ウイールマン

完走 

2016年11月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

知らなかった。

後でわかった事なのだが、ここの“MOUNT FIGUEROA” クライムは南カリフォルニアでは難度がナンバーワン。

つまり素人ではとても走れるようなコースではない。

アメリカのプロチームが、ツアーデフランスに出場する時の合宿練習に使ったコース。

わがチームメンバーは、皆一様に

”あのコースは、一度走るといい”なんて言っていたが。

どうも今から考えると、このライドには費用の面で12人参加が一番効率的。

チームは何としても12人の参加を目指していた様だ。

その時にいい ”カモ ?“ が来た。
それも知らずに“うん、行ってみたい”と返事をしてしまったのだが。

最近チームの練習でも、今まで見たことなない若い連中が
何故かトレーニングをし始めていたのだ。

そしてその連中が今ここにいる。

そして皆若手のバリバリのライダー。

何時もながらのジャストアバウトの性格で、
参加と決める時に、このコースの事をよく調べていなかった。

行けば何とかなるだろう。

しっかり皆について行けばいい。

もし遅れたら待っててくれるだろう、なんて悠長に構えていたのだが。

いつもこれで失敗するのだが、、、、、しかしここに来て今さら引けない。


昨日はマイクの奥さんが皆に朝ご飯を用意してくれたが、今朝は何もない。

予定では皆でブレックファーストを食べ、今日のライドの説明会のはずだったが。

まあこんな事には慣れてるので、冷蔵庫を覗いて食べ物を探すが何もない。

今日は大切なライドがあるが、朝食は抜きの様だ。


朝飯抜きで準備を始める。

ちゃんとした朝食を食べないで走れば、1.2時間でへたってしまう。

持参した携帯食料やクッキーを食べて、朝食代わりにするのだが、、、、

チームリーダーから今日のライドのプランが伝えられる。
この連中も    

“ジャストアバウト”

登り始めてから頂上までの距離は約20キロ。
(所が実際は30キロだった)

登る高度は約2000メーターくらいだろう。

そしてサポートカーが皆の後からついて来て、水と食料の補給をする。

山道で危ないし、事故や落車でもあれば、サポートカーが救難に当たるという。

それなら安心だと出発する。

暫くは牧場の中の平たんな道が続き、しばらくすると山並みが見え始める。

そして登り始めるが、何しろ道路状態は最悪。

デコボコだらけで、あっちこち穴だらけ、石ころだらけ。

あんな大きな穴に前輪がのめりこめば、バランスを崩し落車してしまう。

まあスピードが出てないので、擦り傷やアザだけですむだろうが。

注意深く走るが、先頭の連中は凄いスピードでグイグイ急坂を登って行く。

何とか2番手の人達について行くのだが、、、、

急坂を一緒に30分も走っただろう。
息が上がって来はじめる。

もうこのスピードにはついて行けない。申脈数を落とさないと大変だ。

そして2番手につけていたライダー達が坂の上のほうに消えていく。

後はただ一人で、砂漠のような山道を走るしかない。


暫くすると、舗装していない道路にさしかかる。

こんな処をロードバイクで走れるのか?

今はそんな事を言ってる場合じゃない。

仕方なく注意深く、ゆっくり、ゆっくり走る。

そして今度は下り坂。

もしかすると上り坂は、やっとこれで終わりなのか?


視界が開けていた山筋を通りぬけ、今度は森の中に突入。
小川が流れてるが走りぬける。

ここに来て何となく不安になり始める。周りには誰もいないしただ一人。

今まで走った事もない道。

どこに行くかも、今どこにいるかも全くわからない。

誰もいない山奥の道をただ一人で走るのはとても心細い。

道を間違えていないか?  

さっき通った所に、ほかの道があったようだが、、、
走る前のブリーフィングでは“道は一本道。迷うことはない”との事だが。

不安になる。

こんな人里離れたところで迷子にでもなろうものなら、
果たして生きて帰れるのだろうか、、、

後続はあと2人いる。それにサポートカーもついてくるはずだ。

暫くバイクから降りて、後続を待つのだが何も来ない。

何かこの世の中に一人で取り残されたような。

もっと不安になり、じっとしていられない。

後はあの言葉”道は一本。迷うことはない”を信じて走り出す。

そして終わったと思ってた登り、それも最大の難所の登りが始まった。

小石だらけの道で、だんだん道は狭くなる。

車一台がやっと通れるような道が続く。

そして道の片方は奈落の崖だ。

もしハンドルさばきを間違えてしまえば、がけ底にまっしぐら。 生きた心地はしなかった。

坂を上り続けるのだが、
またもやこれ以上ペダルを踏めない。

小休止。

余り休んではいられないが、ペダルを踏む力が出てこない。

バイクのハンドルに頭をもたげて休む。

息絶え絶え。頭はボーっとして何も感じない。ただ聞こえるのは自分の荒い息ずかい。

その時急に何かの音がした。

バイクのペダルを踏む音だ。

そしてその時“中継点まであと少しだ。そこまで頑張れ”
と誰かが言ってる。     

そこに行けば休めると。 

力ずけられて一緒に走る。

そして中継点では皆が待っていた。

ここで水と食料の補給をする予定なのだが、
いくら待っても後からついてくるはずのサポートカーが来ない。

皆の水も食料も、尽き果てている。

食料はともかく、水の補給をしないと脱水状態になれば、走ることはできない。

皆のいら立ちが始まる。

その時我チームメイトのフランシスコが、此処から10キロほど上がったところに、レンジャーステイションがある。

そこで水の補給が出来るはずだ。

皆でまた登り始めるが、、、、

こちらは暫く休んだが、また息が上がり始めスローダウン。

またたく間に皆が視界から消えていった。

またもや一人でゆっくり頂上を目指し登り始める。

頂上まではあとどのくらい? 

