、本を受け取るや、間髪を入れずに、電話をくれていた。
「うれしいんだ、私は」
何時も、私の出版を、我がことのように喜んでくれていた。

そのAから電話がかからない。
本局で発送手続きを終えたのが、午後の早い時間であった。
首都圏であり、翌日に着かぬはずがない。
少し心配になる。
メールも入らない。
手紙も来ない。
日が経つにつれ、大いに心配になっている。

ならば、こちらから、電話をかければいい。
しかし、それでは、あまりに催促がましい。
褒辞を期待するなど、私の美学に反する。
少し待とう……
もう少し……
この短気者が、焦燥の日を重ねている。

安否の確認……
私の出版には、こんな意味もあることになる。
安否の定かでない友よ、褒辞なんか要らない。
お願いだから早いとこ、私を安心させてくれたまえ。
私の短気は、もう病気の域に達している。



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サイドテーブルに置いて頂き光栄です

パトラッシュさん

彩々さん、
陶芸展、お疲れさまでした。
次は、個展を視野に入れて下さい。

私の世界に浸って、精神に異常を来さなければ、よろしいのですが……
何しろ、道楽者の戯言がほとんどです。
どうぞ、距離を置いて、お読みください。

表紙は、窮余の一策です。
開き直り、裸になってみただけです。

彩々さんも、また本をお出し下さいよ。
天下の彩令詩ファンが、待望していると思われます。

2016/09/25 07:51:49

読む前から笑顔になれるご本。

彩々さん

やっと落ち着いて本を読む時間が取れ初めています。
まだ五分の一ほど進んだだけですが、ゆっくり
パトさんの世界を堪能させていただきますね。

私のリビングに、このパトさんのご本がサイドテーブルに
置いてあるだけで、何だか安心感を覚えます。

3人の男性が仲良く露天風呂で並んで笑っておられる
風景なんて、実際には滅多に見られない光景です。
そんな貴重なイラストに、思わずこちらも笑顔がこぼれます。

歳を取る。
それもイイものだなぁと、思わせてくれそうです。

私もほのぼのとしたこうしたエッセイを書き溜めていきたい
と、思い始めています。。。

2016/09/25 06:52:40

表紙で勝負

パトラッシュさん

みさきさん、
ありがとうございます。

内容が希薄な分を、表紙で補おうと、少し凝ってみました。
とりあえず、図書館の書架において、目立つようにと。
(すぐに飽きられるかもしれませんが)

みさきさんには、読んで頂きたいと思っていました。
しかし、ご住所がわかりません。
しかも海外……
私には、エアーメールの出し方も、わからないのです。(泣)

2016/09/24 16:34:35

創作一途

パトラッシュさん

Reiさん、
ありがとうございます。

Reiさんだって、本くらい出せますよ。
20年なんか、かかりません。
(と言って、2年では無理かな)(笑)
せっせと、作文にお励み下さい。
何なら、宿題出しましょうか?

Reiさんには、パッチワークがありますね。
もうじき展示会……楽しみです。

2016/09/24 16:28:12

当たるかな?……

パトラッシュさん

喜美さん、
裸の男は、何人並んでも、絵になりません。
そこで思いっきり、漫画的に描いて下さいと、
イラストレーターに頼みました。

お嬢さんに、ご覧に入れて下さい。
どれが、先日の男かと、当ててみて下さいと。(笑)

2016/09/24 16:23:06

夢に非ず

パトラッシュさん

沙希さん、
お読み頂きまして、ありがとうございます。

題名は、悩んだ末に、長ったらしい名になりました。
もう出してしまったので、今は、開き直っています。
どう受け止められようと、構わないと。

沙希さんも、何時の日か、出版することを、視野に入れておいて下さい。
WEBもよいけれど、実体がないので、今一つピンと来ません。
そこへ行くと、本棚に残るというのは、それなりに価値のあることです。

2016/09/24 16:18:45

悪運強くして

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
ありがとうございます。

中央が私です。
左右に配下を従えて……と言いたいところですが、
貫禄では、一番劣っています。

まあ、文中で、散々に、彼らをこき下ろしていますから、
表紙くらい、かっこよくして上げた方が、いいでしょう。
(イラストレーターに頼んだだけですが)

一人は故人です。
一人は、旅に出るのを、子供に止められています。
三人組が、単独犯になってしまっています。

私が一番、悪運が強いのかもしれません。

2016/09/24 16:12:45

窮余の策で

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
題名には、悩みました。
適当なのが、見つからないです。
それで、中身を、全部さらけ出してしまうことにしたのです。
随分と、長い書名になりました。

2016/09/24 16:05:03

御出版おめでとうございます。

みさきさん

パトラッシュ様
御出版おめでとうございます。
ご準備段階からのお話を、ブログを通じて伺わせていただきました。
なんと、季節ニピッタリな表紙でございましょう。
温かな露天風呂に、もみじの風情、
書かれたお話の、起伏や揺れまで想像したくなる、
温かさです。
帯の色も、3色並んだらとても素敵ですね。
中味の想像を膨らませております。
心より、お祝い申し上げます。

2016/09/24 13:44:10

おめでとうございます

Reiさん

ついに本が出ましたね!
宝物のような…私にとっては、教科書のような本です。

早く師匠のあとに続きたい…ん?20年早い??

2016/09/24 12:55:27

表紙

喜美さん

露天風呂に何といい気持ちでしょう

如何でも良い男がきれいに並んでいるのもすてき平和でなごやかですね

2016/09/24 10:50:43

出版おめでとうございます

さん

パトラッシュ師匠、こちらでもお祝いを述べさせて頂きます。

タイトル、ほのぼのとして、絵と相まって、雰囲気あるなぁ!と思いました。
今日は、この本の世界に浸って楽しみたいと思っております。

何のアクションもないご友人、案じられますね。

私は、師匠の本を手にして、感無量でした。
ご自分の本を出せる。
夢のまた夢です。
私も、もっと修行しなければ!

2016/09/24 10:38:39

おめでとうございます。

シシーマニアさん

三人の方々をご存じの、吾喰楽さんの正解を読んで、ちょっと安心しました。

真ん中が師匠だろう、とは思いながら・・。

もう、この三人で旅に出られない、と何処かに書いていらっしゃいましたね。

2016/09/24 10:01:29

三度目

吾喰楽さん

おはようございます。

三度目の出版、おめでとうございます。
中々、良い書名と表紙ですね。
右側から、山靴さん、パトラッシュさん、アリナミンさんですね。
でも、実際は、皆さん、もっといい男ですよ。

中身の感想は、何れ。

2016/09/24 09:25:03

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