あとどのくらい登ればいいのか??

頂上らしきものが見えてくるが、そこに到達するとその先にまた坂が見え始める。

ついに脱水状態からの両足がつり始める。

だましながらペダルを踏むが、限界点にちかずいてきた。
これ以上ペダルを踏めない。


バイクから降りて休んでると、後ろからクラクションの音がしょた。

振り向けば何とサポートカーが来てる。

水の補給をし、冷たいアイスウォーターを両足にかける。
何か生き返ったようだ!

此処の所しっかりトレーニングしていたので、水の補給をし少し休めば体力の回復は出来る。

もうだめだかも知れないと思い始めていたがまた走り出す。

そしてしばらくすると頂上だった。

ここまで来たら後は何とかなると走り続ける、下りでもゆっくり慎重に走る。

鼻歌も出てはこないが、くねくね曲がった下り坂を走る。

随分長い間下り坂を走った様だ。

暫くすると又牧場が現れる、そして道も平たんになってきた。

ふと道の先を見ると、道端で皆が待っていてくれた。

大歓声の拍手で迎えてくれる。
そして皆が、、、、


   “GOOD JOB. YOU DID IT”


一時は完全にギブアップだったが、あきらめないでよかった!

何とか一人で完走出来た。


今年も色々な事があった。

サンデイエゴへの200キロレースの完走

ワイメア渓谷のクライムの65歳以上のクラスの
新記録達成

そしてこのマウントフィゲオラの完走

2度にわたるクラッシュ。

体の長期にわたる損傷は、それ程なかったが、
長年乗りなれた相棒のバイクは真っ二つに破損。

そして秋が始まり冬にさしかかる頃、何時ものように始まるスランプ。

走っていても全く楽しくなくなる。

走るのが苦痛になって来る。

早朝トレーニングの時、暗いうちかか起きだして準備を始めるとき、
いったい自分は何をしたいのかとの自問自答。

何故わざわざこんな苦しい思いをしなくちゃいけないのか。
もっと他に楽な生き方があるだろうと。

そんな時思うのは、我がアミゴエドガルド。

2回の続けてのクラッシュでの骨折。
復帰したとたん練習中に車にはねられ又怪我をした。
それでも持病の喘息と戦いながら走ってる。

最近友達になったチームメイトのレイモンド。

74歳になるが、今年のハワイでの世界トライアスロン選手権で70歳以上のクラスでの世界5位の偉業を成し遂げた。
そのレイモンドも、必死になって何時も一緒に走る。

そんな男たち。

また今回のフィゲロアもスランプの真っ最中。

あまり行きたくなかった。

もしかするとこの山が、あの男たちと同じよう
自分に勇気を与えてくれるよう、挑戦してきたのかもしれない。

   諦めないでよかった。



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

はじめまして。

しょうがさん

こんにちは。オレンジ郡在住の『しょうが』と申します。ある方から、『ウイールマンさんはロスアンジェルス』とお聞きしたので、お伺いしました。

私の夫もロードバイクを趣味としています。自転車が好き過ぎて、バイクショップで週末のライドの引率のバイトもしています。

すごいレースに参加されていますね。お怪我をされたようですが、お大事にしてください。リハビリ、お辛いかもしれませんが、焦らずに頑張って下さいね。

2017/07/12 13:49:58

澪つくしさん

ウイールマンさん

やりました、、、有難うございます。

そうなんです、あれなんです。

ハントンテインビーチのPCHなんかでは、皆んなわんさかと走っているでしょ。

それとか、坂道を後ろから来る車の人の迷惑も考えずに、のそのそフラフラ走ってるでしょ。

あれをいつもやってるのです。

2016/11/26 06:03:09

つちのえさん

ウイールマンさん

有難うございます。

爽やかな笑顔でも、苦笑いとでもいうのか、、、

どちらかというと、顔が引きつってるようで。

ほら左から二人目の人、、、

2016/11/26 05:32:05

吾喰楽さん

ウイールマンさん

エッ、、、わかりませんか?

やっぱり。50数年来の友人でも判らない。

はつらつとした若い人達と一緒に写真撮ると、影が薄くなるようで。  もう消える寸前ですよ。

見えませんか? 白いヘルメットの左から二人目の人を見たことないですか?

2016/11/26 05:29:27

おめでとう(^-^)//""パチパチ

澪つくしさん

やりましたね〜♪

それにしても・・・

>登る高度は約2000メーターくらいだろう。

軽く言える高低差じゃないですよ!
2000mですよ〜(@_@)

山道をドライブしていると、よく見かけるんですが・・・
あれなんですね!!

無事の完走、ホントにおめでとう(^-^)//""パチパチ

2016/11/25 22:14:21

完走おめでとうございます。

つちのえさん

もうダメかも、ってからの勝負ですね。
皆さん、爽やかな笑顔が素敵です。

2016/11/25 20:14:40

何処に?

吾喰楽さん

ハードなコースを完走、おめでとうございます。

ところで、ウイールマンさんは、何処?
よく、分かりません。

2016/11/25 19:47:50

PR





上部へ